概要
手や足、脇などから汗が止まらないというお悩みを抱えている方は決して少なくありません。緊張や暑さでは説明できないほど汗が止まらずお困りの場合、それは多汗症という病気かもしれません。 多汗症は、友人や家族に理解されにくい上、日常生活に支障が生じる病気です。人からどう見られるか気になる、恥ずかしくて外出できないなど、気持ちの部分にも影響が及ぶことがあります。仕方がないとそのままにしていませんか?正しく診断し適切な治療を行うことで生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)は大きく向上します。本ページでは日本皮膚科学会の診療ガイドラインに基づいた多汗症の分類・原因・治療法について医師が解説いたします。
内容監修
監修:クリニックTEN 医師
clinic ten doctor
監修:クリニックTEN 医師
clinic ten doctor
多汗症治療(ボツリヌストキシン)
多汗症の治療としてボツリヌストキシンの注射療法があります。ボツリヌストキシンとはボツリヌス菌により産生されるA型ボツリヌス毒素を有効成分とする薬剤です。
塗り薬では毎日継続使用する必要があるため、忙しく忘れてしまったり、面倒なことは嫌という方にはボツリヌストキシン治療をお勧めしております。
ボツリヌストキシンによる脇多汗症の治療
ボツリヌストキシン注射による脇多汗症の治療(自由診療)では、脇の下にボツリヌストキシンを注射し神経の働きを抑えます。これによって過剰な発汗を抑えることが可能です。
注射後数日で汗の量が減りはじめ、効果は半年程度持続します(効果には個人差があります)。国内外のデータでは通常4~9ヵ月効果が続くとされています。遮断された神経は数ヵ月で回復しますので、発汗抑制効果を維持するためには反復投与が必要です。
汗が特に気になる季節にだけピンポイントで受けることも出来ますし、効果が薄くなってきたタイミングで再びボトックス注射を受けることで、持続的な効果を保つこともできます。
ボツリヌストキシン注射価格(税込 *健康保険適用外*)
アラガン社製「ボトックスビスタ」
S(60単位)65,800円
M(80単位)72,800円
L(100単位)79,800円
ヒューゲル社製「ボツラックス」(韓国製ボツリヌストキシン)
S(60単位)25,800円
M(80単位)27,800円
L(100単位)29,800円
*治療は完全予約制です。
*両脇の価格です。
*上記金額に加えて、自費診療初診料 2,750円(税込)または再診料 1,100円(税込)を別途頂戴しております。
ボツリヌストキシン治療における注意事項
- 当日はスムーズな注射実施のため、可能な限り脇が広く空いている服装にてご来院ください。
- 難しい場合はお着替えをご案内いたしますので、予約時刻の5分前にご来院をお願いいたします。
- 当日までに脇の剃毛を済ませていただけますようお願いたします。ご来院後の対応はいたしかねます。
- 前日からは制汗剤やデオドラント剤の使用をお控えください。
以下の方はボツリヌストキシン治療を受けることができません。
- 妊娠している方、妊娠している可能性のある方
- 授乳中の方
- 以前ボトックス治療を受けた際にアレルギー反応が出た方
- 3か月以内に同部位でボトックス注射を実施した方
- 全身性の神経筋接合部の障害をお持ちの方
- 重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など筋に関連する疾患をお持ちの方
以下の方はボツリヌストキシン治療に際して注意が必要とされており事前に必ず医師へご相談ください:
- ご高齢の方
- 呼吸器疾患をお持ちの方
- 閉塞隅角緑内障をお持ちの方
- 神経学的障害をお持ちの方
*女性は投与後2回の月経を経るまで、男性は投与後少なくとも3ヵ月経過するまで避妊をお願いしております。
治療に伴う副作用としては、注射による痛み、注射部分の筋力の一時的な低下が挙げられます。まれに注射部位の皮下出血が見られることがありますが、通常1~2習慣程度で徐々に消失していきます。
多汗症は全身性と局所性の2種類
多汗症には、全身の汗で困る『全身性多汗症』と、手/足/ワキなど局所的な汗で困る『局所多汗症』があります。
全身性多汗症:
その名の通り、全身で汗をかきすぎる状態です。原因のない特発性に加え、甲状腺機能亢進症や糖尿病、低血糖などの疾患や薬剤性、妊娠、肥満などによって多汗となる場合があります。
局所性多汗症:
全身ではなく、体の一部分のみで汗を非常にかきやすい状態です。
多汗症がみられる部位
全身性多汗症の場合は、全身に症状が現れます。全身でとにかく大量の汗が出てしまいます。
一方、局所性多汗症の場合は、手の平、足の裏、顔、腋(わき)といった特定の部位で特に汗をかきます。
局所性多汗症の場合は、症状が現れる場所が決まっており特別な名前をつけられている場合があります。
・手のひらだけで汗をかきやすい: 手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)
・ワキだけ汗をかきやすい: 腋窩多汗症(えきかたかんしょう)
・足の裏だけ汗をかきやすい: 足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)
健康保険での治療
保険診療に関して当院では「エクロックゲル」、「ラピフォート ワイプ」、「臭化プロバンテリン」を処方しております。
*エクロックゲルについて

エクロックゲルは、日本で初めての保険適用の多汗症(ワキ)用塗り薬です。ワキに塗ることで、神経からの「汗を出せ」という指令がブロックされ、過剰な汗を抑える効果が期待できます。効果が出るまではおよそ2週間かかります。使い始めてから6週間ほど経ってから効果判定を行い、効果があれば使用を継続いただきます。
*ラピフォートワイプについて

2022年に発売された新薬が「ラピフォートワイプ」です。最大の特徴は「1回使い切りタイプ」であることです。
先ほどご紹介したエクロックゲルは「液体」なので持ち運びが面倒でした。ラピフォートワイプの場合、1枚ずつ職場や外出先に持ち運んで簡単に使えます。また使い切りのため清潔です。
*臭化プロバンテリンについて
全身性多汗症に対する唯一の保険適用薬です。神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを妨げる薬です。
保険診療での自己負担額(例)
エクロックゲル 20g(2週間分) 1,900円
40g(4週間分) 3,360円
ラピフォートワイプ 14枚(2週間分) 1,550円
臭化プロバンテリン(商品名プロバンサイン)(1日3回30日分)840円
(1日4回30日分)930円
クリニックTENでの治療の流れ
診療科の選択

診療科の選択
当院は完全 WEB 予約制となっています。 予約ページより皮膚科を選択ください。
初診・再診の選択

初診・再診の選択
多汗症相談のうち希望のコースをお選びください。
予約日時を選択

予約日時を選択
診療科目を選択し予約可能な枠からご希望の時間帯をお選びください。予約後は問診にお答えいただきます。
web問診への回答

web問診への回答
web問診にお答えいただきます。これによって、診察開始前から医師が患者様の状態を把握することができるようになり、クリニック到着後すぐに診察をすることが可能になります。
ご来院 / 受診

ご来院 / 受診
受付でクレジットカード・保険証を提出いただきます。医師がいる部屋に患者さまが入る、そのような通常のクリニックとは逆転の発想で患者さまにお部屋の枠を予約していただいてそのまま直接診療室にご案内し、そこに医師がお伺いします。問診表を記入したり、待合室で待つ必要はありません。
持ち物
保険証
クレジットカード
施術(ボツリヌストキシン注射の場合)

施術(ボツリヌストキシン注射の場合)
ボトックスの量は何単位(U:ユニット)で表されます。程度によって差がありますが、片側30U~50U程度を注射します。 所要時間は、片側5分程度です。
事後決済

事後決済
事後決済 診察終了後にお会計を待つ必要はありません。決済については、来院時に登録したクレジットカードから引き落としをおこないます。初回来院時に登録したカード情報をその後も利用可能です。
アフターフォロー

アフターフォロー
LINE で友達登録をしておけば病院からの連絡、患者さまからの質問と双方向にコミュニケーションをとることができます。万一、気になる症状が長く続いたり、アレルギー症状が出た際は「皮膚科初診」よりご予約の上、ご相談ください。
PAYMENT
お支払い方法
当院は完全キャッシュレスでクレジットカードによる支払いのみ対応しております。

多汗症は当院をご受診ください
ボツリヌストキシン治療の副作用
- ショック、アナフィラキシー、血清病(発現割合0.01%)
- 眼障害(0.34%)
- 嚥下障害(0.75%)、呼吸機能低下(0.03%)
- 痙攣発作(0.01%)あるいはその再発
- 尿閉(0.05%)および尿路感染(0.06%)
よくある質問
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ボツリヌストキシン注射は、妊婦や胎児に対する安全性が確立されておらず、薬剤の添付文書にも「妊娠中又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦には投与しないこと」と記載されています。
女性は投与後2回の月経を経るまで、男性は投与後少なくとも3ヵ月経過するまで、避妊をお願いしております。 -
非常に細い針を使用するため、通常と比べると痛みを感じにくい注射となります。また、施術前には痛みを和らげるため、保冷剤にてアイシングをさせていただきます。
注射部位付近に内出血が起こることがありますが、通常は1~2週間程度で徐々に薄くなっていきます。
注射後も痛みが続いたり気になるようであれば、当院の皮膚科でフォローさせていただくことも可能ですのでお気軽にご相談ください。 -
個人差がありますが、注射後おおよそ1~2週間程で効果が出現します。
個人差はありますが効果の持続は通常3~6ヶ月程といわれています。 -
脇の下にボツリヌストキシンを注射することで、発汗にかかわる神経伝達物質(アセチルコリン)の働きを抑えます。これによって過剰な発汗を抑えることができます。