発熱

内容監修

駒井 翼 

KOMAI TSUBASA

駒井 翼 

KOMAI TSUBASA

医師/日本内科学会 認定内科医 /日本心血管インターベンション治療学会 認定医 /心電図検定1級

循環器救急医療の最前線で若手医師として奮闘して参りました。救急車で運ばれてきた患者さんが無事に社会復帰できた瞬間に「猛烈なやりがい」を感じる一方、助けられなかった「生活習慣病の成れの果て」も多く経験しました。 「そうなる前になんとかしたい」と、「友達のように気軽に相談できる」かかりつけ医を目指します。日本人の医療リテラシー向上のため医学教育にも関わっています。

発熱とはどのような症状か

発熱とは、医学的には体温が37.5℃以上の状態をいいます。しかし、体温には個人差があるため、37.4℃以下の場合でも発熱と考えられる場合もあります。多くの場合発熱の原因は感染症や炎症ですが、膠原病、がん、内分泌異常などの複雑な背景があることも考えられます。時に発熱は菌やウイルス感染した身体が感染の原因となる微生物と闘う正常な反応として起きているのため、一概に身体に悪いものともいえず、「とにかく熱を下げれば良い」という考え方は見直され始めています。

発熱があるときに心がけること

発熱があってすぐ(1日以内など)病院を受診しても、発熱の原因がわからないことが多くあります。発熱があっても、意識が悪い、呼吸が苦しいなどの他の症状がない場合は市販の解熱薬・総合感冒薬(かぜ薬)などを利用し、症状が出てきた翌日以降の日中に一般外来を受診することも検討してください。

また、発熱があるときは脱水症状に陥りやすいので、少量ずつでもスポーツドリンクなどの電解質や糖質の含まれた水分を摂取するよう心がけましょう。発熱に加えて、意識がうつろであったり、呼吸が苦しいというような症状がある場合には、ただちに医療機関を受診しましょう。

発熱の原因として考えうる疾患

感染症

たいていの発熱は、細菌やウイルスに感染したことによって起きます。数時間~数日前までは元気だったのに「熱が突然出た」という場合、感染症の可能性が高いです。感染症であった場合でも風邪・インフルエンザのことがほとんどですが、以下のような心当たりがある場合は別の疾患が潜んでいる可能性もあります。

  • 虫にかまれた、かまれた痕がある
  • 熱が出るまでの数日間で以下のようなものを食べた
    • 生の肉や魚、腐った食品
  • 海外(特に東南アジア・アフリカ等の衛生状態の悪い国)への渡航
  • (特に新しいパートナーとの)性交渉

ただし、心当たりがなくても感染症だったということもあります。どんなことがあったか、可能な限り詳しく医師に話していただくことが大切になります。

それ以外の疾患

感染症は何かしらのきっかけが考えられることが多いのに対し、特に思い当たる原因がない場合は以下のような疾患が原因で熱が出ていることもあります。

  • 膠原病
    • 関節リウマチ
    • 全身性エリテマトーデス
  • がん・悪性腫瘍
  • 内分泌疾患(ホルモンの異常)
  • 薬の副作用
  • 機能性高体温症(臓器には問題がないが、ストレス等精神状態の影響で体温が上がる疾患)

こうした発熱の場合、専門の治療が必要になることもありますので、医師の診察を受ける必要があります。

発熱の原因を症状のみから特定することは難しいですが、いずれの場合にも先述の通り、1日ほど様子を見たうえで医療機関に相談することをおすすめします。現在は発熱の診療に対応していない医療機関もあるため、注意しましょう。

発熱を伴う、緊急度の高い疾患

発熱をきたす疾患の中でも緊急度が高く、できるだけ早く病院を受診したほうがいいものがあります。具体的な疾患には急性喉頭蓋炎、髄膜炎、腹膜炎、敗血症ショック、重症の肺炎などがあります。

  • 意識が定かでない
  • 呼吸が苦しい
  • 部位を問わず激痛がある
  • 数時間で立ち上がれなくなった
  • 我慢できないような寒気や震え

上記のような症状がある場合は夜間、救急外来も含め、できるだけ早く病院を受診してください。

まとめ

  • 発熱とは、医学的には体温が37.5℃以上の状態をいう。
  • 感染症が主な原因だが、中には緊急度が非常に高い疾患が原因であることもある。