内容監修
石黒 剛
GO ISHIGURO
石黒 剛
GO ISHIGURO
医師
大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。
心不全とはなにか
心不全は実は病名ではなく、「心臓の働きが不十分な結果起きた身体の状態」をいいます。その原因は様々で、心筋梗塞などにより心筋の機能が低下する虚血性心疾患、心臓の弁の異常による心臓弁膜症、あるいは高血圧などポンプ機能の負担が大きくなることなどがあります。また、心臓の機能低下が急に起こってきたのか(急性心不全)、徐々に起こってきたのか(慢性心不全)によって、心不全の種類や程度はさまざまです。
心不全の症状とその特徴
心不全の症状は実に多様ですが、大きく分けると主に心臓が血液を送り出す働きが低下していることによる症状と、血液を受け取る働きが落ちたことによる症状があります。
前者は心臓から送り出される血液量が減ったのが原因です。「疲れやすさ」「だるさ」などを感じることが多くあります。
心臓から血液が出ていきにくくなると、心臓に血液が溜まってしまいます。これにより、息苦しさやむくみ等を感じる場合があります。
心不全の治療と注意点
急性心不全の時は、入院を必要とすることが多く、安静にしながら酸素吸入を行ったり、一時的に心臓の働きを高める薬を使ったりします。慢性心不全では、体内の水分を取り除く「利尿剤」、心臓の働きを手助けする「ジギタリス剤」、心臓にかかる負担を軽減する「血管拡張剤」、心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用をおさえる「ベータ遮断剤」なども使用されます。
また、心不全のそもそもの原因をはっきりさせ、その病気を治療することが重要なのはいうまでもありません。例えば高血圧は心臓に大きな負担になるだけでなく、心臓の筋肉を劣化させてしまうことがあります。こういった場合には減塩などのコントロールが極めて大切です。
心不全の悪化予防で大事なこと
心不全を急激に悪化させないためには、日常生活の中でしっかり気を付けることが重要です。例として心不全の重症度に合わせた運動制限があげられます。とはいえ運動をしなければいいということではなく、心不全の程度に見合った適度な運動を行うことが大切です。
これに加えて食事管理も大切です。肥満や高血圧は心臓に負担をかけるので、脂質や塩分量が適切かチェックしてみることをおすすめします。禁煙やアルコールの制限によっても心不全の悪化を防ぐことができます。
まとめ
- 心不全とは、「心臓の働きが不十分な結果、起きた体の状態」をいい、様々な症状をきたす。
- 治療においては薬物療法や原因の病気の治療も重要だが、日々の生活の中で注意して行動することも悪化防止には重要である。
さらに詳しい情報
- Yancy CW, Jessup M, Bozkurt B, et al. 2013 ACCF/AHA guideline for the management of heart failure: executive summary: a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart Association Task Force on practice guidelines. Circulation. 2013;128(16):1810-1852. doi:10.1161/CIR.0b013e31829e8807
- Virani SS, Alonso A, Benjamin EJ, et al. Heart Disease and Stroke Statistics-2020 Update: A Report From the American Heart Association. Circulation. 2020;141(9):e139-e596. doi:10.1161/CIR.0000000000000757
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