内容監修
石黒 剛
GO ISHIGURO
石黒 剛
GO ISHIGURO
医師
大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。
肝炎ウイルス感染症とはなにか
肝炎ウイルス感染症とは肝臓に炎症を起こすウイルスによって起こる感染症です。代表的な肝炎ウイルスとしてA型、B型、C型、E型がありますが、性行為によって感染するものはB型肝炎ウイルス(まれにC型肝炎ウイルス)です。ここでは、B型およびC型肝炎についてとりあげます。
肝炎ウイルス感染症の症状とその特徴
肝炎ウイルス感染症の症状は、成人が肝炎ウイルスに感染した後に一時的な症状が現れる急性肝炎と、持続感染している人に起こる慢性肝炎に分けられます。
B型肝炎
B型肝炎の急性肝炎では、感染後1~6か月ほどの潜伏期間の後、発熱、倦怠感、食欲低下、嘔吐などの症状が現れます。進行すると白目の部分や皮膚が黄色く、尿の色がウーロン茶のように褐色になります。
慢性肝炎につながることは比較的まれですが、出産時もしくは乳幼児期に感染、または性行為などで急性肝炎になったあと感染が持続することで起こります。肝硬変や肝細胞癌につながる恐れがありますので、定期的な検診が重要です。
C型肝炎
C型肝炎ウイルスは最も慢性化しやすいとされています。急性肝炎は2~14週間の潜伏期間を経て経て急性肝炎を起こすことがありますが、これは比較的まれで、多くの場合は感染しても自覚症状がないとされています。
一方冒頭でも述べたように、60~80%の患者さんで慢性肝炎に進行し、そのうち30~40%が肝硬変になるとされています。B型肝炎同様、肝細胞癌のリスクになりますので、注意が必要です。
B型肝炎ウイルスの性感染を防ぐために
肝臓がんの原因ともなる肝炎ウイルスが、実は性感染症であるという事実はあまり知られていません。まずは適切な避妊を行い、加えてワクチン接種を行うことでその感染を高確率で防ぐことができます。ワクチンについてはぜひお気軽に医師にお問い合わせください。
また、1回ワクチンを打っていても、時間の経過とともに効果が減少している場合もあります。定期的な検査は、肝臓がんのリスク評価としてもお使いいただけます。
まとめ
- 肝炎ウイルス感染症とは肝臓に炎症を起こすウイルスによって起こる感染症である。
- 肝硬変や肝臓がんの原因となるため、予防や早めの治療が重要である。
閲覧した文献
- 書籍:岡庭豊. 『イヤーノート 2021:内科・外科編』メディックメディア.
- ウェブサイト:神奈川県衛生研究所. 『ウイルス性肝炎(B型肝炎・C型肝炎)』http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/003_center/0307_shikkan/files/130717_02.htm#4