熱傷(やけど)

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

熱傷(やけど)とはなにか 

 やけどは、医学用語では「熱傷」といいます。軽いやけどであれば誰しも一度は経験したことがあるでしょう。

 やけどは、熱によって皮膚や粘膜にダメージが加わっておこります。どれくらいの温度のものがどれくらいの時間触れたかで、皮膚や粘膜が受けるダメージの大きさが変わります。とても高温であれば、ごく短時間触れただけでもやけどになりますし、40℃~50℃くらいの低温のものでも長時間触れているとやけど(いわゆる低温やけど)になります。

 一般的なやけどはお湯などの熱い物によるやけどですが、特殊なやけどとして化学薬品や雷などの電気によるやけどもあります。

熱傷(やけど)の症状とその特徴

 やけどの症状は、皮膚のどれくらいの深さまでダメージが及んだかによって変わります。その深さによってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と3つに分けられます。

 Ⅰ度は、皮膚に赤みが出たり、少し痛みも出たりする程度で、跡を残したりせずに治ります。

 Ⅱ度は、水ぶくれができるのが特徴です。Ⅱ度の中でも浅い部分までのダメージのものと、より深い部分までのダメージのものに分けられます。浅い方は、ヒリヒリとした強い痛みを感じますが、深い方は神経へのダメージを反映して痛みが弱くなるという違いがあります。

 Ⅲ度は、皮膚がろうそくのように白くなったり、炭のように黒くなったりします。また、神経も壊れてしまい、痛みを感じないことが特徴です。

熱傷(やけど)の治療と注意点

やけどをしてしまったら、すぐに流水で冷やすことが重要です。やけどが深くなるのを防ぎ、痛みを和らげる効果があります。5~30分ほどを目安に冷やしましょう。その後の治療については、ダメージの深さによって変わります。

Ⅰ度と浅いⅡ度では、塗り薬を塗ってガーゼで覆うなどで治療します。

深いⅡ度とⅢ度では、塗り薬では対応できないことが多く、入院して治療する場合が出てきます。死んだ皮膚を取り除いたり、正常な皮膚を移植したりなどの手術が行われます。

そのためこの場合は、病院での治療が必要となります。水ぶくれができた場合や強い痛みがある場合などは病院を受診しましょう。Ⅰ度の場合は、放っておいても治ることも多いですが、心配な場合は病院を受診しましょう。

口の中の熱傷(やけど)について

舌や歯ぐきなどの口の中のやけども、まずは冷やすことが大切です。氷や氷水を口の中に含んで冷やしましょう。

唾液(つば)には菌の増殖をおさえる作用があり、、口の中のやけどは皮膚のやけどよりも早く治りやすいとされています。自宅でできる対処法としては、菌の感染を防ぐために歯磨きなどのケアを行って口の中を清潔にたもつ、傷にダメージを与えるような刺激物を口にしないようにするなどがあげられます。

やけどの程度がひどく病院を受診された場合は、やけどの状態に応じて軟膏を塗ったり、抗生物質を処方したりします。

まとめ 

  • やけどは皮膚のどれくらいの深さまでダメージが及んだかで、症状と治療法が変わってきます。
  • 水ぶくれができている場合は、軽いやけどと違って、深い部分までダメージが及んでいるサインです。
  • やけどした場合は、すぐに流水で冷やすことが何よりも大切です。

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