【アルギニン】とは?効果や男性ホルモン（テストステロン）との関係まで医師が解説。

アルギニン(とくに、Lアルギニン)は、性機能の改善や男性らしさの増強を目的としたサプリに多く含まれている成分です。アルギニンを利用するとEDの改善が期待できます。

「アルギニンを飲めばEDが改善する？」「テストステロン（男性ホルモン）も増える？」といった期待をお持ちの方も多いでしょう。

結論から言うと、アルギニンが直接的にアプローチするのは「血流（血管）」です。この記事では、信頼できる研究結果をもとに、専門医が以下の点を解説します。

• アルギニンがED（勃起不全）に期待される理由
• アルギニンとテストステロン（男性ホルモン）の本当の関係
• 安全な飲み方と注意点

ご自身の悩みにアルギニンが有効なのか、ぜひ最後までご覧ください。

アルギニンの主な働き：「一酸化窒素（NO）」による血管拡張

アルギニン（L-アルギニン）が体内で注目される最大の理由は、「一酸化窒素（NO）」という物質に変換されるためです。

この一酸化窒素には、体の血管を広げ、血流をスムーズにする働きがあります。

ちなみに、医療用の「ED治療薬」が効果を発揮する仕組みにも、この一酸化窒素（NO）が深く関係しています。

アルギニンの効果として「活力を蘇らせる」「運動効率が改善する」といったものが挙げられるのも、血流が改善されるためと考えられています。

アルギニンは「ED」と「テストステロン」にどう働く？

読者の皆様の疑問である「ED」と「テストステロン」について、アルギニンがどう関わるのかを解説します。

1. ED（勃起不全）への効果：血流の改善

アルギニンがED改善に期待されるのは、アルギニンが「血流」にアプローチするからです。

勃起とは、陰茎の血管が広がり、そこに血液が大量に流れ込むことで起こる現象です。アルギニンから作られる一酸化窒素（NO）が血管を広げるため、陰茎への血流が増加し、ED症状の改善につながるのではないかと考えられています。

実際に、以下のような研究報告もあります。

• L-アルギニンとピクノジェノールの併用で、ED男性の多くが正常な勃起を得られたという報告。
• L-アルギニンと塩酸ヨヒンビンの併用が、軽度〜中度のEDに効果が期待できるという報告。

（補足：アルギニンはどこで摂れる？） アルギニンは体内で作られにくいため、食事で補う必要があります。「パワーの源」となる食品（赤身肉、鶏肉、魚、乳製品など）に多く含まれています。

2. テストステロン（男性ホルモン）との関係：直接の効果はなし

では、もう一つのテーマである「テストステロン」との関係はどうでしょうか。

結論から言うと、アルギニンにテストステロン（男性ホルモン）を直接増加させる効果は、医学的に確認されていません。

ここが非常に重要なポイントです。

• アルギニン →血流（血管）に働きかける（EDなどに関連）
• テストステロン → ホルモンの一種（性欲、活力、筋肉量などに関連）

アルギニンは、あくまで「血流の改善」を通じて男性機能（勃起）をサポートするものであり、「ホルモン」そのものを増やす働きはない、と区別して理解することが大切です。

⚠️ 服用前に：アルギニンの安全性と注意点

アルギニンは多くの研究で、一般的に安全なサプリメントと考えられています。ただし、その「血管を広げる」という特性上、以下の方は注意が必要です。

• 高血圧の薬（降圧剤）を飲んでいる方
• ED治療薬を飲んでいる方

これらの薬はもともと血管を広げる作用を持っています。アルギニンを併用すると、血管が広がりすぎてしまい、血圧が下がりすぎる可能性があります。

また、低血圧の方が使用する場合も、症状が悪化する可能性があるため、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。

まとめ：あなたの悩みは「血流」？ それとも「ホルモン」？

今回の解説をまとめます。

アルギニン（L-アルギニン）は、「一酸化窒素（NO）」の力で血管を広げ、血流を改善します。

そのため、血流不足が原因の**ED（勃起不全）**には、改善が期待できる可能性があります。

しかし、アルギニンにテストステロン（男性ホルモン）を直接増やす効果はありません。

もし、あなたの悩みが「勃起力」といった血流の問題であれば、アルギニンは選択肢の一つになるかもしれません。

しかし、「性欲自体が湧かない」「活力そのものが低下している」といった悩みは、血流ではなく「ホルモン」の問題である可能性があります。

性機能や男性らしさを確実にアップさせるにはテストステロン（男性ホルモン）補充療法がおすすめ

アルギニンはあくまで「血流」へのアプローチです。

もし、

• 性欲（リビドー）自体が湧かない
• 朝立ちが減った
• やる気や集中力が続かない
• 年齢のせいか、活力が無くなった

といった「ホルモン」自体の低下が疑われる場合、サプリメントで根本的に解決するのは難しいかもしれません。

男性ホルモンは多くの場合、30代から低下が始まります。 男性ホルモンの低下自体を改善する治療として、科学的根拠に基づいた「テストステロン補充療法」があります。

当院では、注射や塗薬によって男性ホルモンを直接補充し、性欲の改善、男性としての活力アップ、集中力アップが期待できる治療を行っています。「年齢のせいだから仕方ない」と放置せず、もしホルモン低下の症状に心当たりがあれば、是非一度受診してみてください。