内容監修
石黒 剛
GO ISHIGURO
石黒 剛
GO ISHIGURO
医師
大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。
高血圧とはなにか
血圧の上が140以上、または下が90以上になると、高血圧とよばれる状態になります。高血圧には大きく分けて2つあり、本態性高血圧と二次性高血圧というものがあります。本態性高血圧は原因が分からないもので、生活習慣などが発症の原因と考えられています。二次性高血圧は、高血圧になる原因の病気があるものをいいます。たとえば、腎臓の血管に異常が生じることで血圧が上がる腎血管性高血圧などがあります。
高血圧のうち、約90%が本態性高血圧で、約10%が二次性高血圧といわれています。
高血圧の症状とその特徴
高血圧の症状自体はないと言って良いでしょう。しかし、症状がないからといって高血圧を放置しておくと、高血圧が原因となる様々な病気になる可能性が高まります。例えば、脳の血管が破れる脳出血、腎臓のはたらきが弱くなる慢性腎臓病、心臓のはたらきが弱くなる心不全、心臓の血管が狭くなったり詰まったりして起こる狭心症、心筋梗塞などがあります。こういった特性から、高血圧はサイレントキラーの異名を持ちます。
高血圧の治療と注意点
軽度の高血圧の治療では、まずは生活習慣の改善が重要です。食事に含まれる塩分の量を減らしたり、有酸素運動を増やすことが推奨されます。
塩分制限の目標は1日6gですが、実は日本人の平均摂取量は1日11gとされています。このことから、かなり気を付けて制限を行う必要があることがわかります。まず調味料を減塩のものに変える、できるだけ素材の味を楽しめるよう工夫する、麺類の汁は残すなどを心がけてみましょう。ちなみに、お醤油をスプレー状の容器に移し替えて使うと、少ない量でも味を感じやすいと言われます。また、加工食品には最初から塩分が多めに味をつけられている場合があります。塩分量の表記をチェックし、なるべく減塩と記載のあるものを選ぶことがおすすめです。
有酸素運動の例には、水泳、ジョギング、ウォーキングなど、長時間にわたって続けられる運動があげられます。これらは酸素をつかって脂肪を燃焼させる働きがあるため、体脂肪の減少や高血圧に効果があるとされています。
これらに加えて、禁煙・禁酒も大切です。当クリニックではそういったご相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
生活習慣の改善を行っても血圧の改善がみられない場合や、治療を始める時点でかなり血圧が高くなっているなど早く血圧を下げる必要があると考えられる場合は、血圧を下げる薬を使っていくことになります。薬を飲み始めた場合、グレープフルーツはなど、相性の悪い食べ物もあるので注意が必要です。明確な症状がないために薬の効果を実感したり、薬を飲み続けたりすることが難しい血圧の薬ですが、毎日飲み続けること、そして効果を感じるためにも血圧の測定を行うことも重要です。
高血圧に効果的なサプリメントはありますか?
高血圧の危険性については誰もが一度は聞いたことがあると思います。認知度の高さもあいまって、世の中には血圧を下げる効果を謳ったサプリメントが多く存在します。サプリメントに効果が全くないとは言い切れませんが、サプリメントは薬ではないので、効果があったとしても薬にはかないません。
よく、サプリメントは自然由来のものなので副作用が少ない、というようにとらえている方がいらっしゃいます。しかし、実際にはサプリメントにも添加物やコーティングのための成分が含まれています。加えて、こういった成分は、どのような副作用を身体にもたらすかよくわかっていません。薬は何十年も医療現場で使われてきているため、副作用について広く研究が行われ、できるだけ副作用の小さいと考えられるものが薬として処方されています。もしも副作用が生じたとしても、その場合にどうするべきかも研究されていますので、サプリメントよりも安心して飲んでいただけるものです。
まとめ
- 高血圧のほとんどが特に原因のない本態性高血圧
- 高血圧自体の症状はありませんが、脳出血などの病気の原因となります。
- 治療は減塩などの生活習慣の改善を中心に、継続的に薬を飲むことも大切。
さらに詳しい情報
- The sixth report of the Joint National Committee on prevention, detection, evaluation, and treatment of high blood pressure [published correction appears in Arch Intern Med 1998 Mar 23;158(6):573]. Arch Intern Med. 1997;157(21):2413-2446. doi:10.1001/archinte.157.21.2413
- 高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- [4] 高血圧とのおつきあい | 高血圧・腎臓病 | 循環器病あれこれ | 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス