ピルで排卵日や生理は調整できる?ピルの種類や効果、飲み方を解説!

旅行や試験、試合、仕事などここぞというときに限って生理予定日が重なってしまった経験はありませんか?ベストパフォーマンスを尽くすためには生理をずらすのも1つでしょう。そこで使用するのがピルと呼ばれる経口避妊薬を使った生理予定日の移動です。

本記事では、生理の仕組みやピルの効果と副作用、ピルの種類、排卵日の調整の有無、ピルの飲み方などを詳しく解説します。

生理のしくみ

女性の体は、妊娠や出産という大事な役割を果たすために、初潮を迎えてから閉経するまで、毎月生理が起こります。その期間は35〜40年間。女性は長い期間を生理とともに過ごすことになるのです。

生理はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つの女性ホルモンで周期的に起こります。通常正しい生理周期は25〜38日で、「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」の4つの時期を周期的に繰り返しています。

卵胞期にエストロゲンと呼ばれるホルモンが増えると、子宮では子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすいように準備を始めます。排卵期には、卵巣内で成熟した卵子が排卵され、黄体期になると、子宮内膜はふかふかの状態になって受精卵が着床しやすい環境を整えていきます。排卵後に卵子が精子と出会い受精して子宮内膜に着床(妊娠)すると、生理はきません。しかし、妊娠が成立しない場合は、排卵から約2週間程度で生理、つまり月経期が始まります。

生理不順とはどのような状態?

生理周期は25〜38日程度、生理期間は3〜7日とおよそ1か月周期で起こります。しかし、なかには生理が来るのが早かったり遅かったり、生理期間が短かったり長かったりする人もいるでしょう。

たまに生理周期が乱れるようであれば心配はいりませんが、生理周期が規則的ではない場合や出血量が極端に多い、生理期間が長いなどの状態は生理不順かもしれません。生理不順には以下のような種類があります。

・稀発月経:生理周期が39日以上
・頻発月経:生理周期が24日以下
・過長月経:生理期間が8日以上続く
・過短月経:生理期間が2日以内で終わる

これらの生理不順は、無排卵や卵巣の機能が不十分、子宮の発育不全、視床下部や下垂体など脳の指令が正しく出ていないなどの可能性が考えられます。ご自分の生理周期を見直して、このような兆候があれば婦人科を受診しましょう。

ピルの役割と効果、副作用、服用できない人

経口避妊薬として幅広く知られているピルは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが含まれた錠剤です。経口避妊薬と名前がつくように避妊を目的に使用することもありますが、それだけではありません。

ここでは、ピルの役割や効果、副作用、ピルを服用できない人について説明します。

ピルの効果

ピルを正しく服用することで、排卵を抑えることができるためほぼ確実に避妊効果を得ることができます。服用を中止すれば、再び元の生理周期に戻り妊娠に向けて体が準備を始めます。

また生理周期を調整することができるため、大事なイベント日に体調が左右されにくくなります。PMSや生理期間に大事なイベントが重なってしまうと本来の力を発揮できなかったり、十分に楽しめなかったりしますが、ピルを服用することでそうした心配が少なくなるでしょう。

さらに、月経困難症や生理不順、生理が原因で起こる気分不良(PMDD)の治療としてもピルを使用することがあります。そのほかにもピルを使用することで以下のようなメリットのある副効用を期待することができます。

・生理周期が正しくある
・生理による出血量が少なくなる
・貧血症状の改善
・生理痛の改善・緩和
・PMS(月経前症候群)の軽減
・子宮内膜症の予防と改善
・卵巣がん、子宮がんの予防と改善
・ニキビ、多毛の改善
など

このようにピルを上手に使うことで、女性のQOL向上にも役立っています。

ピルの副作用

すべての薬には効果と副作用があり、効果のメリットが大きいと医師が判断した場合に処方されています。ピルも同じように、避妊効果や生理予定日を移動させる効果だけでなく副作用もあるため、服用前によく確認しておくことが大切です。

ピルの主な副作用は以下です。

・吐き気
・むくみ
・胸の張り
・頭痛
・下腹部痛
・不正出血
など

ピルの副作用は、飲み始めてから2〜3か月以内に症状が落ち着く場合がほとんどです。そのため、まずは継続して飲み続けてみましょう。しかし、症状がつらいと感じる場合は、医師と相談してください。

また、ピルを服用すると血栓症や心筋梗塞、脳卒中のリスクが通常よりも高くなることが分かっています。この後解説する、ピルを服用できない人は注意しましょう。

ピルを服用できない人

ピルは幅広い用途がある薬ですが、中にはピルを服用できない人もいます。以下の人は、服用することができないため、問診時に申告しましょう。

・35歳以上で1日に15本以上たばこを吸う人
・肥満症の人
・発育段階の若い女性(骨成長の未完了)
・乳がんと診断されている人
・妊娠または妊娠の可能性がある人
・重篤な肝障害・腎障害がある人
・高血圧、糖尿病性腎症、網膜症がある人
・血栓症、自己免疫疾患がある人
など

このほかにも、家族に乳がんや血栓症、糖尿病の既往がある人はピルの使用に十分な注意が必要です。参考:日本産婦人学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(PDF)

ピルの種類

現在、日本ではさまざまな種類のピルが処方されていますが、女性ホルモンの配合量の違いにより「低用量ピル」「中用量ピル」「アフターピル」の3種類があり、それぞれ使用用途が異なります。ここではそれぞれのピルの特徴を紹介します。

低用量ピル

低用量ピルは避妊や月経トラブルの改善が目的で使われています。排卵を抑制して、子宮内膜の増殖を抑えます。正しく服用することで得られる避妊効果は99%以上と、コンドームやアフターピルよりも避妊効果が高いのが特徴です。

中用量ピル

中用量ピルは、月経移動や緊急避妊を目的として使用されています。低用量ピルに比べ、エストロゲンの配合量が多く、服用開始から1週間程度で避妊効果を得ることができます。

中用量ピルも正しく服用することで、低用量ピルと同様に高い避妊効果が期待できます。ただし、服用開始から1週間後から避妊効果が期待できるため、コンドームの併用が必要です。緊急避妊薬としての効果は、性交後24時間以内に服用することで77%程度と言われており、飲むタイミングが早いほど避妊効果は高くなります

アフターピル

アフターピルは緊急避妊薬ともいい、妊娠を希望していない女性が避妊をしなかったときや避妊に失敗したときになどの、妊娠の可能性のある性行為をしたあとに避妊を目的に飲む薬です。

性交後72時間以内の妊娠阻止率は約70%以上です。アフターピルも推奨時間よりもできるだけ早く飲むことで避妊効果は高くなります。

アフターピルは一回の受診で複数回分を処方されるわけではありません。そのため、望まない妊娠の可能性があるときはその都度すぐに婦人科を受診しましょう。

ピルで排卵日を調整できる?

ピルの目的は避妊効果と排卵を抑制して生理予定日をずらすことです。ピルを服用すると排卵自体が起こらなくなるため、ピルで排卵日を調整できるわけではありません。

ただし、ピルの飲み方や飲み始めるタイミングによっては排卵が起こってしまう可能性があります。飲み始めるタイミングで卵胞がある程度成長していると、ピルを服用しても排卵が起こってしまうのです。そのため、初めてピルを服用する際は生理1日目、遅くとも5日目までに飲み始めるのが好ましいでしょう。

また、ピルの飲み忘れや毎日服用する時間が定まっていないと、排卵が起こってしまうこともあります。ピルは21錠と28錠のタイプがありますが、いずれの場合も飲み忘れや飲む時間には十分に注意しましょう。

ピルの飲み方

ピルは決められた時間に継続して正しく飲むことで効果を発揮する薬です。ピルはさまざまな用途で使用できますが、ここでは月経移動を目的としたピルの飲み方を説明します。

ピルを飲むと生理日をすらせるのは、飲み方を変えることで体が女性ホルモンを分泌していると勘違いして、それに体が合わせようとするためです。生理を早めるときと遅らせるときそれぞれを解説します。

生理を早めるとき

生理を早めるときは、大事なイベントの前の生理周期から調整を始めます。低用量ピルの場合は、ひとつ前の生理開始日からピルを飲むことで生理を早めることができるでしょう。

中用量ピルを使用する場合は、10日以上連続してピルを服用します。服用を辞めると2~3日程度で生理が起こります。

生理を遅らせるとき

生理を遅らせるときは、次回の生理予定日の5日前から中用量ピルを内服すると生理を遅らせることができます。ただし生理日の移動は長くても7~10日程度となるため、イベント日が変更になったり、飲む時期が異なると十分な効果が得られないため注意しましょう。

ピルを飲み忘れたときは?

ピルの飲み始めやピルの服用になれてきたときに起こりがちなのが薬の飲み忘れです。ピルを1日飲み忘れており次の薬の服用前に気づいたときは、気づいた時点ですぐに飲み忘れた分の薬を服用しましょう。

1日飲み忘れて、次の薬を服用するときに気づいたときは前日分と併せて2錠服用します。その後はいつもどおり服用を続けましょう。

3日以上連続して飲み忘れたときは、ピルの服用を中止してコンドームなどを使った避妊方法に切り替えましょう。生理のような出血があれば、その日から新しいシートを飲み始めてください。

ピルには21錠と28錠タイプがあり、21錠タイプのものは休薬期間と呼ばれる一時的に薬を飲まない時期があります。21錠タイプは新しいシートの飲み始めを忘れてしまうという人もいるでしょう。そのような場合は、休薬期間のない28錠タイプのピルを使用しましょう。

まとめ

ピルは排卵を抑えて避妊効果を得ることができるほかに、月経移動やアフターピルとしても使用されています。そのほかにも病気の予防や改善のために使用されることもあります。

ピルで排卵日を調整することはできませんが、生理予定日を移動することは可能です。大事なイベントがある日は、ピルに頼ってみてはいかがでしょうか?

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