皮膚のかゆみ・痛み

内容監修

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

皮膚のかゆみ・痛みとはどのような症状か

 皮膚のかゆみとは、皮膚をひっかきたくなるような不快な感覚などと定義されます。不快な感覚ではありますが、身体を守るしくみとして役に立っている部分もあるのです。例えば、皮膚に異物が付着した時に、その部分がかゆくなることで、異物が付着したことに気づくことができるといった具合です。

 かゆみの原因としては、様々なものが考えられています。乾燥肌や敏感肌など元々持っている肌質、加齢による乾燥、汗、虫さされ、薬による副作用のほか、かゆみを引き起こす病気などがかゆみの原因となります。

 かゆみや違和感といった感覚を超えて、皮膚に痛みが出る場合もあります。こういた場合の原因としては、やけどや虫さされ、帯状疱疹、しもやけ、外傷(切り傷やすり傷など)などが考えられます。

皮膚のかゆみ・痛みの原因として考えうる疾患

 皮膚のかゆみの原因となる病気としては、アトピー、虫刺され、多形滲出性紅斑、痒疹、蕁麻疹、水虫、あせもなど多くのものがあります。ひとくちにかゆみといってもこれほど多くの病気が原因の可能性があります。自己判断せずに適切な診断を受けて、その病気に合わせた適切な治療を行うことが重要です。そのため、かゆみがひどい場合には一度病院を受診することをおすすめします。

 皮膚の痛みの原因となる病気としては、ヘルペスややけど、帯状疱疹、ひどい虫刺され、しもやけ、外傷(切り傷やすり傷など)などがあります。これらも、かゆみと同じく適切な診断を受けて、その病気に合わせた適切な治療を行うことが重要ですので、一度病院を受診することをおすすめします。

皮膚のかゆみ・痛みの治療法・対処法

 かゆみについては、まず掻かないことが重要です。掻いてしまうことで皮膚が傷ついてバリア機能が落ち、余計にかゆみが強くなったり、細菌が入り込んで化膿してしまったりします。冷やすことでかゆみを落ち着かせることができます。辛いかゆみでも何とか我慢して掻かずに対処しましょう。その他、乾燥によってかゆみは悪化するので、市販の軟膏やクリームを塗って保湿を心がけましょう。じん麻疹などのアレルギーが関係するものは、アレルギーの原因を避けることが大切です。症状がつらい場合には、受診をおすすめします。

 痛みについては、基本的に病院を受診して、適切な飲み薬や塗り薬を使用しましょう。軽い切り傷やすり傷、軽いやけどなどに関しては病院を受診せずとも治ることも多いですが、受診すべきか迷うような場合は、数日様子を見て、症状がおさまらないようでしたら一度ご相談ください。

まとめ 

  • かゆみの原因には、元々の肌質や乾燥、汗、かゆみを引き起こす病気(アトピー、虫刺され、多形滲出性紅斑、痒疹、じん麻疹)などがあります。
  • 痛みの原因には、ヘルペスややけど、帯状疱疹、虫刺され、しもやけ、外傷(切り傷やすり傷など)などがあります。
  • かゆみがあっても掻かないことが大切です。我慢できないときは冷やすと落ち着くことが多いです。
  • 乾燥しないように保湿を心がけましょう。
  • 痛みについては、基本的に病院を受診して、適切な飲み薬や塗り薬を処方してもらうようにしましょう。

医師コメント

かゆみや痛みがある場合に、「以前に皮膚科でもらった」薬を使用する方はおおくいらっしゃいます。しかし、原因が以前と違う場合には、そういった行動によって症状が悪化してしまうこともあります。ステロイド軟膏は皮膚科で処方される薬の代表例ですが、水虫に使うとさらにひどくなるひどくなることが分かっています。皮膚科に限った話ではありませんが、薬は使い分けが難しいことが多いので、まずは気軽に医師に相談してみましょう。