内容監修
石黒 剛
GO ISHIGURO
石黒 剛
GO ISHIGURO
医師
大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。
前立腺肥大症とはなにか
前立腺肥大症とは、前立腺が肥大することによって排尿時の様々な障害の症状がみられる病気です。前立腺肥大症は男性ホルモンの変化、遺伝、食生活、肥満、高血圧、高血糖など様々な要因が関与するといわれていますが、原因は分かっていません。前立腺が肥大する頻度は50歳から増加し、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%にみられますが、症状を伴い、治療が必要な前立腺肥大症はその1/4程度であるといわれています。
前立腺肥大症の症状とその特徴
症状は尿を出すときにみられる排尿症状、尿をためるときにみられる畜尿症状、排尿した後にみられる排尿後症状に分けられます。
排尿症状は尿が出にくい、尿の勢いが弱い、尿が分かれて出るなどが主な症状です。
畜尿症状は、頻尿が主な症状になります。急に我慢できないような尿意が来る尿意切迫感という症状もみられます。
排尿後症状は排尿後にすっきりしなかったり、尿が残っているような感じがする残尿感が主な症状になります。
前立腺肥大症の治療
前立腺肥大症の治療は薬物治療、手術治療が主になります。
薬物療法では前立腺の収縮を抑えて尿道の圧迫を緩くするα1遮断薬や、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬、前立腺を小さくする抗男性ホルモン薬といった薬が使用されます。
薬物療法でも十分な改善がみられない場合や再発を繰り返す場合などには手術による治療が行われます。前立腺がかなり大きい場合は開腹手術による前立腺の摘出が行われることがありますが、通常は内視鏡による手術が行われます。
前立腺肥大症の予防
前立腺肥大症の予防には、普段の生活が重要になります。例えば、食事内容では、コーヒーやアルコール、辛い物など刺激性食物を避けることなどが前立腺肥大症の予防になります。その他、適度な運動、水分をとりすぎない、長時間の座位を避けるなども予防に効果があるといわれています。
前立腺肥大症と前立腺癌の違い
前立腺肥大症は前立腺の肥大によって症状が引き起こされるのに対して、前立腺癌は前立腺の腫瘍によって症状が引き起こされます。前立腺癌はほかの癌と同じように転移するのに対して前立腺肥大症は転移しません。症状は非常に似ていますが、前立腺癌のほうが症状がでるのに時間がかかり、血尿や腰痛がみられることが多いです。非常に症状は似ているので、早めに受診し、検査するようにしましょう。
まとめ – 62字
- 前立腺肥大症とは、前立腺が肥大することによって排尿時の様々な障害の症状がみられる病気である。
- 薬物療法や手術療法で治療される。
閲覧した文献
- 書籍:書籍:国試対策問題編集委員会. 『CBT・医師国家試験のためのレビューブック マイナー 2019-2020』メディックメディア.
- ウェブサイト:名古屋大学大学院医学系研究科 泌尿器科学教室. 『泌尿器科の病気について 前立腺肥大症』https://www.med.nagoya-u.ac.jp/uro08/sick/prostate-hyperplasia/index.html
参考文献
なし