ピルの避妊効果はいつから?PMSやニキビの場合は時間がかかるって本当?

「ピルが避妊や生理痛に効くと聞くけれど、飲んですぐに効果が出るの?」

「避妊はしたいけれど、ピル飲んでも効き始めまで時間がかかるならやめておこうかな」

ピルは避妊に始まり、生理痛やPMS、ニキビの改善など、多くのトラブルに効果を発揮してくれる、女性の頼もしい味方です。

ただ、ピルが効果を示し出すまでの期間の長さは目的によってもさまざま。

この記事では、目的別にピルの効果が現れるまでの時間や、そもそもピルの効果はどのように発揮されるかのメカニズム、そして飲み忘れた時の対応までお伝えさせていただきます。

ピルの効果はいつから?

一般的に「ピル」という言葉は低用量ピルを指すことが多いため、今回は低用量ピルの効果がいつから現れるかについて、服用する目的ごとにご説明させていただきますね。

避妊

避妊効果については、ピルを飲み始めるタイミングによっていつから現れてくるかが異なります。

 

①生理初日から服用する場合(Day1スタート)

生理が始まってから24時間以内に服用を開始した場合は「服用当日から」避妊効果が得られます。

なるべく早くピルの避妊効果を得たい人には適した方法です。

 

②生理が始まった週の日曜日から服用する場合(Sundayスタート)

生理が始まった週の日曜日から服用を開始するSundayスタートは、ピル服用中にも月1回訪れる生理(消退出血)が週末に被らないため、デートや遊びの計画に支障が出にくいと言うメリットがある方法です。

しかし、服用を開始してから効果が現れるのは「1週間後から」となりますので、それまでは性交渉を避けるか、他の避妊法を併用する必要があります。

 

③そのほかの日から服用を始める場合

低用量ピルの飲み始めは、原則上に示したDay1スタートもしくは、Sundayスタートの2種類です。

ただし、それ以外の日に服用を始めてはいけないわけではありません。

その場合は「連続して7日以上服用」すれば、避妊効果が現れると言われています。

それまでは、性交渉を避けるか、他の避妊法を併用するようにしましょう。

生理痛、PMS、月経過多など生理にまつわるトラブル

「約1ヶ月後に訪れる次の生理時」には効果が出てくる人が多いです。

ピルを飲み始めることにより、卵胞ホルモンや黄体ホルモン量が通常よりも抑えられ、排卵が起こらなくなります。

排卵が起こらないことで、生理の時の出血の元になる子宮内膜の増殖が抑えられ、PMSや辛い生理痛、生理過多などを緩和することが期待できます。

ニキビ

「服用後2〜3ヶ月目から実感できる」場合が多いです。

個人差もあるため、早い場合は1ヶ月目から効果を感じる人もいます。

ただ、ホルモンバランスが整っても、肌のターンオーバーが起こるまで多少タイムラグがあるため、他の効果よりは実感できるようになるまで少し時間がかかります。

生理日の調整

生理日の移動は生理予定日を早めるか遅らせるかにもよりますが、どちらにしても「生理3日目までに服用を開始すれば、次回(約1ヶ月後)の生理をずらすことが可能」になります。

中用量ピルを用いて生理日を遅らせる場合については、「避けたい期間の開始日5〜7日前の服用開始」であっても効果を発揮することができます。

癌の発症リスク低下

癌の種類にもよりますが、効果が現れるまでは「年単位での服用が必要」と言われています。

そのなかでも卵巣癌、子宮体癌に関しては、ピルを使用している期間が長いほど発症のリスクを軽減させる効果が高いと言われています。

卵巣癌では、ピルを飲み始めて1年未満であれば9%のリスク軽減効果が見られますが、服用期間が長くなるごとに軽減率は上がり、10年以上の服用で50%リスクを軽減させることができると言われています。

子宮体癌は4年間の使用で56%、8年間の使用で67%、12年間の使用で72%リスクが低下したと報告されています。

大腸癌に関しては、服用期間の長さがリスク低下にどれほど関係あるかについてはまだはっきりと示されていませんが、ピルの服用によってリスクが低下することは報告されています。

低用量ピルの効果のメカニズムは?

低用量ピルが効果を示すのはいつからになるかをご説明させていただきました。

次からは、そもそもそれらの効果はどのようなメカニズムで示されるのかをお伝えさせていただきます。

避妊効果

ピルを服用することで、脳に「妊娠した」と錯覚させ、排卵を抑制することで避妊効果を示します。

具体的には、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含んだ低用量ピルを服用することで、脳はこれ以上女性ホルモンを分泌する必要がないと錯覚します。

それにより、卵子の成熟を促すホルモンや排卵を誘発するホルモンが減少し、排卵が起こらなくなります。

また、通常であれば、卵胞ホルモンの働きにより排卵に備え子宮内膜が厚くなりますが、ピルの服用中は卵胞ホルモン濃度が低く抑えられているため、子宮内膜の増殖が抑えられることで、着床しにくくなります。

こうして排卵自体を抑え、着床する確率も下げることで、ピルは避妊効果を示すのです。

PMS・生理痛の緩和

PMS(月経前症候群)とは、女性ホルモンのバランスが変動することで、月経が始まる前に3〜10日間続く、心身の症状を指します。

代表的な症状として、イライラや眠気、情緒不安定などの精神症状の他、食欲不振や過食、倦怠感などの自律神経にまつわる症状、頭痛や腰痛、むくみなどの身体症状が挙げられるでしょう。

このPMSが起こるメカニズムは、未だ明確に解明されていませんが、一説では、排卵後に大量に分泌されていた卵胞ホルモンと黄体ホルモンが、生理前に急激に低下することにより、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすとも言われています。

そのため、ピルの服用により女性ホルモンの全体量が抑えられ、変動が穏やかになることで、PMSの諸症状が改善すると言われています。

ニキビの改善

生理後に分泌される卵胞ホルモンには、皮脂の分泌を抑え、肌に潤いを保つ効果がありますが、排卵後に分泌が盛んになる黄体ホルモンの方は、それとは反対に皮脂の分泌を促す作用を示します。

このため、生理後は肌の調子が良いけれど、生理前になるとニキビができやすくなるという人も多いでしょう。

また、皮脂の分泌を促進する作用のあるホルモンとしては、アンドロゲンという男性ホルモンも挙げられます。

ピルを内服することによって、黄体ホルモン、アンドロゲンの分泌量を抑えることができるため、皮脂の分泌量が減り、ニキビができにくくなります。

また、常に低容量の卵胞ホルモンが存在する状態になるため、肌の潤いも保たれた状態になります。

生理日の変更

生理は、排卵後に分泌量が増加していた卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、下がり切ることで開始します。

そこで、生理日を遅らせる場合は、ピルの服用により黄体ホルモン量をキープし続けて、生理が始まらないようにするという仕組みです。

ただ、低用量ピルを用いる場合、途中で出血が始まってしまう可能性もありますので、より確実性を求めるのであれば卵胞ホルモンが多めに含まれている中用量ピルを使うこともあります。

また、生理を早める場合は、前の生理がきている段階でピルの服用を始め、体内に低容量の女性ホルモンがある状態をキープし続けます。

ピル服用をやめた時点でそれらのホルモンが無くなるため、消退出血という形で生理を起こすようになっています。

癌の発症リスクの低下

子宮体がんの発症には、卵胞ホルモンの関与が大きいと言われており、卵胞ホルモンの値が高いことで子宮体癌や子宮内膜がん発症のリスクが高くなることがわかっているため、ピル服用によって卵胞ホルモンの分泌量を抑えることが、子宮体癌のリスク軽減になるとされています。

また、卵巣がんが発症する要因の1つとして、排卵回数の関与が指摘されています。

ピルの服用により、生涯の排卵回数が減少することで、卵巣がんの発症リスク低下に繋がると言われています。

ピルを飲み忘れた時は?

目的によっては服用開始直後から効果が現れ始めるピルですが、毎日決まった時刻に、忘れず服用することが重要であり、適当に飲んでいるだけでは効果が現れてこないので注意しましょう。

特に避妊を目的に服用している場合、飲み忘れによって期待していた効果が得られないと、予期せぬ妊娠に繋がってしまう恐れがあります。

そのため、ピルを飲み忘れた際は、以下のように対応するようガイドラインで推奨されています。

1回分飲み忘れた場合

直前に服用してから24時間〜48時間の間に飲み忘れに気づいた際は、

「飲み忘れた錠剤は気づいた時になるべく早く服用し、その次の服用分からはいつも決めている時間に服用する」

とされています。

もし、気づいたのが飲み忘れた翌日の服用時刻であった場合は、その時2錠一緒に飲んでも構いません。

1回分の飲み忘れの場合、避妊に対する効果は、通常通り服用していた場合と比べてほとんど変わらないとされています。

ただ、休薬期間の前後1週間(シートの1列目もしくは3列目)に飲み忘れた場合は、妊娠の可能性をより低くするために緊急避妊を検討しても良いでしょう。

2回連続で飲み忘れた場合

直前に服用してから48時間以上経過してから、飲み忘れに気づいた際は、

「飲み忘れた錠剤のうち、直近のものを気づいた時になるべく早く服用し、その次の服用分からはいつも決めている時間に服用する」

とされています。

ただ、2回連続で飲み忘れた場合は、期待される避妊効果が得られない可能性が高いため、

「その後7日以上連続して服用するまでは性交渉を避けるか、他の避妊法を併用する」

ようにしましょう。

また、すでに性交渉を行なった場合について

・第1週に飲み忘れた場合

飲み忘れの直前5日以内に性交渉を行った場合は、緊急避妊を検討しましょう。

・第3週に飲み忘れた場合

休薬期間を設けず(プラセボがある場合はそれを飲まずに)現在のシートの実薬を飲み終えたら、すぐに次のシートの服用を始めましょう。

まとめ

目的別にピルの効果がいつから現れるか、またそのメカニズムや飲み忘れた際の対応までお伝えさせていただきました。

低用量ピルの主たる目的である避妊効果は服用を始めてまもなく発揮されますが、飲み忘れにより容易に効果は薄れてしまうため、注意が必要でしょう。

また、その他の目的で低用量ピルを服用する際は数ヶ月〜場合によっては数年単位での服用が必要である場合もあります。

効果が現れるまでは個人差もありますので、服用に際して気になることや不安がある方は処方医に相談してみると良いでしょう。

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