子宮頸がん予防接種(9価HPVワクチン)

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの感染予防効果

初めての性交渉をする前にHPV(ヒトパピローマウイルス、以下省略) ワクチンを接種しておくのが望ましいとされることもありますが、「性交渉経験がすでにあっても、 HPVワクチンによる感染予防効果をある程度期待できる」と言えます。
性交渉経験のある方は、すでにHPVに感染している場合があることから、未経験の方と比べてワクチン接種で得られる効果が下がる可能性があるとされています。
しかし、 ワクチンでカバーできる HPVのすべての種類に、一人の女性が感染しているとは考えにくい(*1, *2)ため、性交渉経験があったとしても、ワクチン接種による予防効果を期待することができます。

HPV は私たちの身近に存在します

HPVに感染したことのある一般の女性の割合は80%と推定されています。(*3)これは女性だけでなく、男性にも関係する話です。
主に性交渉によって感染するとされており、皮膚の傷から体内へ侵入して体の細胞の中へ入り込むとされています。
体内へ感染した HPV は、以下のような病気の発症に関与していると考えられています。

  • 子宮頸癌
  • 咽頭癌
  • 肛門癌

世界では9価 HPVワクチンが主流となりつつあります

HPVワクチンには、以下3種類があります。

  • 2価HPVワクチン
  • 4価HPVワクチン
  • 9価HPVワクチン

「価」というのは、「何種類のHPVに対する予防効果があるのか」を示す単位です。
2価HPVワクチンであれば、16と18の2種類の HPV に対する予防効果を発揮します。
同様に、4価 HPV ワクチンであれば、6,11,16と18の4種類の HPV に対し、 9価 HPV ワクチンであれば、HPV 6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58といった9種類の HPV に対する感染予防の効果を持ちます。

クリニックTENでの子宮頸がん予防接種(9価HPVワクチン)について

  • 商品名 :シルガード9
  • 接種回数:3回
  • 接種間隔:初回接種から約2ヵ月後に2回目を摂取、約6ヵ月後に3回目を接種します。
  • 接種量 :1回0.5ml

※在庫入荷の関係で、最短で22年7月以降の受付となります。

参考文献

<参考文献>

*1 Yukari Azuma, Rika Kusumoto-Matsuo, Fumihiko Takeuchi, Asami Uenoyama, Kazunari Kondo, Hajime Tsunoda, Kazunori Nagasaka, Kei Kawana, Tohru Morisada, Takashi Iwata, Daisuke Aoki, Iwao Kukimoto, Human Papillomavirus Genotype Distribution in Cervical Intraepithelial Neoplasia Grade 2/3 and Invasive Cervical Cancer in Japanese Women, Japanese Journal of Clinical Oncology, Volume 44, Issue 10, October 2014, Pages 910–917, 
https://doi.org/10.1093/jjco/hyu112

*2 Marie-Claude Rousseau, Joao S. Pereira, José C. M. Prado, Luisa L. Villa, Thomas E. Rohan, Eduardo L. Franco, Cervical Coinfection with Human Papillomavirus (HPV) Types as a Predictor of Acquisition and Persistence of HPV Infection, The Journal of Infectious Diseases, Volume 184, Issue 12, 15 December 2001, Pages 1508–1517,
https://doi.org/10.1086/324579

*3F. Xavier Bosch, Silvia de Sanjosé, Chapter 1: Human Papillomavirus and Cervical Cancer—Burden and Assessment of Causality, JNCI Monographs, Volume 2003, Issue 31, June 2003, Pages 3–13,
https://doi.org/10.1093/oxfordjournals.jncimonographs.a003479