咽頭クラミジア感染症とは？原因を含め医師が解説

咽頭クラミジア感染症とは

性器クラミジア感染症

　性器クラミジア感染症はChlamydia trachomatisが原因となる感染症です。10代後半から増加し、特に20代に多い疾患です¹⁾。性器クラミジア感染症は性行為によって感染する性感染症です。性行為によってクラミジア（Chlamydia trachomatis）が眼瞼結膜や尿道、子宮頚管、咽頭などに感染し、結膜炎や男性尿道炎、精巣上体炎、子宮頚管炎、骨盤内感染症、咽頭感染などを引き起こします。

咽頭クラミジア感染症の症状

　咽頭クラミジア感染症は自覚症状に乏しく、無症候感染が多いです²⁾。一部の感染者に上咽頭炎や扁桃腺炎が生じます。耳閉感や難聴、鼻閉、咽頭痛、頸部リンパ節腫脹などがみられます。上咽頭の発赤や咽頭扁桃の腫脹が認められます。また、滲出性中耳炎を併発しやすいです。のどの腫れや痛みを呈するので風邪と勘違いしやすいため注意が必要です。

咽頭クラミジア感染症の治療

　性器感染と同様に咽頭クラミジア感染症でも抗菌薬で治療します²⁾。マクロライド系薬やテトラサイクリン系薬、ニューキノロン系薬などを使用します。薬の種類によって異なりますが、1週間程度服用します。ペニシリン系薬やセフェム系薬、アミノグリコシド系薬はほとんど効果がないため使用しません。

　また、性器クラミジア感染症は性感染症であるためパートナーの治療も同時に行う必要があります。パートナーが感染していたら治療しても再び感染してしまいます。

咽頭クラミジア感染症の原因

性感染症

　咽頭クラミジア感染症をはじめとして、性器クラミジア感染症は性感染症です²⁾。性行為によってクラミジアが感染します。咽頭クラミジア感染症はオーラルセックスによってクラミジアが咽頭に感染することで発症します。唾液などにクラミジアが現れるためキスによってクラミジアが感染する可能性も否定はできませんが、キスにより接触する量は限られており、感染リスクは極めて低いと考えられています³⁾。

咽頭クラミジア感染症の診断

　咽頭擦過物を用いて遺伝学的検査を行い診断します²⁾。SDA法やTMA法といったクラミジアの核酸を増幅する方法を用いてクラミジアを検出します。淋菌も咽頭に感染し、咽頭炎や扁桃炎を引き起こします²⁾。淋菌感染症も性感染症ですが、治療に使う抗菌薬が異なり、クラミジア感染症との鑑別が重要です。

　感染していることが分かったら、パートナーも検査を行いましょう。また、子宮頚管からクラミジアが検出される場合、10-20%の人に咽頭からもクラミジアが検出されます²⁾。知らず知らずのうちにクラミジアに感染していたり、感染を広げていることもあります。「感染しているかも…」と不安に感じたら医療機関を受診しましょう。

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参考文献

1. 厚生労働省.性感染症報告数（2004年〜2020年）.https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
2. 日本性感染症学会. 性感染症診断・治療ガイドライン2016. http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016.pdf
3. 厚生労働省.オーラルセックス（口腔性交）による性感染症に関するQ&A.