感染性腸炎

感染性腸炎とはどのような疾患ですか?

感染性腸炎とは、微生物が原因となって引き起こされる腸管病変を主体とした疾患群の総称です。原因となる微生物には細菌、ウイルス、原虫、寄生虫などがあります。これらの微生物が腸の粘膜に入り込んだり、表面で毒素を産生することによって症状を起こします。

感染経路には食品や水を介するもの、ヒトからヒトへ接触感染するもの、ペットなどの動物から感染するものがあります。原因となる微生物の代表的な例を以下に挙げます。

細菌性(夏に多い)

  • サルモネラ
  • カンピロバクター
  • 腸炎ビブロ(ビブリオ)
  • 病原性大腸菌群
    …etc

ウイルス性(冬に多い)

  • ノロウイルス
  • ロタウイルス
  • アデノウイルス
    …etc

原因微生物の潜伏期間は4時間程度から10日くらいと様々です。

感染性腸炎の症状にはどのようなものがありますか?

年齢や基礎疾患の有無など、個人によって症状の重さには差がありますが、基本的な症状としては以下のものが挙げられます。

・発熱
・腹痛
・吐き気
・嘔吐
・下痢

初めは倦怠感や頭痛などから始まりますが、発熱、嘔吐、下痢が続くと脈がはやくなったり(頻脈)、皮膚や粘膜が紫色のようになるチアノーゼ、また意識障害を起こす可能性もあるので注意が必要です。特に高齢者や小児では脱水症状にならないように注意が必要です。

感染性腸炎の治療はどのようなものですか?

感染性腸炎は一般的に、薬に頼らず自分の力で治すことのできる病気とされています。そのため、嘔吐や下痢による脱水を防ぐ為に水分補給をしっかり行い、おなかに優しく消化に良いものを摂取すること、またしっかりと休養することが大事です。

下痢の場合はお腹の調子をよくする整腸剤、吐き気に対しては吐き気止めや点滴を行うこともあります。

下痢止めや胃腸の動きを抑える薬は、一見症状をよくする薬のように思えます。しかし下痢や嘔吐を止めてしまうと、身体に入った悪いものを長く胃腸にとどめてしまうことになります。そのため原則的には使用しません。あまりに症状が重い場合は入院して治療することもあります。

原因となっている細菌やウイルスによって異なりますが、数日~1週間程度で回復することが多いです。1週間経っても症状が改善しない場合や、事情があってどうしても一時的に下痢の症状を抑えたい方は受診をおすすめします。

感染性腸炎の場合は、症状が無くなっても、1週間ほどは便と一緒にウイルスが排泄されることがあります。他のひとにうつさないよう、感染予防はしっかりと行いましょう。

感染性腸炎はどのように予防できますか?

感染性腸炎は病原微生物によって汚れた手指との接触や食品や水の飲食により感染します。予防の基本は手洗い、食中毒に対する注意と免疫力アップです。

誰かが下痢をしていて、おむつを使っていたり、頻回にトイレ通いをしていれば大量の病原体が便の中に排泄されています、家族にそのような人がいて、手洗いなどが十分ではない場合は感染する可能性が高いので気をつけましょう。

下痢の人の入浴は一番最後にする、風呂のお水は毎日変える、綺麗に掃除をしてタオルを交換するなども予防に重要です。
食品や水を介する感染は、食中毒を起こさないように十分注意することによって危険を減らすことができます。
「病原体を付けない、増やさない、殺す」が食中毒予防の三原則です。特に夏場は菌が増殖しやすいので、生ものには注意が必要です。

ペット動物や野生の動物との接触によって感染することもあります。特に子供には日頃から手洗いの習慣を付けておきましょう。

感染性腸炎は健康な人でもかかりますが、抵抗力が落ちていると病状が重くなる危険があるので、子供、高齢者、糖尿病や慢性肝炎の人は要注意です。普段から生ものに注意しながらバランスの良い食事と睡眠をとり、病原体に対する抵抗力を付けましょう。

まとめ

・発熱、下痢、吐き気などが主な症状で、基本的には対症療法で治療します。
・日頃から手洗いをこまめにする、食中毒に気をつけることが感染の予防に繋がります。
・症状がひどい場合は病院へ。

医師コメント

感染性腸炎はいわゆる「胃腸かぜ」で、原因となる微生物が口から入るため、まずは嘔吐から症状が始まり、嘔吐で出しきれなかった分が腸に到達し、最終的に下痢となるという体の自然な防御機構です。

無理に下痢を止めることは、体内に原因を留めることになるのでお勧めできません。とにかく出して、出した以上の水分を摂取するよう日頃からお伝えしています。

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