内容監修
石黒 剛
GO ISHIGURO
石黒 剛
GO ISHIGURO
医師
大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。
つらい生理痛だけでなく、多い日の経血漏れや生理前にできるニキビなど大きい悩みから小さいものまで女性なら誰しも月経にまつわる悩みを抱えたことがあると思います。それらを改善しうるのが超低用量・低用量ピルです
そもそもピルとは??
ピルはエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンを合わせた薬です。エストロゲンの量によって超低用量、低用量、中用量ピルに分類されます。
ピルを毎日内服することで避妊効果が生まれます。ピルにより排卵が抑制されるためです。この効果から、ピルは「避妊のための薬」というイメージをお持ちの方も少なくないでしょう。実はピルは避妊効果に限らず、女性のQOL向上のために有益な薬です。
例えば、辛い生理痛や過多月経(月経の回数が多い)の症状がある方には、保険適応にてピルを処方することができます。具体的な薬剤を挙げると、ヤーズ、ヤーズフレックス、ルナベル、ルナベルULD錠などです。ご自身の症状に保険適用でピルが使えるかどうか知りたい場合は、お気軽に当院までお越し下さいね。
もし生理痛はさほどひどくなく避妊希望がある場合は、トリキュラー28(自費)を当院では処方しております。
ピルを利用するメリット
ピルを利用するメリットとして
- 月経痛の緩和
- 月経周期の改善
- 高い避妊効果
- にきびの改善
などがあります。またピルの内服は婦人科疾患の予防にもつながります。日本では子宮内膜症といった婦人科疾患の発症リスクが上昇しています。近年の日本で初産の年齢が上昇しており、これにより婦人科疾患リスクが高まっているためです。低用量ピルを適切に使い月経回数を減らすことで、そのような婦人科疾患を予防する効果も期待できます。
ピルを利用するときのデメリット
ピルにはもちろんデメリットもあります。低用量・超低用量ピル内服によるデメリットとして以下のものが挙げられます。
- 費用負担がある
- 血栓症リスクがある※
- 長期服用で子宮頸がんのリスクが上がる可能性がある *子宮頸がん予防接種(9価HPVワクチン)をお勧めしています
- 乳がん発症リスクを増加させる可能性がある *定期検診をお勧めしています
※静脈血栓塞栓症のリスクは下記の通りで、正しく医師の指導の下で内服すれば心配しすぎる必要はありません。
− 内服なし 1-5人 / 10,000人 ・年間
− ピル内服 3-9人 / 10,000人 ・年間
− 妊娠中 5-20人 / 10,000人・年間
− 産後12週まで 40-65人 /10,000人・年間
低用量ピルを内服できない人
- 喫煙している人
- 前兆のある片頭痛のある人
- 高血圧がある人
- 50歳以上、または閉経後の人
- 産後4週間以内
- 授乳中
低用量・超低用量ピル内服中(前)に必要な検査
- 問診
- 血圧測定
- 超音波検査(初回のみ。月経困難症の原因となる婦人科的病気がないか調べます)
- 子宮頸がん検診(必要に応じて)