生化学検査とは何か
生化学検査とは、採取した血液や尿などに含まれる様々な成分を分析する検査のことです。身体に異常は無いか、あるとしたらどの部分に問題があるのか、炎症は無いか、栄養状態に問題はないか、などたくさんのことを調べることができます。
各検査値の読み方
基準値については、施設ごとに異なります。本記事中のものはあくまでも参考値としてお考えください。
UA
UAは尿酸のことです。基準値は2.1~7.0(mg/dL)です。
尿酸は痛風の原因として耳にしたことのある方も多いと思います。この尿酸が高いと痛風を発症します。
BUN
BUNは尿素窒素のことです。基準値は8~20(mg/dL)です。
Cr
Crはクレアチニンのことです。男性と女性で基準値が異なり、男性は1.00(mg/dL)以下、女性は0.70(mg/dL)以下です。
BUNとCrはセットでみることが多く、腎臓の働きをみることができます。このBUNとCrは腎臓から捨てられる老廃物のようなものです。腎臓の働きが悪くなると、BUNとCrを捨てることができないので、血液中に溜まってしまう、つまり検査の値としては高くなります。
eGFR
eGFRは推算糸球体濾過(ろか)量のことです。基準値は60.0(mL/分/1.73m2)です。
これはクレアチニンの値と年齢や性別を用いて、腎臓の働きをみることができる値になります。腎臓は糸球体という部分を通る血液を濾過して、おしっこを作っています。この濾過の働きを評価しているもので、腎臓の働きが悪くなると濾過の働きは低下するので、eGFRの値も低下します。
BS
BSは血糖のことです。基準値は73~109(mg/dL)です。
糖尿病の重要な指標の1つです。糖尿病では、血糖が高くなっています。
AST
ASTはそのまま「エーエスティー」と読みます。基準値は30(U/L)以下です。
肝臓の細胞や心臓、筋肉の細胞に多く含まれています。肝臓や心臓の障害などで高くなります。
ALT
ALTはそのまま「エーエルティー」と読みます。基準値は30(U/L)以下です。
肝臓に多く含まれている酵素で、肝臓や胆道に異常があると高くなります。ASTとALTは肝臓の働きをみる際にセットでみることが多いですが、ALTのほうが肝臓の異常を鋭敏に反映します。
ChE
ChEはコリンエステラーゼのことです。男性と女性で基準値が異なり、男性は240~486(U/L)、女性は201~421(U/L)です。
肝臓の病気では低くなりますが、脂肪肝では高くなります。また、農薬などに含まれる有機リン剤の中毒でも低くなります。
γ-GTP
γ-GTPは「ガンマジーティーピー」と読みます。基準値は50(U/L)以下です。
肝臓や胆道の病気で異常を示します。
ALP
ALPはアルカリフォスファターゼのことです。基準値は106~322(U/L)です。
肝臓や胆道の働きのほか、骨の状態もみることができます。
LDH
LDHは乳酸脱水素酵素のことです。基準値は124~222(U/L)です。
身体全体の臓器に含まれる酵素で、臓器の障害の程度を大まかにみることができます。特に肝臓や血液の病気で高くなります。
TP
TPは総たんぱくのことです。基準値は6.5~7.9(g/dL)です。
血液中のたんぱく質の総量であり、栄養状態や肝臓、腎臓の機能をみることができます。栄養状態が悪い場合は低くなります。
Alb
Albはアルブミンのことです。基準値は3.9(g/dL)以上です。
肝臓でつくられるたんぱく質なので、肝臓の病気では低下します。また、栄養状態や腎臓の機能もみることができます。
T-Bil
T-Bilは総ビリルビンのことです。基準値は0.4~1.5(mg/dL)です。
胆汁に含まれている色素で、肝臓や胆道が障害されると高くなります。黄疸の指標に用いられています。
D-bil
D-Bilは直接ビリルビンのことです。基準値は0.3(mg/dL)以下です。
T-Bilと併せて肝臓や胆道の病気の評価でみることが多いです。
間接ビリルビンというものもあり、直接ビリルビンと間接ビリルビンのどちらがより高くなっているかをみると、原因となっている病気を絞れる場合もあります。
TG
TGは中性脂肪のことです。基準値は30~149(mg/dL)です。
多すぎると動脈硬化につながります。
LDL
LDLはLDLコレステロールのことです。基準値は60~119(mg/dL)です。
いわゆる「悪玉コレステロール」と呼ばれているものです。多くなると、動脈硬化の原因となります。
HDL
HDLはHDLコレステロールのことです。基準値は40(mg/dL)以上です。
いわゆる「善玉コレステロール」と呼ばれているものです。動脈硬化を防ぐ働きをしています。
AMY
AMYはアミラーゼのことです。基準値は44~132(U/L)です。
膵臓やだ液を分泌する腺に由来する消化酵素です。膵臓やだ液を分泌する腺に病気があると上昇します。
HbA1c
HbA1cは「ヘモグロビンエーワンシー」と読みます。基準値は5.5(%)以下です。
直近1~2ヶ月の平均的な血糖値を反映する指標です。高血糖が続くと、この値は高くなります。糖尿病の血糖値の管理に用いられています。
閲覧した文献
- 順天堂大学医学部附属順天堂医院 臨床検査部. 『生化学検査』出版社.
- 日本人間ドック学会. 『判定区分 2020年度版』https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2013/09/69ab66f1e59f3c9e295b3e00e161ff30.pdf
- 国立がん研究センター中央病院臨床検査科. 『臨床検査基準値一覧』https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/clinical_trial/info/clinical_trial/professional/kijunchi_ichiran_1908.pdf