副鼻腔炎

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

副鼻腔炎とは

副鼻腔とは鼻の周囲にある空洞で、通常鼻の中(鼻腔)とつながっています。副鼻腔から出る分泌物や異物は、小さな穴を通じて鼻腔に出ていきます。副鼻腔炎とは、腫れた鼻の粘膜が副鼻腔の穴をふさいでしまう病気です。副鼻腔炎には急性と慢性があり、急性副鼻腔炎では主にウイルスや細菌が原因で炎症が起こります。慢性副鼻腔炎は、副鼻腔内に溜まった膿をうまく排泄できなくなることで炎症が悪化し、それによって更に膿がたまるという負のスパイラルがおこり、症状が慢性化したものです。一般にいわれる蓄膿症は主に慢性副鼻腔炎の事を指しますが、その違いは曖昧なので単に副鼻腔炎という意味で使用されることもあります。

副鼻腔炎の症状とその特徴

代表的な症状として、以下のようなものが挙げられます。

・膿が混じった鼻水
・顔面の圧迫感および痛み
・鼻詰まり
・夜に咳が出る
※痛みについて

副鼻腔は大きく分けて上顎洞、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞の4つが存在し、炎症が起きる場所によってそれぞれ異なる症状が出現します。

・上顎洞炎:上の顎の痛み、歯の痛み、額の痛み
・前頭洞炎:額の痛み
・篩骨洞炎:眼の後ろおよび両眼の間の痛み、しばしば「割れるような」と表現される額の痛み、眼の周囲の炎症、涙が出る
・蝶形骨洞炎:前頭部または後頭部の痛み

熱が出たり、ぶるぶると震えを感じるような寒気がある時には、副鼻腔以外の部分にも細菌の感染が広がっている可能性が高いです。

副鼻腔炎の治療とその注意点

急に起こる副鼻腔炎の大半はウイルス性であり、自然に治癒することが多いです。症状を和らげるためには、蒸気吸入、また辛い部分に熱い濡れタオルをのせたり、熱い飲み物を飲むなどが、鼻の血管の収縮を緩和して、膿を排出するのに役立ちます。細菌性が疑われる場合は抗生剤(抗生物質)が処方されますが、ウイルス性の場合は効果がないため、やみくもな抗生剤の服用は控えましょう。また、ほとんどの感染性の慢性副鼻腔炎は、薬物療法と外科療法で完治します。

痛みが長く続く場合には、細菌性の副鼻腔炎も考えられます。医師の診察を受けましょう。

副鼻腔炎の予防で大事なこと

予防の基本は風邪をひかないようにすることです。風邪をひいたら十分な睡眠と休養を取り、長引かせないようにすることが重要です。風邪が原因のものが副鼻腔炎のほとんどですが、歯が原因の歯性副鼻腔炎というものもあります。これは歯周病や虫歯の炎症が広がり、副鼻腔炎となるものです。そのため、歯周病や虫歯の予防、そして放置をしない事も大事です。

まとめ

  • 副鼻腔炎は炎症で腫れた鼻の粘膜が副鼻腔の穴をふさいでしまう病気です。
  • 予防の基本は風邪をひかないようにすることです。
  • 痛みが続く場合には、細菌性の副鼻腔炎も考えられるので医師の診察を受けましょう。

医師コメント

わたしも副鼻腔炎の経験があります。症状としては頬のあたりが痛みや微熱などがあげられます。一見すると風邪っぽい症状でもあり、なかなかわかりにくいですが、副鼻腔炎に典型的な症状がある場合は、適切な治療を受けることで改善します。

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