【医師監修】ドキシペップ（DoxyPEP）とは？効果や入手方法・副作用を専門医が徹底解説

性行為の後、「もしかしたら性感染症に感染してしまったかも…」と、一人でスマートフォンを片手に検索し、不安な夜を過ごした経験はありませんか？

最近、ニュースやSNSで「梅毒が過去最多」といった情報を見聞きする機会が増え、他人事ではないと感じている方も多いかもしれません。

コンドームでの予防はもちろん大切ですが、「もしもの時」のための、もう一つの安心材料があったら…と思ったことはないでしょうか。

そんな、性感染症（STD）への不安を抱えるすべての方へ。

今、世界的に注目されている「性行為の後に飲む、新しい予防薬」があることをご存知ですか？

それが、今回ご紹介する「ドキシペップ（DoxyPEP）」です。

「本当に飲むだけで予防できるの？」「どこで手に入るの？」「副作用は大丈夫？」

この記事では、そうしたあなたの疑問や不安に一つひとつお答えするため、性感染症の専門家である医師が、ドキシペップの正しい知識を、どこよりも分かりやすく丁寧に解説します。

性感染症（STD）予防の新たな選択肢「ドキシペップ（DoxyPEP）」

近年、日本国内では梅毒をはじめとする性感染症（STD）が再び増加しており、誰にとっても決して他人事ではない状況です。性感染症の予防といえば、これまではコンドームが主体でした。そこへ、既存の予防法と併用できる新たな一手として登場したのが、世界で関心が高まっている「ドキシペップ」です。

この記事では、性感染症の専門医がドキシペップとは何か、その効果や正しい飲み方、安全な入手方法から副作用まで、皆さまが知りたい情報を分かりやすく徹底解説します。

この記事を最後まで読めば、ドキシペップに関する正しい知識が身につき、あなた自身と大切なパートナーの健康を守るための、新しい一歩を踏み出すことができるはずです。

ドキシペップ（DoxyPEP）とは？

ドキシペップについて、まずは基本的なところからチェックしていきましょう。

ドキシペップの概要

ドキシペップ（DoxyPEP）とは、「Doxycycline Post-Exposure Prophylaxis」の頭文字をとった言葉です。日本語にすると「ドキシサイクリンによる性行為後の曝露後予防内服」となります。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと「コンドームなしの性行為など、感染のリスクがあった後で薬を飲むことで、性感染症にかかるのを防ぐ」という、いわば細菌性性感染症の「緊急予防薬」です。

有効成分は抗生物質「ドキシサイクリン」

ドキシペップの有効成分は「ドキシサイクリン」という抗生物質です。

「抗生物質」と聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、ドキシサイクリンはニキビ治療や呼吸器感染症、皮膚感染症など、様々な病気の治療に長年使用されてきた実績のあるお薬です。

このドキシサイクリンが、体内に入り込もうとする細菌のタンパク質合成を邪魔することで増殖を抑え、感染が成立するのを防いでくれるのです。

対象となる性感染症

ドキシペップが予防効果を発揮するのは、細菌が原因となる以下の3つの性感染症です。

• 梅毒
• 淋菌感染症（淋病）
• クラミジア感染症

⚠注意点 ⚠

ドキシペップは細菌には効果がありますが、ウイルスが原因となる性感染症（HIV、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、B型肝炎など）を防ぐことはできません。この点は必ず覚えておいてください。

ドキシペップの予防効果は？【最新の研究データ】

「本当に飲むだけで予防できるの？」と疑問に思う方もいるかもしれません。ドキシペップの効果は、国外で行われた多くの臨床試験により、科学的に証明済みです。

例えば、アメリカで行われた大規模な研究では、MSM（男性と性交渉を行う男性）やトランスジェンダー女性がドキシペップを服用したところ、プラセボ（偽薬）を服用したグループと比較して、性感染症の感染率が約3分の1にまで減少したと報告されています。

具体的には、

• 梅毒：87%減少
• 淋菌感染症：55%減少
• クラミジア感染症：88%減少

という非常に高い予防効果が示されました。

参照：細菌性性感染症を予防するためのドキシサイクリン曝露後予防内服(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37018493/)

どのような人（服用対象者）に推奨されるか？

その高い効果から、ドキシペップは特に以下のような方に推奨されています。

• HIV予防薬のPrEP（プレップ）を服用している方
• 複数のセックスパートナーがいる方
• コンドームを使用しない性行為の機会がある方
• 過去に性感染症の診断を受けたことがある方
• 風俗関係やアダルトビデオ出演等のCSW（コマーシャルセックスワーカー）の方

もしご自身が当てはまるかもしれないと感じたら、一度専門のクリニックに相談してみることをお勧めします。

ドキシペップの正しい飲み方（用法・用量）

ドキシペップは、その効果を最大限に発揮するために、正しい飲み方を守ることが非常に重要です。

服用のタイミングが最も重要

ドキシペップ服用のポイントはタイミングです。感染リスクのある行為の後、原則として72時間（3日）以内に。そして、早ければ早いほど高い効果が期待できます。

72時間を過ぎてしまうと、予防効果が大きく低下してしまう可能性があります。いざという時にすぐ服用できるよう、あらかじめ医師の診察を受けて手元にお薬を準備しておく「お守り」のような使い方をしている方も多くいます。

服用する量

ドキシサイクリンとして200mgを1回、水またはぬるま湯で服用します。

錠剤の規格によっては、100mgの錠剤を2錠服用する場合もあります。必ず医師の指示に従ってください。

服用の注意点

1.食後に多めの水（コップ1杯以上）で服用する

　空腹時の飲用で吐き気を催す可能性があり、薬が食道に留まって炎症（食道潰瘍）を起こすのを防ぐためです。

2.服用後、飲酒をしない・すぐに横にならない

　最低でも30分程度は座ったり立ったりした姿勢を保ちましょう。また、服用後の飲酒は避けてください。

ドキシペップの入手方法

「ドキシペップを試してみたい」と思った時、どうすれば手に入るのでしょうか。

日本国内での承認状況

2024年現在、ドキシペップは性感染症の予防目的では日本の健康保険の適用にはなっておらず、国の承認も受けていません。

処方を受けるには？

ドキシペップの処方を受けるには、自由診療（自費診療）を行っているクリニックで医師の診察を受ける必要があります。

医師が問診・検査の結果を踏まえ、ドキシペップ服用の医学的な必要性と安全性を判断した上で、処方を行います。最近では、来院不要で診察から薬の処方まで完結するオンライン診療に対応しているクリニックも増えており、プライバシーが気になる方や、忙しくて病院に行く時間がない方でも相談しやすくなっています。

【注意】個人輸入の危険性とは？

インターネットで検索すると、海外からドキシペップを個人輸入できるサイトが見つかるかもしれません。しかし、個人輸入には絶対に手を出さないでください。

• 偽造薬・粗悪品のリスク

有効成分が全く入っていなかったり、不純物が混入していたりするケースがあり、効果がないばかりか、深刻な健康被害につながる恐れがあります。

• 副作用が起きても国の救済制度が使えない

医療機関で処方された薬で重い副作用が出た場合、「医薬品副作用被害救済制度」という公的な補償を受けられますが、個人輸入の薬は対象外です。

あなたの大切な体を守るため、そして安心・安全に予防するためにも、ドキシペップは必ず信頼できる医療機関で処方してもらいましょう。

【医師が解説】ドキシペップの副作用と注意点

比較的安全性の高いドキシペップですが、医薬品である以上、副作用のリスクや注意すべき点もあります。

主な副作用

• 消化器症状：吐き気、下痢、腹痛、食欲不振など
• 光線過敏症：日光（紫外線）に過敏になり、肌に赤み、発疹、水ぶくれなどができやすくなります。服用期間中は、日焼け止めの使用や長袖を着用するなどの紫外線対策を心がけましょう。
• その他：めまい、頭痛など

これらの副作用の多くは一時的なものですが、症状が重い場合や長く続く場合は、処方を受けた医師に相談してください。

長期服用による懸念「薬剤耐性菌」とは？

ドキシペップは抗生物質のため、頻繁に使用すると、その抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」を生み出してしまう可能性が指摘されています。特に淋菌は耐性化が進みやすいことが知られています。

薬剤耐性菌の拡大を防ぐためにも、医師の指示通りに正しく服用し、定期的に性感染症の検査を受けることが非常に重要です。

ドキシペップを服用できない人は？

以下に該当する方は、ドキシペップを服用することができません。

• ドキシサイクリン（テトラサイクリン系抗生物質）にアレルギーがある方
• 妊娠中または妊娠の可能性がある方、授乳中の方
• 8歳未満のお子様（歯の着色や骨の発育に影響を与える可能性があるため）

万能薬ではない！コンドームとの併用が原則

ドキシペップは高い予防効果を持つ予防薬ですが、決して万能薬ではありません。

• 予防効果は100%ではない
• HIVやヘルペスなどのウイルス性性感染症は防げない
• 望まない妊娠を防ぐことはできない

性感染症と望まない妊娠の両方を防ぐ最も効果的で基本的な方法は、コンドームを正しく使用することです。ドキシペップはあくまでコンドームを補完する「追加の選択肢」と考え、必ず併用するようにしてください。

まとめ：ドキシペップを正しく理解し、賢く活用するために

今回は、性感染症の新しい予防法「ドキシペップ」について解説しました。

改めてお伝えしたいのは、ドキシペップは梅毒・淋菌・クラミジアといった特定の細菌性性感染症に対して、科学的根拠に基づいた高い予防効果が期待できる、新しい選択肢であるということです。あなたのセクシャルライフの安心を支える、心強い「お守り」になり得るでしょう。

しかし、その一方で副作用や、抗生物質であるがゆえの薬剤耐性菌といったリスクも存在します。そのため、ご自身の判断だけで安易に服用するのではなく、必ず専門の医師に相談し、正しい知識を持った上で服用を検討することが何よりも重要です。

性に関する悩みや不安は、非常にデリケートで、誰にも相談できずにいる方も多いかもしれません。ですが、決して一人で抱え込まずに、まずは私たち専門のクリニックへご相談ください。 あなたの健康と未来を守るために、最適な方法を一緒に考えていきましょう。

「自分はドキシペップを飲んだ方がいいのかな？」

「もう少し詳しく話を聞いてみたい」

そう感じたら、まずはお気軽にご相談ください。

クリニックTEWのドキシペップ診療費用について

当院で処方させていただくドキシペップ処方薬「ビブラマイシン」は性感染症の予防目的では日本の健康保険の適用にはなっておらず、国の承認も受けていません。

そのため自由診療扱いとなります。

標準的な価格について

4,500円〜10,000円

診察料

自費初診料	2,750円
再診料	1,100円 (2回目以降)

薬剤費用

1回分（2錠）	1,750円
3回分（6錠）	4,750円
5回分（10錠）	6,750円

受診費用例

初診にて1回分（2錠）のお渡し：初診料+錠剤費用	合計4,500円
再診にて5回分（10錠）のお渡し：再診料+錠剤費用	合計7,850円

CSW（コマーシャルセックスワーカー）の方について

風俗関係やアダルトビデオ出演等のCSW（コマーシャルセックスワーカー）の方は、診察時や事前問診時の自己申告をお願い致します。

（継続した再診をご希望の場合は、安価に通院可能なセット販売などの別料金にてご案内させていただきます。）