メタボリックシンドローム(メタボ)

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

メタボリックシンドローム(メタボ)とはなにか

 メタボリックシンドローム(メタボ)とは、肥満をベースとして、さらに脂質の異常や糖尿病、高血圧などが合わさり、動脈硬化につながる危険な状態のことを指します。メタボには診断基準というものがあります。

診断基準は、①おへその周りを計った腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上 ②血圧・血糖・脂質のうち2つが基準値から外れる の①②をともに満たす場合です。

 まず、①のウエストについてです。これは内臓脂肪がどれくらい蓄積しているかの指標になります。肥満の指標として有名なものにBMIがありますが、BMIの数値で肥満とされてもメタボではない場合もあります。

 また②の高血糖、血液の中の脂質の異常、高血圧も条件で、この中の2つが基準値より高いと、①とあわせてメタボと診断されます。

 メタボ=肥満のイメージを持たれている方も多いと思いますが、必ずしもそうではありません。確かに、肥満であればメタボの診断基準にあるウエストの長さを満たす場合が多いです。しかし、肥満であっても、高血糖や高血圧、脂質の異常がなければメタボとは診断されません。

とはいえ、肥満であるということはメタボの条件のうち1つを満たしているということですし、肥満であることで高血糖や脂質異常は起きやすくなります。少しでも適正体重に近づくようにすることが大切です。

メタボリックシンドローム(メタボ)の危険性

 メタボリックシンドロームの怖いところは、ただ少し太ってしまったというだけでは終わらないことです。内臓脂肪が増えることで、高血圧や糖尿病、脂質の異常といった生活習慣病につながり、心臓や血管の病気になってしまう可能性が非常に高くなります。たとえば心臓や脳の血管が詰まる心筋梗塞や脳梗塞などです。これらは命の危機に直結する病気です。メタボのの状態で放置することなく、適切な治療を行うことが必要です。

メタボリックシンドローム(メタボ)の予防とその重要性 

 メタボの予防には、内臓脂肪を減らすことが一番大切です。そのためには、適切な食事や適度な運動などが最も大切です。注意すべき点としては、やみくもに食事を減らしたり、身体の状態に合わない激しい運動をしたりすると、かえって悪影響を及ぼすことがあるという点です。適切な食事や適度な運動の方法については、たとえば健康診断の際などに、医師に相談をいただければと思います。

 加えて、たばこは動脈硬化のリスクのひとつとされていますので、早めに禁煙をしましょう。また、規則正しい睡眠を心がけることも大切です。睡眠不足や不規則な睡眠などは、食べ過ぎてしまうなど食欲に影響が出てしまい、内臓脂肪の蓄積に関係します。

 メタボと診断された方は、通常の方の数倍血管が詰まりやすいと言われています。言い換えると、いつ心筋梗塞や脳梗塞が起こって倒れるか分からない状況です。少しずつでも食生活や健康習慣に気を配ることで、そのリスクを減らすことができます。

まとめ

・メタボは動脈硬化が起きやすく、心臓や血管の病気になりやすい危険な状態です。
・ウエストの長さ、高血圧、高血糖、脂質の異常をみて診断されます。
・肥満の人が必ずメタボな訳ではありませんが、肥満の解消は重要です。
・食事と運動の見直しに加え、禁煙や睡眠不足の解消などを目指していきましょう。

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