口唇ヘルペス

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

口唇ヘルペスとは

口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスというウイルスに感染することで起きる病気です。そもそもヘルペスとは、「小さな水ぶくれが皮膚にいくつか集まってできて、炎症を起こしている状態」のことを言います。この原因となるヘルペスウイルスには様々な種類があり、それによって症状も変わります。

口唇ヘルペスの原因として主に挙げられるのは「単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)」です。実は、多くの人が子供のころにこのウイルスに感染したことがありますが(初感染)、この時には症状が何も出ないのが一般的です。一度感染すると、ヘルペスウイルスは神経の中に一生住み着きます。これを潜伏感染と言います。

このウイルスは、私たちが元気な時には体の中でおとなしくしています。ですが疲れやストレス、あるいは紫外線の浴びすぎなどによってからだの抵抗力が下がると、眠っていたウイルスが暴れ出してきます。その結果として唇のあたりに赤くて痛い水ぶくれができ、口唇ヘルペスの状態になるのです。

口唇ヘルペスの症状

・ ぴりぴり、ちくちくするような痛みや違和感
・ 赤み、発疹
・ 水ぶくれ、ただれ
・ かさぶた

くちびるのまわりに痛み・かゆさ等を感じ、その数時間後にだんだんとその部分が赤くなってきます。口唇ヘルペスの症状を複数回経験している人では、見た目にはなにもおかしなところがなくても、この「ぴりぴり」や「ちくちく」といった特徴的な違和感に気付いて、口唇ヘルペスの再発だと分かるようです。

赤くなってきた部分はだんだんと水ぶくれになります。小さな水ぶくれがたくさんできて、お互いにくっついて大きな水ぶくれになってしまたり、ひどい場合にはただれてしまうこともあります。この水ぶくれの時期が最もウイルスの量が多いため、周りの人にうつさない工夫が重要です。赤みが出てきてからだいたい2週間程度で水ぶくれはかさぶたとなり、そのまま治ります。この症状が、からだの抵抗力が下がってウイルスを封じ込めておけなくなった時に再び繰り返されます。

口唇ヘルペスの治療

初めて口唇ヘルペスのような症状に気付いた時には、まず皮膚科を受診してください。基本的には飲み薬や塗り薬による治療を行います。できるだけ早い時期に治療を始めるのが望ましいとされているので、おかしいなと思ったらまずは病院に行って医師に診てもらいましょう。

市販の薬もありますが、症状が出るのが2回目以降の場合(再発時)に使うことが前提です。そのため、過去に口唇ヘルペスと診断を受けたことがある人が、再発の予兆(ぴりぴり・ちくちくとした違和感)に気付いた時に使う薬とされています。ですから、原則として口唇ヘルペスの治療には病院・クリニックで出される薬を使いましょう。

一度感染したウイルスを完全にからだの中から追い出すことはできません。そのため、同じ症状が出ないように、からだの抵抗力を保つことがいちばんの予防策になります。ストレスのかからないような生活を心がけたり、栄養バランスのとれた食事をとったりして、ウイルスに負けないからだづくりを目指しましょう。女性の場合は、生理期間にはどうしても免疫力が下がってしまうため、特に注意しましょう。

口唇ヘルペスで気を付けるべきこと

ヘルペスウイルスは非常にうつりやすいのが特徴です。特に口唇ヘルペスの場合は口のあたりにできるので、水ぶくれのできている部分にさわったり、キスをしたりすることはもちろん、顔を洗ったタオル・箸やお皿を別の人が使うだけでもうつります。そのため、症状が出ている人とは別のタオルや食器を使うようにしましょう。ただし、使用後に洗剤を使ってきちんと洗えば、洗ったものをほかの人が使っても問題ありません。

かさぶたになって患部が乾燥してきたら、ウイルスの量は減り、ほかの人にうつす可能性も低くなってきます。しかし、表面がかさぶたになっていても、その下がまだジュクジュクしている場合は完全にはおさまりきっていません。見た目が完全に元通りになるまでは、ほかの人にうつさないための努力を続けましょう。

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