内容監修
石黒 剛
GO ISHIGURO
石黒 剛
GO ISHIGURO
医師
大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。
高脂血症とはなにか
高脂血症とは、中性脂肪やLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が高い状態のことをいいます。現在では、コレステロールの中のHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が「低い」ことも問題があるとして、脂質異常症と呼ばれることも多いです。
高脂血症を放置すると
高脂血症が引き起こすものとして一番怖いのは、動脈硬化です。動脈硬化が起こると、血管が硬くなることに加えて、血管の中が狭くなったり、血栓という血管を詰まらせてしまうものが壁に付きやすくなったりします。
動脈硬化によって、心臓や血管の病気になる可能性が大きく高まります。心臓の病気でいえば心筋梗塞など、血管の病気でいえば大動脈解離・腹部大動脈瘤など、亡くなる危険性の高い病気になる可能性が高まります。
他には、脳の血管が破れる脳出血や、脳の血管が詰まる脳梗塞などになってしまう可能性も高まります。
高脂血症の治療と注意点
まずは何よりも生活習慣の改善が大切です。生活習慣の中でも、食事と運動の見直しが最も大切です。
食事は、伝統的な日本食は動脈硬化の予防に優れているといわれています。塩分のとりすぎにならないように注意して、伝統的な日本食になるべく近づけた食事をとるようにしましょう。
運動は、善玉コレステロールを増やしてくれたり、血圧を下げたりする効果もあり、非常に効果的です。しかし、運動をし過ぎても身体の負担となってしまうので、運動のし過ぎは避けるべきです。また、すでに心臓の病気などが重い場合も運動は避けるべきです。
この食事と運動を見直しても改善が無い場合は、薬を使う治療を行うことになります。
高脂血症のリスクを下げるために、いまからできることはありますか?
まずは食事を見直し、適度な運動を心がけましょう。運動は有酸素運動とよばれる、ウォーキング、水泳、スロージョギングなど、長時間続けて行えるものがおすすめです。1日30分以上、週3回以上行いましょう。この30分というのは、例えば朝昼晩で10分ずつのように分割しても構いません。
食事制限に関しては、肉類の脂身、バターなどの脂肪分をなるべく避けるようにしましょう。お肉であれば赤身のものを、牛乳は低脂肪乳に変更すると効果的です。
この食事と運動に関しては、高脂血症の状態によって程度が変わることがあります。まずは医師に相談し、正しい食事と運動の方法を教えてもらうようにしましょう。
また、たばこは動脈硬化の原因となるので禁煙を強くお勧めします。喫煙は、文字通り百害あって一利ナシです。お酒についてもできるだけ控えることが理想的です。加えて規則正しい十分な睡眠など、あらゆる面から生活習慣を見直すこときわめて重要です。
生活習慣の改善は、いつ始めても遅いということはありません。まずは食事から、気を配っていきましょう。こういった取り組みを一人でコツコツ続けることは難しく、例えば友人や同世代の人と一緒に取り組むことも効果的かもしれません。もちろん、医師のサポートを受けることも大きく意味があります。お気軽にご相談ください。
まとめ
・高脂血症は、中性脂肪や悪玉コレステロールが高い状態のことである。
・動脈硬化の原因になり、心筋梗塞や大動脈解離など亡くなってしまう病気のリスクが高くなる。
・まずは、生活習慣の見直しと改善が大切です。
・適切な食事と適度な運動を心がけましょう。
閲覧した文献
- 医療情報科学研究所. 『病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌』メディックメディア.