肺炎

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

肺炎とはなにか

口・鼻から入った病原体によって、肺に炎症が起きる病気のことをまとめて肺炎と言います。原因となる病原体は様々で、細菌・ウイルス・真菌などによる感染性の肺炎と、薬剤・アレルギーなどが原因の非感染性の肺炎があります。

たいていの肺炎の原因は、細菌またはウイルスです。私たちが吸い込んだ空気は、口・鼻からのど、気管、そして気管が細かく分岐した気管支と呼ばれる構造を通って肺の中に届きます。健康な人であれば、吸い込んだ空気の中に含まれる細菌やウイルスを自然に体内から追い出す機能が備わっているのですが、子どもや高齢者のような免疫力が低い人、もしくは風邪でのどが炎症を起こしていたりする場合には、病原体が排除されずにそのまま肺まで入り込んで肺炎を起こします。

肺炎の症状とその特徴 

肺、つまり呼吸に関係する部分の病気なので、呼吸器症状がメインです。

・ せき
・ たん(黄色・緑色・鉄さびのような色)
・ 呼吸がしづらい
・ 呼吸をした時の「ぜーぜー」とした感じ
・ 発熱(38℃以上が数日間続く)
・ 胸の痛み(息を吸ったり吐いたりすると悪化する)

といった症状が見られることが多くなります。

風邪との区別がつきにくく、特に高齢者では見過ごされてしまうことも多いです。しかし風邪と違って肺炎では肺そのものに炎症が起きているため、呼吸困難が突然起き、最悪の場合死に至ることもあります。

肺炎の治療と注意点

私たち人間に備わっている免疫力のおかげで、肺炎が自然に治る場合もあります。せき等の症状がつらい場合には市販薬を服用してもよいですが、症状が酷くない人、もともと元気な人は基本的に抗生剤(抗生物質)を飲む必要はありません。

治療の基本は、あたたかくして水分を補給しながら安静に過ごすことです。これに加えて辛い症状を抑えるために、せきを抑えたりたんを出しやすくする薬や、発熱を下げる薬を使います。同時に原因となる病原体を退治するために、細菌に対しては抗生物質を含む抗菌薬、ウイルスに対しては抗ウイルス薬を使うこともあります。

治療期間は年齢や状態により様々です。いつもの風邪と違う、なにかおかしいと思った場合は早めに病院を受診しましょう。

肺炎にかかりやすい人の特徴はありますか?

肺炎で亡くなる方の大半は65歳以上の高齢者です。これは免疫力の低下に加えて、誤って食べ物が肺の方に入ってしまうことで起きる「誤嚥性肺炎」が多いことも原因だとされています。高齢者は肺炎球菌ワクチンをはじめとした予防接種を適切にうけることが大切です。

また、免疫力が低下しているほかの原因として、糖尿病や高血圧といった慢性疾患があります。糖尿病を持病に持つ方では様々な原因で免疫力が低下していますので、肺炎にかかりやすく、また一度かかると重症化しやすいため回復に時間がかかることが分かっています。

まとめ

  • 肺炎は、細菌やウイルスのせいで肺に炎症が起きた状態で、免疫力が弱っている人に起こりやすい病気です。
  • 抗生物質などの薬を飲まなくても治ることはありますが、重症化すると死に至ることもあるため、基礎疾患のある人や子ども・高齢者では特に早めに受診しましょう。

医師コメント

通常、健康な成人の方細菌性の肺炎になることは少ないですが、ウイルス感染症である風邪などが重症化して肺炎となることがあります。風邪だと思っても、せきや熱が2週間以上続いたり、息がしづらいなどの症状がある際は、早急に医療機関を受診することをお勧めします。

新型コロナウイルス感染症もまた、肺炎に移行することで重症にいたる可能性がある疾患です。

肺炎を疑う場合には、まずはオンラインで医師に相談することを推奨します。

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