AGAの治療薬としてよく使用されているプロペシア。「薄毛や抜け毛にどれくらい効果があるんだろう?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。本記事では、プロペシアの効果や服用時の注意点について解説しています。
- プロペシアはいつから効果が出始めるのか知りたい
- プロペシアでAGA治療する際に気をつけることが知りたい
上記に当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
プロペシアの効果は抜け毛の抑制
プロペシア(成分名:フィナステリド)は、抜け毛を抑えることでAGAの進行を遅らせる効果がある飲み薬です。
日本人を対象とした臨床試験で、プロペシア1mgを約1年間服用した場合に一定以上の改善効果が得られた割合は58%と報告されています。継続して服用するほど効果を実感できる割合が増え、3年間服用後は78%の症例で効果が得られています。
年齢やAGAの進行度も効果に影響していて、40歳未満の症例や重症度の低い症例ではより高い効果が示されました。(参考:プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg)プロペシアの脱毛抑制効果を実感するには、早期に治療を始めて継続することが大切です。
プロペシアが効果を示すメカニズム
プロペシアは、5αリダクターゼという酵素の働きを抑えることで脱毛抑制効果を発揮します。5αリダクターゼは、男性ホルモンの一種であるテストステロンをデヒドロテストステロンに変換する酵素です。
デヒドロテストステロンは、毛根に作用することで毛母細胞の増殖を抑制し、髪の毛を脱毛させる作用があります。ヘアサイクルを正常に保つ上で必要な役割ですが、ジヒドロテストステロンが過剰に産生されると、髪の毛の成長期が短くなってしまうのです。
プロペシアは酵素の働きを抑えることで、ジヒドロテストステロンが過剰に産生されるのを防ぎます。ヘアサイクルの乱れが改善されることで、AGAの進行が抑えられるという仕組みです。
プロペシアの効果を実感するために6か月以上継続しよう
プロペシアによるAGAの進行遅延を実感するには、最低でも6か月間は治療を続ける必要があります。また、効果を持続させるためには6か月経過後も継続して薬を飲むことが大切です。
6か月以上飲み続けても抜け毛や薄毛の進行がまったく遅くならない場合は、服薬を中止して他の治療法に切り替える必要があるでしょう。ただし効果が出ていないと感じても自己判断で中断せず、こまめに経過を見つつ医師と相談しながら治療を進めてください。
プロペシアと他のAGA治療薬との効果の違い
AGAの治療で主に使われている薬は、プロペシア以外にザガーロ(成分名:デュタステリド)とミノキシジルがあります。プロペシアと他の治療薬はどのような効果の違いがあるのか見ていきましょう。
ザガーロとの違い
プロペシア(成分名:フィナステリド)とザガーロ(成分名:デュタステリド)は、どちらも5αリダクターゼという酵素の働きを抑える作用がある飲み薬です。5αリダクターゼはI型とII型に分かれ、プロペシアはII型のみに作用するのが特徴です。一方ザガーロは、I型とII型の両方に作用する点がプロペシアと異なります。
医療機関における治療では、基本的にプロペシアで治療が開始されます。経過を見て効果が不十分と判断された場合は、ザガーロに切り替えるのが一般的な流れです。薬の値段はプロペシアの方が安価であるため、効果が十分に実感できればプロペシアで治療を継続した方が費用を抑えられます。
ミノキシジルとの違い
プロペシアとミノキシジルは、薬の使い方と作用のメカニズムが異なります。日本でAGA治療薬として認められている薬に限定すると、プロペシアは飲み薬、ミノキシジルは塗り薬です。医療機関における治療では、プロペシアだけでは効果不十分の場合にミノキシジルを併用するのが一般的です。
AGAに対して効果を示すメカニズムにも違いがあります。プロペシアは酵素の働きを抑えることで抜け毛を抑制するのに対し、ミノキシジルは毛根を包んでいる毛包に直接作用して発毛を促す働きがあります。作用の異なる薬を併用することで、より高い効果が期待できるのです。
プロペシア服用時の注意点3つ
プロペシアを服用する際の注意点が3つあります。
- 副作用のリスク
- 妊活への影響
- 20歳未満の男性は服用不可
副作用のリスク
医薬品には必ず副作用のリスクがあり、プロペシアにもいくつかの副作用が報告されています。主な副作用である性欲減退と肝機能障害、ポストフィナステリドシンドローム(PFS)について解説します。
性欲減退
プロペシア服用後に性欲減退の副作用が現れる確率は1.1%です。性欲減退とあわせて、0.7%の確率で勃起機能不全、0.4%の確率で射精障害も報告されています。(参考:医薬品インタビューフォーム)AGAの治療期間中に妊活を検討している場合は、治療開始のタイミングや副作用が現れた場合の対処方法などについて、あらかじめ医師と相談しておいた方がよいでしょう。
肝機能障害
海外での臨床試験において、プロペシア服用後に肝機能障害が生じたという報告があります。具体的には、ASTやALT、γーGTPといった肝機能に関する値が上昇する可能性があります。医療機関を通さずにプロペシアと同じ成分の薬を購入して服用する場合、血液検査で肝機能の異常がないかどうかを確かめられないため注意が必要です。AGAの治療薬は通販でも手に入りますが、安全性を考慮すると医療機関での治療が推奨されます。
ポストフィナステリドシンドローム(PFS)
ポストフィナステリドシンドローム(PFS)とは、プロペシア(成分名:フィナステリド)の服用を中止しても副作用が持続してしまうことです。性欲減退や勃起機能不全、射精障害に関して、プロペシアを中止した後も症状が続いたケースが報告されています。
性欲減退や勃起機能不全、射精障害の副作用発生頻度自体が1%前後であることから、PFSの発生頻度はまれであることが予想されます。しかし、とくに妊活を考えている方は医師と相談しながら慎重に検討する必要があるでしょう。
妊活への影響
性欲減退や勃起機能不全、射精障害の副作用が報告されていることから、妊活への影響は考慮する必要があります。
ただし、プロペシア服用中でも原則として妊活は可能です。海外の臨床試験では、精液中にプロペシアの有効成分(フィナステリド)が移行した割合は、服用量の0.00076%以下と報告されています。(参考:プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書)精液中にもごく微量ながらフィナステリドが含まれる可能性はあるものの、妊娠や胎児の発育には影響がないといえます。
データ上はプロペシアを服用しながらの妊活は可能ですが、医療機関によっては妊活を始める数か月前から服用を中止することもあるようです。事前に医師と相談し、納得して治療を受けられるようにしましょう。
20歳未満の男性は服用不可
20歳未満の男性はプロペシアを服用できません。臨床試験では、20歳以上の男性に対する有効性と安全性のみ検証されているためです。20歳未満の方で薄毛や抜け毛が気になる方や、AGA対策を始めたい方は、育毛剤や育毛シャンプーなどを使ったケアを取り入れてみてください。
プロペシアは専門医に相談した上で服用しよう
プロペシアはAGA治療専門の医療機関に相談した上で服用することをおすすめします。専門医にみてもらうことで、効果や副作用をより正確に判定しながら治療を進められるためです。
プロペシアと同じ成分を配合した医薬品はインターネット上でも販売されています。しかし効果の判定が自己判断になってしまったり、血液検査が必要な副作用に関して発見が遅れてしまうリスクが考えられます。インターネット上では、日本の医薬品の承認基準を満たしていない医薬品が販売されている可能性もあるため注意しましょう。
プロペシアの価格相場は1か月あたり約10,000円
プロペシアは保険適用外の医薬品であることから、薬の値段は各医療機関が自由に設定可能です。一般的な価格は1か月あたり8,000〜10,000円程度で、お薬代に診察代や検査代が加わります。
なお、医療機関によってはジェネリック医薬品のフィナステリドを取り扱っているところもあります。ジェネリック医薬品であれば半分程度まで費用を抑えられる可能性があるので、コスト面で迷っている方は検討してみてください。
まとめ
プロペシアは、抜け毛に関与する酵素の働きを抑えてAGAの進行を遅らせる飲み薬です。効果を実感するには最低でも6か月以上の継続が必要なので、根気強く治療に取り組みましょう。塗り薬と併用することで、さらに効果を感じやすくなることが期待できます。
医薬品であることから、副作用のリスクも考えなくてはなりません。性欲減退や勃起機能不全、射精障害などが報告されているので、妊活を考えている方は事前に医師と相談しながら慎重に治療のスケジュールを検討してください。