NIPT(新型出生前診断)の費用はいくら?従来法との比較や認可医療機関についても説明

NIPT(新型出生前診断)の費用はいくら?従来法との比較や認可医療機関についても説明

お腹の中の赤ちゃんの染色体や遺伝子異常の可能性を検査できるNIPT(新型出生前診断)。

お母さんの血液から、産まれる前に赤ちゃんの健康状態を知れる簡単な検査であるため、今注目されています。

しかし費用が高く、医療機関によっては受ける際の条件がある検査です。また気軽に受けられるからといって、検査の目的や結果の受け止め方を十分認識せずに検査してしまうリスクも知っておく必要があるでしょう。

この記事では、NIPTにかかる費用とメリット、デメリットのほかに、認可施設と認可外施設の違いについても説明します。

NIPT(新型出生前診断)にかかる費用は?

NIPTは、採血によって採取された血液中に含まれる胎児のDNAを検査して、染色体や遺伝子異常の可能性を調べます。採血とはいえ、染色体や遺伝子を調べるには専門の医療機器が必要なため、費用は高額です。

まずは、NIPTにかかる費用相場とその他の出生前診断にかかる費用相場を紹介します。

NIPTにかかる費用相場

NIPTにかかる費用は、一般的に20万円前後で、自費診療です。

通常、頻度の多い染色体異常の検査が基本料金に含まれており、それ以外の検査はオプションになっている医療機関もあります。

当然、オプションで調べたい染色体・遺伝子異常の可能性が増えれば増えるほど、費用は高額になります。 また、NIPTの費用にカウンセリングの費用も含まれているかも確認する必要があるでしょう。

NIPTは、胎児の染色体や遺伝子に異常の可能性がないかを確認できます。しかし、もし陽性、つまり異常があると判定された場合の心構えが重要です。検査の意味や目的、結果の受け止め方を事前にカウンセリングできちんと説明してもらえる医療機関を選びましょう。

NIPTで陽性の場合にかかる費用相場

もしNIPTで陽性が出た場合、本当に病気があるかを確定する確定診断が必要です。というのも、精度が高いといわれるNIPTでも、偽陽性の出る可能性があるためです。

偽陽性とは、実際には病気の可能性はないのに陽性と判定されること。NIPTはお母さんの血液に含まれる胎児のDNAを検出するため、含まれるDNA量によっては、結果に誤りが生じる可能性があります。

そのため、確定診断として羊水検査や絨毛検査を実施します。羊水検査とは、子宮内にある羊水を注射針で吸って採取し、胎児の染色体や遺伝子を調べる検査です。絨毛検査は子宮の一部を注射針で採取し、同様に胎児の染色体を検査します。

どちらもほぼ100%の確率で診断できると考えられており、NIPTで陽性になった場合はどちらかの検査が必要です。

どちらの検査も保険適用されず全額負担で、15万円前後の費用がかかります。NIPTの費用内に確定診断の費用も含まれているケースもあるため、検査を受ける前に確認しておくとよいでしょう。

NIPTはほかのスクリーニング検査と同様に、染色体異常の有無を調べるものではなく、あくまでもその可能性を指摘するための検査です。あくまでもスクリーニング検査であるため、この結果だけでは染色体異常があると決まったわけではありません。

従来の検査法にかかる費用相場

NIPTは新型出生前診断と呼ばれる新しい出生前診断です。

従来は母体血清マーカー検査やコンバインド検査と呼ばれる出生前診断が用いられていました。

それぞれの費用とNIPTの費用を以下に示します。

出生前診断の種類費用目安(全て保険適用外)
検査できる時期
NIPT20万円前後10〜16週
母体血清マーカー検査2〜3万円15〜18週
コンバインド検査5万円前後11〜13週

NIPTと比較し、母体血清マーカー検査やコンバインド検査の費用は安いことが特徴です。ただし、精度がNIPTより低いことと、検査できる時期が若干遅いことに注意しましょう。

NIPTの検査対象となるケース

NIPTを受けたいと思っても、誰もがどこでも受けられるわけではありません。医療機関が「認可医療機関」か「認可外医療機関」かに応じて、どのような妊婦さんがNIPTを受けられるかが決まっています。認可するかしないかを決めているのは日本医学会で、その認可基準は日本産科婦人科学会が定めています。

ここでは、認可医療機関と認可外医療機関の違いを説明します。

認可医療機関の場合

日本産科婦人科学会の指針では、日本医学会の認可が受けられるのは次の医療機関としています。

  1. 出生前診断、とくに13・18・21番染色体の異常例について十分な診療経験を有する産婦人科医師と小児科医師が常勤している(医師以外の認定遺伝カウンセラーまたは遺伝看護専門看護師が在籍していることが望ましい)
  2. 遺伝に関する専門外来を設置している
  3. 検査を希望する妊婦に対し、出生前カウンセリングと検査施行の結果説明について十分な時間をとる体制が整っている
  4. 絨毛検査や羊水検査を適切に実施できる
  5. 確定診断後も妊婦のサポートをして出生前カウンセリングを継続できる
  6. 出産後のケアや医療を実施、または実施できる施設と連携できる

出典:日本産科婦人科学会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針」

認可医療機関では、次の条件に当てはまる妊婦がNIPTを受けられます。

  • 胎児超音波検査で、胎児の染色体異常の疑いがある人
  • 染色体異常をもつ胎児の妊娠または出産歴のある人
  • 35歳以上の人

上記以外に、両親の染色体異常が認められている人で、胎児の染色体異常が疑われる場合もNIPTの対象となります。

認可外医療機関の場合

認可外の医療機関でも、NIPTを実施しているケースもあります。認可外医療機関の場合、認可医療機関のNIPT対象者の条件に当てはまらない場合でも検査を受けられます。

ただし、医療機関によって検査対象としている条件が異なることがあるため、かかりつけの産婦人科に確認してみましょう。

NIPTを行うメリット

NIPT以外にも出生前診断はいくつかあり、どの検査を選ぶか迷うかもしれません。また、そもそも出生前診断するか迷いもあると思います。

ここでは、NIPTを行うメリットについて紹介します。

母体や赤ちゃんへの負担を少なく精度の高い出生前診断ができる

NIPTはお母さんの血液から、胎児の染色体・遺伝子異常を検査する方法です。ほかの出生前診断よりも精度が高く、99.0%以上の確率で病気の可能性を判定できると考えられています。この数字は、母体血清マーカー検査やコンバイン検査よりも高く、NIPTの精度の高さが分かります。

また、絨毛検査や羊水検査は子宮や胎盤に直接注射針を刺すため、流産や早産のリスクが高くなります。そのため、いきなり絨毛検査や羊水検査をするのではなく、先にリスクの低いNIPTで確認して、陽性の可能性があった場合のみ追加で絨毛検査・羊水検査によって確定診断するかを決められることがメリットでしょう。

赤ちゃんの受け入れ準備ができる

NIPTを実施するメリットは、事前に胎児の遺伝子異常を確認し、産まれたときの準備ができることです。

現状ではNIPTで判明した染色体異常に対し、治療を行えるわけではありません。産まれたときに染色体異常が判明するのか、出生前診断で事前に把握しておくのかを選択できます。

もしNIPTで陽性が出たら、赤ちゃんが産まれるまで心の準備を整える時間があると考えるお母さんもいます。

NIPTのデメリット

NIPTには、出産前に染色体異常を把握できるメリットがある一方、費用が高いことや分かる疾患が限られていることなどデメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで、NIPTを受けるか判断しましょう。

ここでは、NIPTのデメリットを3つ紹介します。

必ずしも陽性陰性とはっきりした結果が出るわけではない

NIPTの精度は99.0%と報告されていますが、約1.0%は実際に病気がなくても陽性と判定される場合があります。NIPTで陽性となった場合、絨毛検査や羊水検査で確定診断するため、NIPTで誤って陽性になっても確定診断で陰性になります。

しかし、NIPTで陽性と判定された場合、非常に強い不安を感じるでしょう。実際には陽性でなくても、それが判明するには確定診断の結果を待たなくてはなりません。本当に我が子に染色体異常があるのか、陰性でありますように、とお母さんや周囲の人々は検査結果に振り回されることになります。

そのため、NIPTを受けるときは検査をよく理解したうえで、適切なカウンセリングが受けられる医療機関を選ぶのがよいでしょう。

NIPTで分かる疾患は限られている

NIPTはいくつかの染色体異常の可能性を発見できますが、どんな疾患も発見できる万能な検査ではありません。NIPTで分かることは、主に次のとおりです。

  • 13トリソミー
  • 18トリソミー
  • 21トリソミー(ダウン症)
  • ターナー症候群
  • クラインフェルター症候群
  • 猫鳴き症候群
  • トリプルX症候群
  • ウォルフ・ヒルシュホーン症候群
  • ディジョージ症候群
  • 1p36欠失症候群
  • アンジェルマン症候群
  • ヤコブ症候群(XYY)

主に染色体の数に異常があるケースや、遺伝子に欠損があるケースを発見できます。しかし、心臓や骨、内臓の先天性疾患はNIPTでは分かりません。

費用が高い

NIPTは費用が高額ということも、デメリットの1つです。基本検査料として20万円前後の費用がかかり、さらに多くの疾患を検査しようとするとオプション費用がかかります。

母体血清マーカー検査やコンバイン検査など、従来の出生前診断は5万円以下で検査できるため、NIPTは割高に感じるかもしれません。また、保険適用外となります。

NIPTを受けるときは費用にカウンセリングやフォローも含まれるかを確認しよう

NIPTの費用は20万円前後で、NIPTの結果だけで胎児の疾患が完全に分かるものではありません。陽性の場合は、確定診断として絨毛検査や羊水検査の費用も必要になります。

しかしNIPTは従来の出生前診断と比較し、精度の高いことがメリットです。100%ではないものの、99.0%の確率で正しい結果が出ると報告されています。

NIPTを受けるときは、費用にカウンセリングやアフターフォローの費用も含まれているか、追加の負担費用なしで絨毛検査や羊水検査を受けられるかを確認しましょう。

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