NIPT(新型出生前診断)でダウン症がわかる?検査前に知っておきたいポイントも解説

NIPTの結果はいつ出るの?結果の見方も徹底解説

NIPTを受けようと考えている方の中には、「検査を受けてから結果が出るまで何日くらいかかるんだろう?」と疑問に思っている方もいることでしょう。自分の子どもに染色体異常がないか、早く知りたくなるのも無理はありません。本記事で、NIPTの結果について理解を深めましょう。

  • NIPTは結果が出るまでどれくらいかかるのかを知りたい
  • NIPTの結果が陽性だった場合に何をすればいいか知りたい

上記に当てはまる方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

NIPTの結果が出るまでにかかる期間は1〜2週間程度

NIPTは、検査を受けてから結果が出るまでに1〜2週間程度必要です。NIPTはお母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNA断片を読み取り、DNA量を標準値と比較することで病気の可能性を導きます。

採取した血液の分析は専門の設備で行うことから、病院で採血した後に検査機関へ検体を送る必要があります。検査後から1〜2週間は結果を待つ時間が発生しますが、エコー検査よりも高い精度で結果が得られるのはメリットです。

NIPTの結果を正しく理解しよう|陽性・陰性が示す意味

NIPTは、採取した血液に含まれる赤ちゃんの遺伝子が基準値の範囲に入っているかどうかで、染色体異常の可能性を探る検査です。検査結果は3種類のいずれかが返ってきます。

  • 陽性
  • 陰性
  • 再検査(保留)

それぞれの結果にどのような意味があるのか、正しく理解していきましょう。

陽性の場合

結果が陽性の場合、赤ちゃんが染色体異常をもっている可能性があることを示します。NIPTは非確定的検査なので、陽性であっても染色体異常があることの確定診断にはなりません。NIPTの結果が陽性の場合に、赤ちゃんが実際に染色体異常をもって生まれてくる確率は、お母さんの年齢や染色体異常の種類により異なります。

陽性判定が出た場合は、基本的に羊水検査や絨毛検査などの確定的検査を実施して診断を確定させる必要があります。結果を明確にすることで、生まれる前に心の準備を整え、子育てに向けたサポート体制の整備を進めることが可能です。

陰性の場合

結果が陰性の場合、赤ちゃんが染色体異常をもっている可能性は低いことを示します。ただし非確定的検査の特性上、染色体異常がないことを完全に証明するものではありません。赤ちゃんに染色体異常があっても、NIPTで陰性の結果が出る「偽陰性」の可能性も考えられるためです。

NIPTで陰性の結果が返ってきた場合、確定的検査を受けることはほぼありません。生まれたときに染色体異常があると判明し、初めて結果が偽陰性であったとわかるのです。

再検査(保留)の場合

再検査(保留)の場合は、陽性または陰性の判定ができず、再検査が必要であることを示します。再検査になりやすい理由として、以下のような状況が挙げられます。

  • お母さんの血液中にある赤ちゃんのDNA量が少ない
  • 服薬中の薬が原因で検査ができない

再検査になった場合は、今後の進め方について医師と話し合って決めていきましょう。

NIPTの結果を正しく理解するための遺伝カウンセリング

NIPTの結果を正しく理解するためには、遺伝カウンセリングを受けることも大切です。専門知識をもった臨床遺伝専門医や、認定遺伝カウンセラーと話し合いながら進めていきます。遺伝カウンセリングは、検査前に実施するものと検査後に実施するものの2種類です。それぞれどのようなカウンセリングなのかを詳しく見ていきましょう。

検査前遺伝カウンセリング

検査前遺伝カウンセリングでは、一般的に以下に示すような内容を話し合います。

  • 遺伝子検査を受ける意義
  • 検査できる染色体異常や遺伝子異常の種類
  • 検査を受けない場合の対応
  • 検査を受けた後の対応

何を調べる検査なのかを今一度認識し、それぞれの結果に対してどのような対応を取るのかを事前に決めておきます。結果が出た後に落ち着いて判断し、行動できるよう準備することが目的です

検査後遺伝カウンセリング

一般的な検査後遺伝カウンセリングでは、以下の内容について話し合います。

  • 検査結果からわかる染色体異常のリスク
  • 確定診断の必要性
  • 今後の方針や生まれた後の治療について

検査前遺伝カウンセリングで事前に決めた内容と実際の結果を踏まえて、最終的にどのような選択をするかについて決断します。検査結果の捉え方について専門家の視点を取り入れながら、今後について話し合いましょう。

NIPTの結果から分かる染色体異常の種類

NIPTで調べられる染色体異常は、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の3種類です。トリソミーとは、通常2本で1組の染色体が3本ある異常のことを指します。それぞれの異常について、以下で詳しく解説します。

21トリソミー(ダウン症候群)

21トリソミーとは、22組あるヒトの常染色体のうち、21番目の染色体が3本になる染色体異常です。ダウン症候群とも呼ばれ、お母さんの年齢が上がるにつれて発症率が高くなる特徴があります。出産時の年齢が20歳の場合は2,000人に1人程度、40歳の場合は100人に1人程度の発症率です。

特徴的顔貌や低身長、発達遅延などの身体的特徴が多く見られます。約半数の赤ちゃんに先天性の心疾患があり、平均寿命は40〜50代と確認されています。

18トリソミー(エドワーズ症候群)

18トリソミーは、18番目の常染色体が3本になる染色体異常です。21トリソミーについで発症率が高く、3,500〜8,500人に1人程度です。男女比は1:3と、女児に多く見られる染色体異常です。

顎が小さく後頭部は突出しているといった身体的特徴があり、非常に高い確率で先天性の心疾患を発症しています。胎児の60%は子宮内で亡くなってしまい、出生後の寿命は男児で1.6か月程度、女児で9.6か月程度です。

13トリソミー(パトウ症候群)

13トリソミーは、13番目の常染色体が3本になる染色体異常を指します。発症率は5,000〜12,000人に1人程度と、3種類のトリソミーでは最も低い確率です。

発育不全や脳の病気、心臓病など体の各所に異常が見られ、胎児の多くは生まれる前に亡くなってしまいます。出生後も平均寿命は3〜4か月程度と、予後の悪い染色体異常といえるでしょう。

 

出生前検査の種類とNIPTのメリット・注意点

出生前検査にはNIPTの他にも複数の検査があり、染色体異常の可能性を探る非確定的検査と、確定診断が可能な確定的検査に分類されます。各検査の特徴を知り、NIPTとの違いについて理解を深めましょう。

種類①非確定的検査

非確定的検査は、染色体異常の可能性を知るための検査です。「非確定的」とある通り、検査結果が確定診断となるわけではありません。非確定的検査には、以下のようなものが挙げられます。

  • 超音波検査
  • 母体血清マーカー検査
  • コンバインド検査
  • 母体血胎児染色体検査

いずれの方法も、お母さんからの採血やエコーなど、間接的な方法を用いて検査を実施します。子宮に直接針や器具などを挿入する必要がないことから、検査による流産や死産のリスクはありません。なおNIPTは、母体血胎児染色体検査に分類されます。

種類②確定的検査

確定的検査は、胎児に染色体異常があるかどうかの確定診断が可能な検査です。非確定的検査で陽性判定が出た場合は、確定的検査を受けて正確に診断する必要があります。

確定的検査は、妊娠11〜14週で実施できる絨毛検査と妊娠16週以降に実施できる羊水検査があります。検査するにあたって子宮に直接針や器具を挿入する必要があり、流産のリスクも考慮しなければなりません。絨毛検査での流産リスクは1%程度、羊水検査での流産リスクは0.3%程度です。

NIPTのメリット

他の非確定的検査や確定的検査と比較したNIPTのメリットが2つあります。

  • 非確定的検査の中で感度が高い
  • 確定的検査のような流産・死産のリスクがない

NIPTは、他の非確定的検査と比較して感度が高いという特徴があります。感度とは、赤ちゃんが染色体異常をもって生まれてきた方のうち、検査で陽性判定が出た確率のことです。NIPT以外の非確定的検査では検査感度が50〜87%であるのに対し、NIPTの検査感度は99%であることがわかっています。

NIPT以外の非確定的検査は、遺伝子異常のある胎児を妊娠している女性10人が検査を受けても、1〜5人程度は陰性と判定されてしまう可能性があるということです。NIPTであれば、遺伝子異常のある胎児を妊娠している女性10人が検査を受けた際に、誤って陰性と判定されるのは0〜1人です。つまりNIPTで陰性の結果が出た場合は、実際に遺伝子異常のない確率は高いといえるでしょう。

さらに、NIPTはお母さんの血液を採取して検査を実施するので、子宮へ針や器具を刺す必要もありません。流産や死産のリスクを避けながら、高い感度で結果を得られるのがメリットです。

NIPTの注意点

NIPTの特徴として理解しておいてほしいポイントも2つあります。

  • 陽性判定が出たら基本的には確定的検査が必要
  • 的中率は年齢に依存する

NIPTは99%と高い感度で結果が得られるものの、確定診断はできません。検査して陽性判定が出た場合には、他の非確定的検査と同様に確定的検査を受ける必要があります。結果によっては2回検査を受けなければならないということです。

また、NIPTの陽性的中率はお母さんの年齢や染色体異常の種類によっても変わります。陽性的中率は、検査で陽性判定が出た方のうち実際に染色体異常がある確率のことです。お母さんの年齢が上がるほど、陽性的中率もアップすることがわかっています。

まとめ

NIPTの結果は、検査を受けてから1〜2週間程度で返ってきます。非確定的検査の中では感度が高く、確定的検査のような流産・死産のリスクがないのも特徴です。ただし、陽性判定が出た場合は他の非確定的検査と同様、羊水検査や絨毛検査で確定診断を受ける必要があります。

検査結果については、遺伝カウンセリングを通して正しい理解のもと今後の選択を決めることが推奨されています。専門家と話し合いながら、納得できる選択ができるよう準備を進めていきましょう。

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