めまい・ふらつき

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

めまい・ふらつきとはどのような症状か

 ひとくちにめまい・ふらつきと言っても、実はいくつかの種類に分けることができます。1つめは「回転性」のもので、ぐるぐると回っている感覚や上下に揺れている感覚などがあてはまります。これはしばしば吐き気・嘔吐を伴います。2つめは「浮動性」のもので、ふわふわと浮いている感覚、地に足がついていない感覚などがあてはまります。3つめは回転性と浮動性が混じったものです。4つめは、急に立ち上がった時に目の前が暗くなる、意識が遠のくような感覚があるものです。

 原因としては、身体のバランスを保つはたらきをしている内耳や三半規管、耳石器、小脳などのうち、どこかに異常が起こっている場合が多いです。またこれ以外にも、小脳以外の脳の部分、心臓の異常、貧血などが原因のこともあります。

めまい・ふらつきがあるときに心がけること

 まずは安静にしましょう。めまい・ふらつきの症状によって、立っていると倒れてしまう可能性があるので、横になるか、もしくは座るかして、休息をとりましょう。脱水でめまいが起こることもあるので、可能な範囲で水分を摂りましょう。
 目や耳への刺激を避けるようにしましょう。部屋を暗くしたり、テレビなど音の出るものは音が出ないようにしたりしてください。
 それでも症状が治まらない場合や、何度も繰り返す場合などは一度病院を受診しましょう。

めまい・ふらつきの原因として考えうる疾患

 めまいは、体のバランスをつかさどる「平衡感覚」にトラブルが生じることで起きる「真性めまい」と、それ以外の理由で起こる「仮性めまい」に分けられます。

仮性めまいの代表例として、女性に多く見られる鉄欠乏性貧血が挙げられます。この疾患では、血中のヘモグロビンと呼ばれるたんぱく質の量が減少することで、息切れを生じます。

耳に原因がある病気としては、良性発作性頭位めまい症(BPPV)やメニエール病が多くなっています。BPPVは回転性めまいの一種で、1分以内に治まり難聴や耳鳴りを伴わないという特徴があります。メニエール病は1分以上続く回転性めまいで、難聴や耳鳴りを伴うという特徴があります。
 このように、病気ごとに特徴が異なることも多く、めまい・ふらつきが続く時間や、めまい・ふらつきに伴う症状だけで、おおよその検討をつけることが可能です。病院を受診する際は、どのようなめまいか、どれくらいの時間続いたか、他の症状はあったかなどもメモをとっておき、診察の時に医師に伝えると良いでしょう。


 

めまい・ふらつきを伴う、緊急度の高い疾患

 脳の異常が原因の場合のめまい・ふらつきは、緊急度が高い可能性があります。例えば、身体のバランスを保つのに重要な小脳の出血などによるめまい・ふらつきの場合は一刻を争います。めまい・ふらつき以外に、物が二重に見える、ろれつが回らない、手が震える、手足に力が入らない・しびれる、などの症状がある場合は、重大な脳病気の可能性があります。すぐに救急車を呼んでください。

まとめ 

  • めまい・ふらつきにはいくつか種類があり、原因も多岐にわたります。
  • 症状が出た時はまずは安静にし、症状が治まらない場合や、繰り返す場合は一度病院を受診しましょう。
  • めまいやふらつき以外に、物が二重に見える、ろれつが回らない、手が震える、手足に力が入らない・しびれる、などの症状がある場合は、すぐに救急車を呼びましょう。