女性にもAGAがある?男性のAGAとの違い・原因・治療薬を詳しく解説

女性にもAGAがある?男性のAGAとの違い・原因・治療薬を詳しく解説

女性にもAGAがある?男性のAGAとの違い・原因・治療薬を詳しく解説

この記事を書いた医師

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

女性のAGA

女性の薄毛

AGAは男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンによって髪の毛のヘアサイクルが短くなり薄毛や脱毛を来します。男性では20代後半から30代にかけて前頭部や頭頂部に症状が現れます。一方、女性では更年期に発症し、頭頂部の髪の毛が広範囲に渡って薄くなります。また、女性のAGAは男性ホルモンでは病態が説明できない場合があり、男性のAGAと区別して女性型脱毛症とも呼ばれています1)

 女性のAGA以外にも薄毛になる原因があります。慢性休止期脱毛、膠原病、慢性甲状腺炎、貧血、急激なダイエット、ホルモン補充療法、経口避妊薬などの薬剤、過度なヘアケア、ストレスなどが挙げられます1)

AGAの原因

髪の毛は成長期、退行期、休止期を繰り返し、ヘアサイクルを形成しています。頭皮にある5αレダクターゼという酵素によってテストステロンからジヒドロテストステロンが合成されます。ジヒドロテストステロンは髪の毛の合成の場となる毛包に作用してヘアサイクルの成長期を短くさせます1)。すると、髪の毛は十分に成長できなくなり、細く短くなったり抜け毛を引き起こします。 男性ではこのような男性ホルモンの作用により病態を説明できますが、女性では男性ホルモンでは説明できない病態もあります1)。こうしたことから、女性のAGAの原因は男性ホルモンが関係していると言われていますが、明確には分かっていません。

女性のAGA治療

女性の薄毛治療

AGAは男性がなるもので、治療薬も男性にしか効かないというイメージがあるかもしれませんが、AGA治療薬の中には女性のAGA治療にも効果があるものがあります。薄毛は男性だけではなく女性にも起こり得ます。女性の方でも「薄毛かも!」と感じたら医療機関を受診し、症状が悪化する前に治療を開始しましょう。

AGA治療薬

AGA治療薬にはジヒドロテストステロンの合成を抑制するものと頭皮環境を整えるものに分けられます。男性のAGA治療薬と同様に外用薬と内服薬があります。男性と女性との治療薬の違いは男性のAGAでは5αレダクターゼ阻害薬は有効ですが、女性のAGAには無効であることです1)

 外用薬はミノキシジルが使われます。ミノキシジルはもともと血管拡張作用のある薬で高血圧の治療薬として使われていました。このとき、副作用に多毛が認められたことから発毛剤としても開発されました。ミノキシジル外用薬は頭皮に直接塗布して使用します。発毛促進効果があり、男性のAGAにも女性のAGAにも有効です。主な副作用には瘙痒、紅斑、落屑、毛包炎、接触皮膚炎、顔面の多毛などがあります1)。また、外用を初めてすぐに脱毛を来すことがあります1)

内服薬はパントガールが使われます。パントガールは女性の薄毛治療のために服用される治療薬です。ケラチンやパントテン酸カルシウム、シスチンなど髪の毛の成長に良い影響があるとされる成分が含まれています。頭皮環境を改善することによる発毛効果を期待できます。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会ガイドライン、眞鍋求・坪井良治・板見智・長田真一・天羽康之・伊藤泰介・乾重樹・植木理恵・大山学・倉田荘太郎・幸野健・齊藤典充・佐藤明男・下村裕・中村元信・成澤寛・山㟢正視、男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版、https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf