関節リウマチ

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

関節リウマチとはなにか

 関節リウマチは、自己免疫が関係した病気と考えられていますが、明確な原因はまだ分かっていません。自己免疫が原因で関節に炎症が起こり、関節の痛みなどの症状が引き起こされます。また、炎症が長く続くことで最終的には骨や軟骨が破壊されてしまい、関節の破壊に至ってしまいます。

 関節リウマチの患者さんは、日本の人口の0.6~1%、約100万人近くいるといわれています。患者さんは、男性よりも女性がかなり多く、40~50歳代で発症する場合が多いです。

関節リウマチの症状とその特徴

 関節リウマチの症状は、大きく分けて、関節の症状と関節以外の症状の2つに分けられます。

 関節の症状は、全身のどの関節にも起こる可能性があります。典型的なのは、手の指の第2関節と指の付け根の関節、足の親指の付け根の関節に起こる痛みや腫れです。これらの関節に炎症が長い間起こると、指の変形が起こってしまいます。また、特徴的な症状として朝起きた時の手や指のぎこちなさがあり、「朝のこわばり」と呼ばれます。

 関節以外の症状は、関節の症状が強い患者さんや、発症してからの期間が長い患者さんで現れることがあります。関節以外の症状も、全身の様々な部分でみられますが、皮膚や肺、腎臓、眼などに出る症状が比較的有名です。

関節リウマチの治療と注意点

 関節リウマチの治療は、まず、今どれくらいの関節に炎症があるか、どれくらいの痛みがあるのか(これを病気の「活動性」といいます)等を評価することが大切です。この活動性をもとに治療を決めることで、強すぎる治療や弱すぎる治療になってしまわずに、患者さんにあった適切な治療を行うことができます。この活動性の評価の仕方は色々ありますが、DAS28というものが良く用いられます。

 治療は主に薬で行います。薬は、関節の骨や軟骨の破壊を抑えるための薬と、痛みなどを抑えるための薬を使います。骨や軟骨の破壊を抑える薬は、メトトレキサートというもので始めて、効果が不十分だとより強力な生物学的製剤というものを使う場合が多いです。

関節リウマチの経過と進行

関節リウマチは、発症して数年間が最も早く関節の骨や軟骨の破壊が進むこと、そしてその時期が薬の効き目が良いことが分かっています。そのため、少しでも早く関節リウマチと診断を受けて治療を開始することが重要です。発症してからすぐに治療を開始できると、その後関節の破壊の進行はゆるやかになり、生活に支障が出ることも少なくなります。しかし、治療が遅れると関節の破壊が進んで、関節の変形が起こったり、関節以外の症状が出たりして、生活にも支障が出てしまいます。

 治療の目標は、適切な治療を行い症状がほとんどないくらいの状態(寛解)にもっていくこと、そしてこの寛解を維持していくことになります。

まとめ

  • 関節リウマチは自己免疫が関係して、関節に炎症が起こる病気である。
  • 関節に起こる症状と、関節以外に起こる症状がある。
  • 朝のこわばりが特徴的である。
  • 病気の活動性の評価が重症で、それに基づいて治療を行う。
  • 治療の開始は早ければ早いほど良いく、寛解の維持を目標とする

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