頭痛

内容監修

荘子 万可

MARK SOSHI

荘子 万可

MARK SOSHI

医師/日本泌尿器科学会認定専門医

泌尿器科、血液透析科を専門領域として研鑽を積む中で、健康寿命を延ばしより良く生きる (well-being) ことに興味を持ち、男性機能やアンチエイジングに関して造詣を深める。 クリニックTEN では、一般内科外来や健診の他、メンズヘルス外来を担当する

頭痛とはどのような症状か

 頭痛は文字通り「頭が痛い」という症状を指す言葉です。頭痛は大きく、「頭痛そのものが病気」である一次性頭痛と、「何か別の病気がある結果として生じている頭痛」である二次性頭痛のふたつに分けられます。

 頭痛の痛み方は様々で、患者さんは

  • ズキズキと拍動するような痛み
  • がーんと殴られるような痛み
  • なんとなく頭が重苦しい痛み
  • 刺されるような鋭い痛み

等といろいろな表現をされます。また、突然痛みが出たり、長期間続いたり、季節や天候の影響を受けたりと、症状の現れ方も様々です。こうした痛みの「性状」(どのような痛みか)と「経過」(いつから始まったか)は、医師が診断するうえで重要な情報となります。

頭痛があるときにこころがけること

実際に頭痛がある時

 頭痛の多くは一次性頭痛で、慌てて医療機関に行く必要がないことがほとんどです。まさに頭痛が起きている時には、リラックスできる環境でゆっくりと休むのがよいでしょう。痛み止めを飲むのもよいですが、頻繁に飲みすぎると身体が薬に慣れてしまって効果が感じられにくくなってしまいます。医療機関では患者さんにあわせた薬を処方いたしますので、「頭痛が頻繁に起き、よく薬を飲んでいる」という方は一度医師に相談してみるのがおすすめです。

頭痛がおさまっている時

 日常生活でも、頭痛が起こらないような工夫をしてみましょう。

  • ストレスの原因を避ける
  • 規則正しい生活をする
  • 適度にストレッチや運動をする
  • スマートフォン等の画面を長時間見続けない
  • 同じ姿勢を取り続けない

頭痛がどのような時に起こりやすいかをご自身の経験から見極めるのも、自分で頭痛に対処する方法のひとつになります。

頭痛の原因として考えうる疾患

頭痛の原因の大半を占める一次性頭痛の中にも、いくつかの種類があります。治療の際には、ご自身の頭痛がどの種類に当てはまるかを知ることも大切です。

  • 頭全体ないしは後頭部周辺がしめつけられるように痛む
  • 肩こりがひどい
  • 長時間同じ姿勢で仕事を続けていることが多い

→緊張型頭痛の可能性があります

  • 頭の片側だけがズキズキと痛い
  • 動くと悪化する
  • 光や音、においに対していつもより敏感になる

→片頭痛の可能性があります

  • 片方の目の奥がえぐられるように痛い
  • 主に深夜に、1時間程度の激痛が約1カ月にわたりほぼ毎日同じ時間帯に起こる
  • 症状がほぼ毎日起こる時期と、全くない時期がある

→群発頭痛の可能性があります。

また、風邪やインフルエンザのような、熱が出る病気の時にも頭が痛くなることがあります。この場合は病気を治療すれば、頭痛も自然に治ることがほとんどです。

頭痛を伴う、緊急度の高い疾患

一次性頭痛で緊急度が高いことはほとんどありませんが、二次性頭痛ですと命に関わる場合があります。以下のような症状がある場合は、二次性頭痛の疑いが強まります。

  • 頭痛そのものについて
    • 突然発生した、発生した瞬間が明確に思い出せる
    • 経験したことのないような人生最悪の頭痛
    • いつもと様子が違う
    • だんだんと悪化していく
  • 頭痛以外の症状
    • 手足の麻痺・しびれ・けいれんがある
    • 激しく吐いている
    • 高熱が出ている
    • 意識がもうろうとしている

 これらに当てはまるような場合には、迷わず救急車を呼びましょう。

二次性頭痛を引き起こす疾患の詳細については、別途詳しく解説しております。

まとめ

  • 頭痛の多くは一次性頭痛です。自分の頭痛のタイプを知り、適切に付き合う工夫をしていきましょう。
  • いつもと明らかに違う頭痛を感じた際には、二次性頭痛の可能性があります。二次性頭痛は放置すると死に至ることもある怖い頭痛なので、迷わず医療機関を受診してください。

参考文献

  • Sakai F, Igarashi H : Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia 1997;17:15-22.
  • 「慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版」作成小委員会 : 慢性頭痛の診療ガイドライン市民版. 医学書院
  • Takeshima T, Ishizaki K, Fukuhara Y, Ijiri T, Kusumi M, Wakutani Y, Mori M, Kawashima M, Kowa H, Adachi Y, Urakami K, Nakashima K : Population-based Door-To-Door Survey of Migraine in Japan: The Daisen Study. Headache 2004 ; Jan;44(1):8-19
  • Robbins L : Precipitating Factors in Migraine: A Retrospective Review of 494 Patients. Headache 1994 ; 34(4) :214-216.