この記事を書いた医師
安斉 基之
MOTOYUKI ANZAI
安斉 基之
MOTOYUKI ANZAI
医師 / 泌尿器科医専門医 / ボトックスビスタ認定医 / オンライン診療研修終了 / 緩和ケア研修終了
2015年 東邦大学医学部卒業 クリニックTENでは美容皮膚科、泌尿器科、内科、皮膚科など全般を担当。
「最近、トイレに行く回数が増えた気がする」
「夜中に何度もトイレで起きてしまう」
こうした「頻尿」の悩みは、年齢や体質のせいだと見過ごされがちです。 しかし、その症状は、体が発している重要なサインかもしれません。
もちろん、水分を多く摂ったり、カフェインやアルコールを摂取したりすれば、一時的にトイレは近くなります。 ですが、そうした心当たりがないにも関わらず頻尿が続く場合、背景に何らかの病気が隠れている可能性があります。
この記事では、医療の専門的な観点から、頻尿の原因となりうる病気、放置するリスク、そして医療機関を受診すべきサインについて詳しく解説します。 あなたのその症状が、単なる「歳のせい」なのか、それとも治療が必要なサインなのか、一緒に確認していきましょう。
その頻尿、こんな病気が原因かもしれない

頻尿とは、一般的に「日中の排尿回数が8回以上、または夜間に排尿のために1回以上起きる状態」を指すことが多いです。 ただし、これはあくまで目安です。回数にかかわらず、ご自身が「回数が多くて困っている」と感じれば、それは頻尿と言えます。
では、なぜ頻尿が起こるのでしょうか。 原因は様々ですが、中には注意すべき病気が隠れているケースがあります。
急に始まった頻尿は「膀胱炎」や「前立腺炎」の疑い
昨日までは何ともなかったのに、急にトイレが近くなった。 もし、排尿時にツンとした痛みや、残尿感(排尿後もスッキリしない感じ)を伴うなら、「膀胱炎(ぼうこうえん)」の可能性があります。
膀胱炎は、多くの場合、尿道から細菌が侵入し、膀胱内で増殖して炎症を起こすことで発症します。 膀胱の粘膜が刺激されるため、尿が十分に溜まっていなくても「トイレに行きたい」という強い尿意(尿意切迫感)を頻繁に感じるようになります。 特に女性は尿道が短いため、細菌が侵入しやすく、膀胱炎を繰り返しやすい傾向があります。
一方、男性の場合は「前立腺炎」が原因で、同様の頻尿や排尿時痛が起こることがあります。 前立腺は膀胱のすぐ下にあるため、ここで炎症が起こると膀胱が刺激され、頻尿や残尿感を引き起こします。
これらの感染症は、早期に適切な抗菌薬などで治療すれば、速やかに改善することがほとんどです。 しかし、放置すると細菌が腎臓にまで広がり、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」という高熱を伴う重い病気に進行する恐れもあるため、早期の受診が重要です。
血糖値が関係する「糖尿病」の可能性
頻尿に加えて、「異常に喉が渇く」「水分の摂取量が増えた」といった症状はありませんか? もし当てはまるなら、「糖尿病」の可能性を考慮する必要があります。
糖尿病は、血液中の糖分(血糖値)が高くなる病気です。 血糖値が一定以上高くなると、腎臓は尿と一緒に余分な糖を排出しようとします。 この時、糖は水分も一緒に排出する性質があるため(浸透圧利尿)、尿の量が通常よりも多くなります(多尿)。
尿量が増えれば、当然、トイレに行く回数も増えます。 体は水分を失うため、強い喉の渇きを覚え、さらに多くの水分を飲む…という悪循環に陥りがちです。
糖尿病は自覚症状が出にくい病気ですが、頻尿や喉の渇きは、体が発する数少ない初期サインの一つです。 放置すると、血管がダメージを受け、将来的に失明や腎不全、神経障害といった深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。
男性は「前立腺肥大症」で膀胱が圧迫されている?
男性の場合、中高年以降に多く見られるのが「前立腺肥大症」です。 加齢などにより前立腺が大きくなると、その中心を通っている尿道を圧迫します。 これにより、「尿の勢いが弱い」「排尿に時間がかかる」「残尿感がある」といった症状が出ます。 また、大きくなった前立腺が膀胱を刺激したり、残尿(排尿後も膀胱に尿が残る)があることで、膀胱がすぐに満杯になり、頻尿や夜間頻尿を引き起こします。
まれだが「膀胱がん」の初期症状であることも
頻度としては高くありませんが、最も見逃してはならないのが「膀胱がん」です。 膀胱がんの初期症状として、頻尿や排尿時痛、残尿感が現れることがあります。 これらは膀胱炎の症状と非常に似ているため、「また膀胱炎だろう」と自己判断してしまうケースも少なくありません。
膀胱がんの最も特徴的なサインは、「痛みを伴わない血尿」です。 しかし、初期段階では血尿が出ないこともあり、頻尿だけが症状という場合もあります。
特に、喫煙歴のある方や、中高年以降で急に頻尿が始まった方は注意が必要です。 膀胱炎の治療をしても症状が改善しない場合などは、専門医による精密検査が必要となります。
頻尿を放置することで起こりうること

「トイレが近いだけ」と頻尿を軽視していると、日常生活や将来の健康に様々な悪影響が及ぶ可能性があります。
夜間頻尿による睡眠不足と、日中のパフォーマンス低下
特に深刻なのが、夜間に何度もトイレで目が覚める「夜間頻尿」です。 尿意で目が覚めると深い睡眠(ノンレム睡眠)が妨げられ、睡眠の質は著しく低下します。
睡眠が不足すれば、当然、日中の活動に支障が出ます。 強い眠気、集中力や判断力の低下、イライラ感などは、仕事や家事の効率を落とすだけではありません。運転中や作業中の事故のリスクも高めてしまいます。慢性的な睡眠不足は、高血圧や糖尿病、うつ病などのリスクを高めることも知られています。
外出や旅行への不安、生活の質(QOL)の低下
頻尿は、私たちの行動や心理面にも大きな影響を与えます。
「外出先ですぐにトイレが見つかるだろうか」 「会議や映画の途中でトイレに行きたくなったらどうしよう」 「バスや電車での長距離移動が怖い」
こうした不安が常に付きまとうようになると、次第に外出そのものが億劫になり、趣味や人付き合いを避けるようになってしまうこともあります。 行動範囲が狭まり、社会的な孤立感が深まることは、生活の質(QOL|Quality of Life)を大きく損なう原因となります。
背景にある病気が進行し、治療が困難になるケースも
最も恐ろしいのは、頻尿という「サイン」を無視し続けた結果、その背景にある病気が静かに進行してしまうことです。
例えば、糖尿病が原因だった場合、放置すれば高血糖の状態が続き、血管や神経が確実にダメージを受け続けます。 数年後、数十年後に、腎臓が機能しなくなり人工透析が必要になったり、足が壊疽(えそ)して切断に至ったりする可能性もゼロではありません。
子宮筋腫や前立腺肥大症も、放置すれば症状が悪化し、排尿が全くできなくなる「尿閉(にょうへい)」を起こしたり、手術が必要になったりすることがあります。 膀胱がんの場合、発見が遅れれば、がんは膀胱の壁の奥深くまで進行し、転移のリスクも高まります。早期発見であれば内視鏡手術で済んだものが、膀胱を全て摘出するような大きな手術が必要になるかもしれません。
頻尿は、体からの「SOS」です。 そのサインを正しく受け止め、早期に対処することが、未来の深刻な事態を防ぐ鍵となります。
こんな症状が伴う場合は、すぐに相談を

頻尿だけでも受診を検討すべきですが、以下のような症状が伴う場合は、病気のサインである可能性がより高まります。 ためらわずに、早めに医療機関を受診しましょう。
排尿時に痛みがある、血が混じる
排尿時の痛み(特に排尿の終わりごろ)や、尿に血が混じる(血尿)症状は、膀胱炎や前立腺炎、尿道炎などの「感染症」を強く疑うサインです。 また、尿路結石(腎臓や尿管、膀胱に石ができる病気)や、膀胱がんの可能性も否定できません。 特に、目で見て明らかに赤い(肉眼的血尿)場合は、速やかな検査が必要です。
残尿感や、急に我慢できないほどの強い尿意(尿意切迫感)がある
排尿後もスッキリせず、まだ尿が残っている感じ(残尿感)がする場合、前立腺肥大症や神経の障害(神経因性膀胱)などで、尿が完全に出し切れていない可能性があります。 また、「トイレに行きたい」と感じてから我慢することが難しく、漏れそうになるほどの強い尿意(尿意切迫感)は、過活動膀胱(OAB)や膀胱炎の典型的な症状です。
喉が異常に渇く、体重が急に減った
頻尿と同時に、水をガブガブと飲んでしまうほどの強い喉の渇き(口渇)、食事量は変わらないかむしろ増えているのに体重が急激に減る、といった症状は、「糖尿病」の典型的なサインです。 これらは、体がエネルギー不足(糖をうまく利用できない)と脱水状態にあることを示しています。 放置せず、血液検査を受けることが重要です。
下腹部や腰に痛みがある
頻尿に加え、下腹部(膀胱のあたり)や、背中から腰にかけての痛みがある場合も注意が必要です。 下腹部痛は膀胱炎や前立腺炎、子宮筋腫などの可能性があります。 腰の痛み(特に片側)や発熱を伴う場合は、細菌が腎臓まで達した「腎盂腎炎」の恐れがあり、緊急性の高い状態です。 また、尿路結石が尿管に詰まった際にも、腰や脇腹に激しい痛みが起こることがあります。
あなたの体を守るための大切なサインを見逃さないで

頻尿という症状は、非常にありふれているからこそ、その裏に隠れた病気のサインが見逃されがちです。
「いつものこと」と慣れてしまうのが最も危険
「昔からトイレは近い方だから」 「もう歳だから、夜中に起きるのも仕方ない」
このように、ご自身で判断し、症状に「慣れてしまう」ことが最も危険です。 体は不調を訴えているのに、そのサインを無視し続けることになります。 その結果、先述したように、生活の質(QOL)が低下するだけでなく、背景にある病気が進行してしまう恐れがあります。
早期に原因を特定し、適切な治療を受けることが未来の健康を守る
頻尿の原因は、この記事で挙げた以外にも、過活動膀胱、神経因性膀胱、心因性のもの、あるいは服用している薬の副作用など、非常に多岐にわたります。 大切なのは、「なぜ頻尿が起きているのか」という原因を、専門家が正確に特定することです。
医療機関では、問診や尿検査、必要に応じて血液検査、超音波(エコー)検査などを行い、原因を突き止めます。 原因が分かれば、それに応じた適切な治療や生活指導を受けることができます。
感染症であれば薬で速やかに改善しますし、糖尿病や高血圧が見つかれば、将来の重大な合併症を防ぐための治療を開始できます。 前立腺肥大症や子宮筋腫が原因であれば、症状を和らげる治療や、根本的な治療の相談が可能です。 たとえ、がんなどの深刻な病気が見つかったとしても、早期であるほど治療の選択肢は多く、体への負担も少なく済みます。
まとめ|その違和感、専門家への相談が未来の安心に繋がる
「最近トイレが近いな」と感じたら、それはあなたの体を守るための点検サインです。 「このくらいで病院に行くのは大げさかもしれない」とためらう必要はありません。 その小さな違和感を放置せず、専門家に相談するという一歩が、あなたの5年後、10年後の健康を守ることに繋がります。
クリニックTENでは、頻尿の悩みはもちろん、その背景にある内科的な疾患(糖尿病など)や、関連するお悩みにも幅広く対応しています。 原因を特定するための各種検査も実施可能です。 「この症状はどの科にかかれば良いか分からない」という場合でも、心配はいりません。まずは一度、お気軽にご相談ください。 あなたの不安に寄り添い、最適な解決策を一緒に探していきます。
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