避妊を目的として低用量ピルを飲み始めるのなら気になるのは妊娠確率です。飲み忘れてしまい妊娠確率が気になっている人も多いでしょう。
低用量ピルを飲んでいても、妊娠確率がゼロになるわけではありません。
そこで本記事では、低用量ピルを飲んでいるときの妊娠確率や、避妊方法ごとの成功率などを紹介します。避妊を目的に低用量ピルの利用を考えているのでしたら、ぜひ参考にチェックしてみてください。
目次
低用量ピルを飲んでいるときの妊娠確率
2種類の女性ホルモンを配合しているのが「経口避妊薬」とも呼ばれる低用量ピルです。避妊・PMSの緩和・生理痛の対策など、さまざまな目的で使われています。
低用量ピルを毎日飲むと、女性ホルモンのコントロールが可能です。妊娠時に近いホルモンバランスを維持して排卵を抑制します。
ただし低用量ピルを毎日飲み続けたとしても避妊効果は100パーセントではありません。
そこで「毎日同じ時間に飲んだとき」「飲み忘れたとき」の妊娠確率について紹介します。どのくらいの効果が期待できるのか、それぞれチェックしてみましょう。
低用量ピルを毎日飲んだときの妊娠確率
毎日正しく飲み続けるのであれば、低用量ピルには高い効果が期待できます。たとえ性交渉時に膣内射精(中出し)をしたとしても、妊娠しにくくなるでしょう。
しかし低用量ピルであっても、100パーセント避妊できるとは限りません。低用量ピルを毎日飲んだときの妊娠率は、約0.3パーセントです。つまり確率的に1000人のうち3人は、低用量ピルを正しく飲んでいたとしても妊娠します。
ところが「ピルを飲んでいるから妊娠するはずがない」と考えている人は意外と多いものです。高い避妊効果があるものの、絶対ではないため注意しましょう。
低用量ピルを飲み忘れたときの妊娠確率
低用量ピルを飲み忘れたときの妊娠確率は、9パーセントです。避妊の成功率が大きく下がってしまうため、毎日1錠忘れずに飲みましょう。
低用量ピルには、大きく分けるとOCとLEPの2種類があります。
- OC……保険適用外・避妊を目的に使用する
- LEP……保険適用内・月経困難症や子宮内膜症の予防や治療目的で使用する
ただし両方とも飲み忘れると効果が薄れてしまいますので注意してください。
方法ごとの避妊成功率
低用量ピル以外にも、さまざまな避妊方法があります。そして方法によって避妊の成功率は違うものです。そこで方法ごとの避妊成功率もチェックしてみましょう。
方法ごとの避妊成功率は以下の通りです。
不妊手術(女性の場合) | 99.5パーセント |
不妊手術(男性の場合) | 99.9パーセント |
低用量ピル | 99.7パーセント |
コンドーム | 98パーセント |
アフターピル | 58~99パーセント |
「不妊手術をすれば妊娠しない」と考えている人も多いのではないでしょうか。しかし実際には、男性・女性どちらも、不妊手術でも避妊成功率は100パーセントではありません。
不妊手術に次いで高い成功率を誇るのが低用量ピルです。コンドームやアフターピルよりも避妊成功率は高くなります。
複数の方法を組み合わせると、避妊成功率を高めることが可能です。なおアフターピルは時間によって避妊成功率が変わってくるため注意してください。
アフターピルとは?
「緊急避妊薬」とも呼ばれるのがアフターピルです。性行為後72時間以内に服用すると、妊娠を阻止する効果が期待できます。
- 排卵前……排卵を遅らせて受精を阻害する
- 排卵後……受精卵が子宮に着床するのを防ぐ
ただし2022年現在、アフターピルを手に入れるためには医療機関で処方を受ける必要があります。
アフターピルによる避妊成功率は?
アフターピルは服用するタイミングにより、避妊成功率が違ってきます。そのため、同意なき性行為や避妊の失敗があったら、なるべく早く服用しましょう。
時間ごとの目安は以下の通りです。
- 12時間以内……99パーセント
- 24時間以内……95パーセント
- 48時間以内……85パーセント
- 72時間以内……58パーセント
医療機関は受付時間や曜日が決まっているため、72時間以内の服薬が難しいときもあるでしょう。やむを得ない事情のある場合を除き、アフターピル以外の方法での避妊を考えてください。
低用量ピルを飲んでいてもコンドームは必要?
「毎日低用量ピルを飲んでいるからコンドームは不要」と考える人もいます。確かに、低用量ピルは正しく飲むと妊娠確率を大幅に下げることが可能です。
しかし避妊を考えているのなら、コンドームとの併用を検討してください。
その理由として以下の2つが挙げられます。
- 妊娠確率を下げられる
- 性感染症の予防になる
妊娠確率を下げられる
低用量ピルを飲んでいても妊娠確率をより下げたいならコンドームとの併用がおすすめです。
飲み忘れがなければ高い効果に期待できる低用量ピルですが、絶対ではありません。避妊確率が99.7パーセントであるため、1000人中3人は低用量ピルを飲んでいても妊娠する可能性があります。
そこで妊娠確率を下げるために使えるのがコンドームです。ただし妊娠を避けたいのならコンドームは正しく使う必要がありますので、注意してください。
性感染症の予防になる
低用量ピルを飲んでいてもコンドームが必要だとされるのは、性感染症の予防になるためです。性感染症は、低用量ピルを服用しても防げません。
HIV・淋病・クラミジア・梅毒・性器ヘルペス・トリコモナスなどの多くは、性器の接触によって起こります。性器の接触での性感染症を防ぐなら、コンドームの使用が効果的です。
性感染症によっては、痛みや炎症などが起こり、不妊症につながってしまいます。そのため性交渉の安全性を高めるなら、コンドームの併用が必要です。
低用量ピルを飲んでいても妊娠する理由
低用量ピルを飲んでいても妊娠する理由として考えられるのが以下の5つです。
- 飲み忘れていた
- 個人輸入の低用量ピルだった
- 効果が出る前だった
- ホルモンバランスの変化があった
- 他の薬との飲み合わせが悪かった
5つの理由についても紹介しますので、ぜひ内容をご確認ください。
飲み忘れていた
低用量ピルを飲んでいても妊娠する理由で特に多いのが「飲み忘れ」です。2日以上飲み忘れると、低用量ピルの避妊効果が大きく下がるので注意してください。
時間を決めて、毎日忘れずに服用する習慣をつけましょう。
低用量ピルには周期があり、いつ飲み忘れたかによってリスクが違ってきます。7日休薬するタイプの低用量ピルで、偽薬を服用する期間であれば飲み忘れても問題ありません。
服薬周期の1~2週目に飲み忘れた状態で膣内射精があると、避妊に失敗するリスクが高くなります。もし1~2週目に飲み忘れてしまったのなら、アフターピルの利用も検討しましょう。
個人輸入の低用量ピルだった
「低用量ピルを飲んでも避妊に失敗した」というときは、個人輸入の低用量ピルだったという理由も見られます。
近年は、個人輸入で低用量ピルが手に入るようになりました。海外製の低用量ピルはリーズナブルであるため、コストを大幅に抑えられます。
しかし安い低用量ピルは、本物でない可能性があるため注意しなくてはなりません。
また人によっては、低用量ピルが合わない可能性もあります。
- 忙しくて病院で処方してもらう時間がない
- 手軽に低用量ピルを手に入れたい
そう考える人にとって個人輸入は魅力的ですが、ハイリスクです。もし時間を取るのが難しいなら、オンライン診療を行っているクリニックを利用する方法があります。
効果が出る前だった
低用量ピルを飲んでいても、効果が出る前だったなら妊娠する可能性もあるでしょう。効果が出るタイミングは、ピルの飲み方によって違ってきます。
特に注意したいのが、生理不順の人です。
生理初日がいつなのか分からないなら、効果が出るまでの目安は3週間となります。
ホルモンバランスの変化があった
ホルモンバランスの変化も、低用量ピルを飲んでいても妊娠する理由の1つです。低用量ピルは、生理不順の改善にも役立ちます。
周期が不安定で次の生理がいつ来るか分からないなら、低用量ピルで改善できるでしょう。しかし服用によって身体の状況が変わるため、効果が出るタイミングが変わる可能性があるのです。
他の薬との飲み合わせが悪かった
ごく稀ですが、他の薬との飲み合わせにより、避妊効果に影響が出る可能性があります。飲み合わせが悪い薬を服用していると妊娠確率がは8パーセントまで上がるため、注意しましょう。
飲み合わせによるリスクを避けるための方法は以下の2つです。
- 個人輸入を利用せず医師の診断を受けてから低用量ピルを処方してもらう
- コンドームなど他の避妊方法を併用する
サプリも飲み合わせに注意が必要ですので、医師の診断時に相談するのがおすすめです。
低用量ピルの避妊効果はいつから出る?
低用量ピルは、いつ飲み始めるかで避妊効果が出るタイミングが変わります。くわしくは医師から処方されたときに確認してください。
パターンは以下の3種類です。
- 生理初日から飲み始める
- 生理が始まった週の日曜から飲み始める
- 生理に関係なく飲み始める
それぞれの効果が出るタイミングについてもチェックしてみましょう。
生理初日から飲み始める場合
生理初日からスタートするのが「Day1スタートピル」です。初日と聞くと、日付が変わったらどうするのか迷う人もいるでしょう。
Day1スタートピルの場合は、生理が始まってから24時間以内に服用を開始します。寝ているあいだに生理が始まったのなら、就寝時間をスタートとして考えれば大丈夫です。
生理初日から5日以内に服用を始めると、その日から効果が出るとされています。
生理が始まっているのか定かでないと感じるのなら、出血があってから服用を開始してください。その場合には、最低でも2週間は他の避妊方法を併用しましょう。
Day1スタートピルは、21錠と28錠の2タイプがありますが、どちらも実際に低用量ピルを飲むは21日です。28錠タイプは、最後の7錠が偽薬となり、7日休んでいるのと同じ状態になります。
薬を飲む習慣をつけ、飲み忘れを防ぎたいのなら、28錠タイプが適しているでしょう。
生理が始まった週の日曜から飲み始める場合
生理が始まった週の日曜から飲み始めるのが「Sundayスタートピル」です。
最初のシートは生理が始まって最初の日曜日から服用をスタートします。月曜日から土曜日までに生理が来たら、次の日曜日に低用量ピルを飲むルールです。
Sundayスタートなら、飲み始めてから7日以降に効果が出るでしょう。
日曜にピルを飲み始めるため、消退出血が始まるのは月曜日ぐらいになります。金曜日までには消退出血が終わるため、週末に予定が多い人に向いている方法です。
生理に関係なく飲み始めた場合
周期が安定しないため、生理に関係なく低用量ピルを飲み始める人もいます。その場合は、出血がスタートしてから低用量ピルを飲み始めましょう。
生理周期に関係なく低用量ピルを飲み始めるのなら、避妊効果が出てくるのは3週目以降です。最初の2週間は他の避妊方法と併用する必要があります。
生理周期が不安定な場合は、医師に相談のうえで指示に従ってください。
消退出血とは?
消退出血とは、低用量ピルの服用やアフターピルの内服などで起こる出血です。普段の生理も消退出血の一種ですが、出血の理由が違うため呼び分けが行われています。
低用量ピルの服用にあたっては休薬から2~3日で消退出血が起きます。通常の生理と同じように、5日程度続くのが一般的です。
低用量ピルでよくある質問
低用量ピルの服用にあたって、不安だと感じる人も多いでしょう。初めて服用するのなら、不安に感じてしまうのも当然ですよね。
そこで低用量ピルでよくある質問についても紹介していきます。妊娠確率を下げるために低用量ピルの服用を考えているのでしたら、ぜひ参考にしてみてください。
低用量ピルは何歳から飲めるの?
基本的に初潮後であれば低用量ピルの服用が可能です。また閉経を迎えるまで低用量ピルを飲み続けられます。
避妊だけでなく、生理のトラブルを改善できるのが低用量ピルです。つらい生理のトラブルを抱えているのなら、低用量ピルの利用も考えてみましょう。
ただし若い年代の場合は、副作用のリスクが高くなってしまいます。そのため医師と相談のうえで、慎重に服用を検討してください。
低用量ピルの副作用はどんなもの?
低用量ピルの代表的な副作用には以下のような症状が挙げられます。
- 吐き気
- めまい
- 頭痛
- 体重の増加
- 不正出血
副作用が起きてしまうのは、低用量ピルに含まれている女性ホルモンの影響です。低用量ピルの副作用は、「マイナートラブル」とも呼ばれています。
最初はつらいと感じるかもしれませんが、服用に慣れてくると、次第に症状は落ち着くでしょう。ただし以下のような場合は、低用量ピルの種類が身体に合わない可能性が考えられます。
- 副作用が長く続く
- 副作用がひどくて日常生活に支障が出る
2シートほど飲んでも副作用が続くのなら、身体に合っていないのかもしれません。その場合は医師に相談して、低用量ピルの種類を見直してもらってください。
低用量ピルは避妊以外にどのような目的で使われるの?
もともと低用量ピルは、避妊を目的として作られました。しかし避妊に限らず、次のような効果にも期待できます。
- 生理痛の緩和
- PMSの改善
- 生理周期の調整
- 肌荒れやニキビの改善
- 大腸がんの予防
初潮後に生理のトラブルで悩まされている女性は多いでしょう。学校や仕事に通えないほどの生理痛に苦しんでいる人も大勢います。
そんなトラブルの改善・緩和にも役立てられるのが低用量ピルです。生理について悩みを抱えているのなら、低用量ピルの服用で改善できる可能性があるでしょう。
低用量ピルの飲み忘れを防ぐ方法は?
低用量ピルは飲み忘れないよう、本人が管理し続ける必要があります。飲み忘れを完全に防ぐのは難しいものの、以下のような方法が使えるでしょう。
- アプリやリマインダーを使う
- 飲む時間を決める
- 良く見る場所に薬を置く
スマートフォンのアプリやリマインダーなどを使うのも手軽な方法です。
また毎日同じ時間に飲むよう習慣づけると、飲み忘れを防ぎやすくなります。朝食後・昼食後など、確実に飲める時間がないか考えてみましょう。
毎日良く見る場所に薬を置くのも飲み忘れ対策として効果的です。
人によって飲み忘れを防ぐベストな方法は違いますので、いろいろ工夫してみてください。
低用量ピルを飲んでいるときにお酒を飲んでも大丈夫?
お酒と低用量ピルの飲み合わせ自体は問題がありません。ただし「お酒を飲むと忘れてしまう」という人もいるでしょう。
もし普段の時間に飲み忘れそうだと感じるのなら、お酒を飲む前に低用量ピルを飲んでおくと安心です。効果を薄れさせないためにも、飲み忘れには注意してください。
妊娠確率を下げるなら低用量ピルとコンドームの併用がおすすめ
低用量ピルを毎日忘れずに服用した時の妊娠確率は、0.3パーセントです。他の方法と比較すると低用量ピルの妊娠確率は低くなっています。
ただし低用量ピルを忘れずに服用したとしても、絶対に妊娠を防げるわけではありません。また低用量ピルでは性感染症が防げない点にも注意が必要です。
そこで低用量ピルだけでなくコンドームの併用が推奨されています。望まぬ妊娠や性感染症を避けるためにも、低用量ピルだけでなくコンドームも併せて使いましょう。
妊娠確率を下げたいのなら、低用量ピルの飲み忘れにはくれぐれも注意してくださいね。