旅行・結婚式・スポーツの試合などに、生理が重なってしまうときもあるでしょう。
大切な行事に生理が重なると大変ですが、ピルの服用で対処できます。
しかし「生理を遅らせるには何日前からピルを飲めばいいの?」と考える人も多いはずです。まだ試したことがないのなら、何日前から飲むと良いのか分からないものですよね。
そこでピルを使った生理の移動(月経移動)についてチェックしていきましょう。
目次
ピルで生理を遅らせる・早められる仕組み
ピルを使うと生理日を予定の前後へと移動させることが可能です。その理由は生理の仕組みと大きく関係しています。
初潮を迎えてから閉経するまでのあいだ、ほぼ一定の周期で毎月訪れるのが生理です。人によって違いますが、周期は25~38日が正常な範囲で、5日ほど出血が続きます。
ピルに含まれているのが、生理と深く関わる女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンです。生理の仕組みは以下のようになっています。
- 排卵前にエストロゲンの分泌量が増加する
- 排卵後にプロゲステロンが分泌される
- プロゲステロンによって子宮内膜が厚くなる
- 受精しないと子宮内膜が剥がれて経血として体外に排出される
ピルを服用すると、身体が「女性ホルモンを分泌している」と勘違いします。すると生理日を遅らせたり早めたりすることが可能になるのです。
ピルで生理日の移動をするなら何日前に受診する?
生理日を移動するのなら、病院で相談してピルを処方してもらいます。移動させるにあたって「何日前に受診すればいいのだろう」と考える人も多いでしょう。
- 生理を遅らせるとき
- 生理を早めるとき
前後どちらに変えるのかにより何日前に病院を受診するのかタイミングが変わってきます。そこで、それぞれの方法と受診するタイミングについてもチェックしてみましょう。
ただし「何日前」という目安ぎりぎりでの受診はおすすめできません。効果を高めるためにも、なるべく日付には余裕を持って受診してください。
生理日を遅らせるとき
生理日を遅らせるときは、次の生理が来る予定の5日前から中用量ピルを服用してください。ピルの服用をやめると、そこから2~3日後に生理が来ます。
ただし移動できるのは7~10日程度までです。その後はピルを飲んでいても生理が来ますので注意しましょう。
例:生理予定が12月15日で遅らせる場合
12月10日 | ピルの服用スタート |
12月18日 | ピルの服用ストップ |
12月20日ごろ | 生理が来る |
12月22日~12月25日以降 | ピルを飲んでいても生理が来る |
生理日を早めるとき
生理日を早めるときは、ずらしたい時期の1回前の生理中からピルを服用しましょう。10日以上毎日ピルを飲むと、服用を中止してから2~3日後くらいに生理が来ます。
遅らせるときよりピルの服用を始めるタイミングが早くなりますので、注意してください。
例:生理予定が12月25日で、前にズラしたい場合
12月5日 | ピルの服用スタート |
12月15日 | ピルの服用ストップ |
12月17日ごろ | 生理が来る |
月経移動のためにピルを入手する方法
月経移動のためにピルを入手する方法についても紹介します。紹介するのは次の2つです。
- ピルが購入できる場所
- ピルの購入にかかる費用の目安
ピルを入手する方法は限られています。余裕を持って準備するためにも、事前に入手方法や費用を確認しておきましょう。
ピルが購入できる場所
2022年の段階で、日本国内においてピルが購入できるのは病院だけです。海外とは違って、ピルは日本国内の薬局やドラッグストアなどでは市販されていません。
産婦人科など、専門のクリニックを受診して処方してもらいましょう。
- 仕事や育児などでクリニックを受診するのが難しい
- 近隣にピルを処方できる専門のクリニックがない
上記のような場合は、オンライン診療を行っているクリニックを利用すると便利です。ただしオンライン診療を行っているクリニックは限られています。また初診は対面による診療が必要なクリニックもありますので、事前に確認を行ってください。
月経移動でピルを購入するときにかかる費用の目安
生理日を移動する目的でピルを購入するときの費用は、初診料やピル込みで3,000~5,000円が目安となります。ただし薬の種類や服用する期間などによって必要な費用は変わってきますので、目安と考えてください。
ジェネリックなら費用を抑えられる可能性があるでしょう。
ピルの処方について掲載しているクリニックなら、費用の目安が掲載されていることがあります。あらかじめ費用を確認したいのなら、クリニックのホームページをチェックしてみてください。
ピルで生理日を移動するときの注意点
ピルで生理日を移動するときに気をつけたい注意点を4つ紹介します。特に気をつけたい注意点は以下の4つです。
- 個人輸入ではなく病院で処方してもらう
- 自分の生理周期を正確に把握する
- 生理周期がずれないような生活習慣を意識する
- なるべく早めに病院で相談する
それぞれについて紹介しますので、内容を確認してみてください。
個人輸入ではなく病院で処方してもらう
ピルは個人輸入をせず病院で医師の診察を受けたうえで処方してもらいましょう。忙しい人にとって個人輸入は便利だと感じられるでしょうが、おすすめはできません。
なぜなら海外から個人輸入するピルは安全性が保証されていないからです。偽薬だったり、身体に良くない成分が含まれていたりする可能性もあります。
身体に異変が起きても対処が難しいため、個人輸入の利用は避けましょう。
自分の生理周期を正確に把握する
月経移動をするのなら、まず自分の生理周期を正確に把握しましょう。生理の周期は人によって違いますが、正常な範囲は25日~38日です。
周期が25~38日以外なら以下に該当します。
- 頻発月経……生理周期が24日以内
- 稀発月経……生理周期が39日以上3か月未満
月経移動のためにピルを飲むのなら、生理予定日を正しく想定する必要があります。基礎体温などによって、およその生理周期は把握することが可能です。
想定がずれると月経移動に失敗する可能性が高くなりますので注意しましょう。
生理周期がずれないような生活習慣を意識する
月経移動を予定しているのなら、生理周期がずれないような生活習慣を意識するのも大切です。生理周期がズレる原因には、以下のようなものが挙げられます。
- ストレス
- 睡眠不足
- 運動不足
- 極度のダイエット
- 偏った食生活
ストレス・睡眠不足・運動不足は生理がズレる大きな原因になります。また極度のダイエットや偏った食生活にも注意が必要です。
予定していた日とズレてしまうと月経移動は難しくなってしまいます。なるべく規則正しい生活をして生理がズレるのを防ぎましょう。
なるべく早めに病院で相談する
ピルでの月経移動なら、なるべく早い段階で病院を受診して相談しておくと安心です。月経移動をするときは、仕組みを正しく知って適切なタイミングで飲み始める必要があります。
前と後ろどちらに移動させるのかによって、飲み始めのタイミングが違うため注意が必要です。特に早めたいときは、ぎりぎりではなく余裕を持って受診してください。
生理日の移動に使うピルの種類
生理日の移動に使うピルの種類についても把握しておきましょう。基本的に、クリニックで処方されるピルは以下2つのいずれかです。
- 低用量ピル
- 中用量ピル
名前から想像できるように、低用量ピルは含まれているホルモンの量が少なめです。高用量ピルも存在しますが、副作用の強さから現在は滅多に処方されません。
良く使われる低用量ピル・中用量ピルの用途や副作用などを解説しますので、参考にしてください。
低用量ピル
低用量ピルは、エストロゲンの含有量が1錠あたり50ナノグラム以下のピルです。おもに避妊・PMS・ニキビ・生理痛・生理不順・月経過多や子宮内膜症などの改善を目的として処方されます。
含まれているホルモンの量が少ないため、低用量ピルは飲み忘れると避妊効果が大きく下がるため注意しましょう。
低用量ピルは、中用量ピルよりも副作用が起こりにくいのが特徴です。もちろん低用量ピルでも服用によって副作用が起こる可能性が0という訳ではありません。
中用量ピル
中用量ピルは、エストロゲンの含有量が1錠あたり50ナノグラムのピルです。おもに緊急避妊・月経移動・生理不順・月経困難症や月経過多などの改善を目的に処方されています。
低用量ピルよりも副作用は強い傾向にありますが、服用を続けると次第に落ち着きます。短期間で効果が出るため、中用量ピルは緊急避妊薬としても使われているものです。
また月経移動ではおもに中用量ピルが処方されます。緊急避妊薬として使う場合は飲み方が違ってきますので、医師に相談しましょう。
ピルによる生理日の移動でよくある質問
自分もピルを服用して生理日を移動できるのか、気になる人も多いでしょう。
基本的に生理の周期が把握できているなら、日付を移動させられます。しかし状況によっては難しくなる可能性もあるため注意が必要です。
よくある質問とその答えも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ピルによる生理日の移動が可能な年齢は?
基本的に、初潮を迎えたあとならピルを服用できます。そのため10代であっても、ピルを使って生理日の移動が可能です。
月経移動には中用量ピルが処方されますが、クリニックによっても違う可能性があります。なぜなら若いとピルによる副作用が強く出る可能性があるからです。
年齢に関わらず、月経移動を希望しているのなら、まずは医師に相談しましょう。
ピルによる生理日の移動ができない人はいる?
大抵の女性はピルの処方が受けられます。ただし以下に該当する女性は、ピルの処方が受けられませんので注意してください。
- 過去にピルでアレルギーを起こした経験がある
- 35歳以上で1日に15本以上喫煙する
- 高血圧・高脂血症・糖尿病を患っている
- 血栓に関する病気の既往歴がある
- 乳がん・子宮頸がん・子宮体がんを患っている
- 妊娠または妊娠の可能性がある
- 前兆を伴う頭痛がある
- 肥満である
アレルギーや過去の病気の種類によっては、ピルの服用ができない可能性があるでしょう。また血栓症のリスクが高まる40歳以上の女性にはピルを処方していないクリニックもあります。
安全のためにも、病院で既往歴を聞かれたら正しく答えてください。
生理の周期が不規則でもピルは服用できる?
周期が不規則だとしてもピルの服用には問題がありません。むしろホルモンバランスの乱れで不規則になっているのなら改善につながる可能性もあります。
生理の周期は人によって違いますが、正常な範囲は25日~38日です。短すぎたり長すぎたりするのなら、以下いずれかに該当します。
- 頻発月経……生理周期が24日以下である
- 稀発月経……生理周期が39日以上3か月未満である
ただし病気が原因なのであれば、まずは治療をして改善を図る必要があります。生理の周期が25~38日以外なら病院で相談してみましょう。
ピルによる副作用とは?
ピルには副作用があります。低用量ピル・中用量ピルに共通する代表的な副作用は、次のような症状です。
- 吐き気
- 不正出血
- 乳房の張り
特に多いのが不正出血で、服用した人のうち約3割に症状が出ます。通常は服用を続けていくと収まりますので心配はいりません。
ただし不正出血が長く・悪化する、といった場合には薬が合っていないかもしれません。
また中用量ピルでは、食欲減退・肩こり・ほてり・腰痛・便秘などの副作用が出る可能性もあります。気になる症状が続く場合には薬の変更が必要な場合もありますので、クリニックで相談しましょう。
中用量ピルを飲むと太る?
以前は「中用量ピルを飲むと太る」とも言われていました。その理由は、かつては中用量ピルが処方されていたためです。
含まれているホルモンの量が多いため、中用量ピルはむくみや食欲増進といった症状が出やすい傾向にあります。むくみによって、中用量ピルは「太る」と感じる女性が多い傾向にありました。
生理日の移動で短期間だけピルを服用するのなら、それほど心配はいりません。また低用量ピルだと含まれているホルモン量が少ないため、「太る」と感じる可能性は低くなります。
オンライン診療でのピル処方とは?
クリニックによっても違いますが、オンライン診療ではスマートフォンやタブレットのカメラ機能を使います。
遠隔で医師による診療・診察を受けたうえでピルが処方される仕組みです。
オンライン診療であれば、自宅にいる状況で医師からピルを購入できます。外出する手間を省けますので仕事や家事などで忙しい人に便利です。
もともとピルを服用していても月経移動は可能?
もともと低用量ピルを服用している人でも、生理日は移動できます。ピルは21日間の服用と7日間の休薬で1サイクルとなる仕組みです。
生理日を移動させるなら、休薬期間を作らずに遅らせる日数分次のシートからピルを服用します。移動したら休薬期間を作り、次のシートからピルをスタートすれば大丈夫です。
ただし服用しているピルの種類にもよりますので、まずはクリニックで相談しましょう。
生理を遅らせるのと早めるのだとどちらが良いの?
生理を避けたい行事の予定が決まっているのなら、生理を早める方が良いでしょう。
早めるなら行事中にピルを服用しなくて良くなります。そのため飲み忘れのリスクを防げるのがメリットです。
副作用による体調不良が出るリスクも下がり、行事に影響が出にくくなります。
ピルによる月経移動は失敗する可能性がある?
ピルによる月経移動の成功率は100パーセントではなく、失敗のリスクがあります。ホルモンバランスの乱れや飲み忘れなどがあると、失敗する可能性が高くなるでしょう。
生理開始日が明確でないと、思うような結果を得られないかもしれません。成功率を高めるのであれば、予定の2か月前から調整することも考えてみてください。
ピルで生理を遅らせるなら早めに相談するのがおすすめ
ピルで生理を遅らせるなら早めにピルを服用することで対処が可能です。ただしピルを手に入れるのであればクリニックの受診が必要になります。
忙しくてクリニックに行くのが難しいなら、オンライン診療を使うのも便利です。
大事な予定と生理のタイミングが重なってしまうのは、なるべく避けたいもの。移動が多い旅行のときは、思うようにトイレに行けないこともあります。そんなときはピルで生理のタイミングを変えると快適に過ごせるでしょう。
生理を遅らせたいのであれば、ぜひピルの活用も検討してみてくださいね。