AGAの治療薬として使用されているミノキシジル。「薄毛や抜け毛にどんな効果があるんだろう?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。本記事では、ミノキシジルの効果や注意点について解説しています。
- ミノキシジルの市販薬を購入するか迷っている
- ミノキシジルを使用する際に気をつけるべきことが知りたい
上記に当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ミノキシジルには発毛を促す効果が認められている
ミノキシジルは、毛根を保護している毛包を大きくして、髪の毛の成長期を刺激することにより発毛を促進する効果があります。国内・海外で行われた複数の研究で、ミノキシジルの発毛促進効果が報告されています。
たとえばミノキシジルが5%配合された塗り薬をAGAの方に使用した研究では、48週間で1㎠あたり18.6本髪の毛が増加したという結果でした。ミノキシジルを使用しなかった場合は3.9本の増加に留まっているので、ミノキシジルを使用することで発毛促進効果が期待できるといえるでしょう。(参考:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版)
ミノキシジルが効果を示すメカニズム
ミノキシジルは毛包に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促進する作用があります。休止期の毛包を活性化させたり、成長期であっても小さくなってしまった毛包を大きくさせたりすることで、発毛と髪の毛の成長を促します。
AGAは、髪の毛の成長期が極端に短くなることで薄毛や抜け毛が進行する疾患です。休止期の毛包が成長期に移行しないことも、髪の毛が増えない原因の一つになっています。ミノキシジルは休止期と成長期の毛包の両方にアプローチできるのが特徴です。
ミノキシジルの効果と安全性が認められているのは塗り薬のみ
ミノキシジルが日本国内でAGAの治療薬として認められているのは塗り薬のみです。通販ではミノキシジルの飲み薬も販売されていますが、AGAの治療ガイドライン上ではミノキシジルの飲み薬は治療法として推奨されていません。
飲み薬が推奨されていない理由は、有用性や危険性に関する検証が十分に行われていないためです。ミノキシジルの飲み薬は、もともと高血圧の治療薬として開発されました。海外で承認された後、副作用として全身の多毛症が報告されたのです。
しかし日本では高血圧の治療薬としても、男性型脱毛症の治療薬としても承認されていません。通販で販売されている飲み薬は、日本で定められている医薬品の承認基準に則ったものではない点には注意が必要です。塗り薬については、治療ガイドライン上でも使用が推奨されています。
ミノキシジルの効果を実感しやすくするためのポイント3つ
ミノキシジルの効果を実感しやすくするために心がけてほしいポイントを3つ解説します。
- 4か月以上治療を継続する
- 正しい使用方法を守る
- 飲み薬のAGA治療薬と併用する
4か月以上治療を継続する
ミノキシジルの塗り薬は、4か月以上継続することを前提に使用してください。髪の毛が成長するまでにはある程度時間が必要で、臨床試験では4か月使用後から効果が認められています。(参考:ヒックス ミノキシジル5)
市販されているミノキシジルの塗り薬を購入する場合は、使用開始後4〜6か月の間で効果を実感できるか判断しましょう。もし6か月以上使用してもまったく効果が見られない場合は、薬が適していない可能性も考えられます。使用していた塗り薬を持って医師や薬剤師に相談してください。
正しい使用方法を守る
ミノキシジルの塗り薬は、用法・用量を守って使用してください。指示された用法・用量から外れて使用した場合の効果については検証されていません。
ミノキシジルの塗り薬は20歳以上の男性が使用可能で、1日2回塗る必要があります。1回あたりの用量は1mLで、市販されている塗り薬の多くは自動的に1回量が計量されるようなボトル設計になっています。
飲み薬のAGA治療薬と併用する
ミノキシジルの塗り薬だけでは効果不十分の場合、飲み薬のAGA治療薬と併用することで効果を実感しやすくなる場合があります。日本におけるAGA治療で一般的に用いられている飲み薬は、プロペシア(成分名:フィナステリド)とザガーロ(成分名:デュタステリド)です。
塗り薬と飲み薬の成分は、AGAに対する効果のメカニズムが異なります。塗り薬の働きは、毛根を包んでいる毛包に直接作用することによる発毛促進です。一方飲み薬は、脱毛シグナルの原因になるホルモンの産生に関わる酵素を阻害することで脱毛を抑制します。医療機関での治療では、飲み薬のみで効果不十分の場合に塗り薬を併用するのが一般的です。
ミノキシジルを使用する際の注意点4つ
ミノキシジルの塗り薬を使用する際に知っておいてもらいたい注意点を4つ解説します。
- 効果を十分に実感できない可能性がある
- 副作用のリスクがある
- 初期脱毛が起こる可能性がある
- 使用できる人が限られている
効果を十分に実感できない可能性がある
ミノキシジルの塗り薬を使っても、すべてのケースで効果を実感できるわけではありません。AGA以外の脱毛症が原因の場合や進行したAGAの場合、6か月以上使用しても効果を感じられない可能性も考えられます。
AGA治療専門の医療機関で行われている治療では、一般的にミノキシジルの塗り薬と他の飲み薬を併用します。市販薬で手に入るのは塗り薬のみなので、もし市販の塗り薬で効果を実感できなかった場合は専門の医療機関に相談してみてください。
副作用のリスクがある
すべての医薬品には副作用のリスクがあり、ミノキシジルの塗り薬も例外ではありません。ミノキシジル使用後に現れた症状としてかゆみや赤みなどの皮膚症状が報告されていて、発生頻度は6%です。もし市販の塗り薬を使用して頭皮に異常が現れた場合は、使用を中止して医師や薬剤師に相談してください。
初期脱毛が起こる可能性がある
ミノキシジルを使い始めてから10日前後経過すると、人によっては抜け毛が増えたように感じることがあります。「初期脱毛」とよばれており、ヘアサイクルの乱れが正常に戻る過程で起こる現象です。新しい髪の毛へと生え替わるために、退行期にある髪の毛が一気に抜け落ちることで起こります。
初期脱毛は、治療開始から10日前後で始まって1か月半ほどで終わるのが一般的です。もし2か月以上脱毛が続く方や、治療の経過について不安なことがある方は、専門の医療機関で一度相談しましょう。
使用できる人が限られている
ミノキシジルの塗り薬を使用できるのは、20歳以上の男性のみです。20歳未満の男性については、臨床試験による有効性と安全性が検証されていません。20歳未満の男性でAGA対策を取り入れたい方は、ミノキシジルを配合していない医薬部外品の育毛剤や育毛シャンプーなどを使用してください。
ミノキシジルの市販薬は1か月あたり3,000〜8,000円
市販されているミノキシジルの塗り薬は、1か月あたり3,000〜8,000円で購入できます。市販薬にはミノキシジルのみを配合した商品と複数の有効成分を配合した商品があり、一般的には有効成分の種類が少ないほど費用を抑えられる傾向です。
なおAGA専門の医療機関でミノキシジルの塗り薬を処方してもらう場合、多くのケースで飲み薬と併用することが考えられます。医療機関で治療する場合は、市販薬のみで対応する場合と比較して費用相場は高くなるでしょう。市販薬のみで6か月以上継続しても効果不十分であれば、専門の医療機関に相談するのもよいかもしれません。
まとめ
ミノキシジルは発毛促進効果のあるAGA治療薬です。通販では飲み薬も販売されていますが、日本国内でAGA治療薬として承認されているのは塗り薬のみです。ミノキシジルは使い始めてから効果を実感できるまでに最低でも4か月かかるため、治療は根気よく続けましょう。
なおミノキシジルは、プロペシアやザガーロなどの飲み薬と併用することでより高い効果が期待されます。市販薬のみで効果不十分の場合は、一度AGA治療専門の医療機関に相談してみてください。