メニエール病

内容監修

駒井 翼 

KOMAI TSUBASA

駒井 翼 

KOMAI TSUBASA

医師/日本内科学会 認定内科医 /日本心血管インターベンション治療学会 認定医 /心電図検定1級

循環器救急医療の最前線で若手医師として奮闘して参りました。救急車で運ばれてきた患者さんが無事に社会復帰できた瞬間に「猛烈なやりがい」を感じる一方、助けられなかった「生活習慣病の成れの果て」も多く経験しました。 「そうなる前になんとかしたい」と、「友達のように気軽に相談できる」かかりつけ医を目指します。日本人の医療リテラシー向上のため医学教育にも関わっています。

メニエール病とはなにか

耳は、外耳・中耳・内耳の3つに分けられます。このうち内耳では、音の感覚と、身体のバランス感覚の両方をつかさどっています。メニエール病は内リンパ水腫(内耳のリンパ液が増え、水ぶくれの状態になること)により、バランス感覚が正常に保てなくなってしまってめまいや難聴などを起こす病気です。その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられています。30~50歳代の女性によく起こります。

メニエール病の症状とその特徴

音の感覚とバランス感覚は内耳の中の別の場所が担当しているため、それぞれがどの程度水ぶくれになるかで症状が異なります。音の担当部分が強く水ぶくれになれば、難聴を感じます。水ぶくれが弱ければ難聴はあまり感じられず、「耳が詰まった感じ」や「耳鳴り」、「音が響く感じ」が出る場合もあります。バランス感覚の担当部分が強く水ぶくれになれば、めまいを自覚します。めまいの強さも「グルグル回転する激しい」ものから、「フワフワ雲の上を歩いている感じ」のものまで様々です。1回のめまいの持続時間は10分程度から数時間程度で、このような症状が発作性で反復することが特徴です。

メニエール病の治療と注意点

発作が強く吐き気がひどい時は、安静にしてめまい止めの点滴を行います。薬が飲める状態であれば、めまい止めをはじめとするいくつかの薬を組み合わせて使用します。発作の初期に上手に薬を用いることで、大きな発作を予防したり症状を軽くすることができます。しかしメニエール病にはストレス・睡眠不足・疲労が関与していると考えられているので、薬によって症状を抑えつつ、ゆっくりとストレスの原因を見つめ直したり、生活習慣を正すことが必要です。日常の食生活に関しては、塩分、アルコールは内リンパ水腫をひどくするため、またカフェインは睡眠を妨げるため、いずれも避けることが好ましいです。

メニエール病は完治しますか?

メニエール病は簡単に治る病気ではなく、再発の多い病気ですが、適切な治療によって、反復する発作を落ち着かせ、耳鳴りや難聴の悪化を防ぐことが可能です。

まとめ

  • メニエール病は内リンパ水腫(内耳のリンパが増え、水ぶくれの状態)により、めまいや難聴などを起こす病気である。
  • 完治は難しいが薬物治療や生活習慣の改善によって症状を落ち着かせることができる。

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