【医師監修】その生理周期の乱れ、放置は危険？隠れた病気のサインと婦人科受診の重要性

「生理が予定通りに来ない」「先月は来たのに今月は来ない」など、生理周期の乱れを経験したことはありませんか？

忙しい毎日の中で、「ストレスかな？」「よくあること」と、つい後回しにしてしまいがちですが、その不調は、あなたの体が発している大切なサインかもしれません。

実は、生理周期の乱れを放置することは、将来の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。この記事では、生理周期の乱れに隠されたリスクや病気、そして婦人科を受診することの重要性について、専門医の視点から詳しく解説します。

生理周期の乱れは「当たり前」ではありません

正常な生理周期は、一般的に25日〜38日の間隔で、その変動は6日以内とされています。これに当てはまらず、周期が長すぎたり短すぎたり、あるいは不規則であったりする場合を「生理不順（月経不順）」と言います。

生理は女性の健康状態を映す鏡であり、その乱れは決して「当たり前」のこととして片付けてはいけないのです。しかし、現実はどうでしょうか。

異常があるのに「何もしない」女性が最も多いという事実

多くの女性が生理に関する何らかの不調を抱えています。しかし、ある調査では、異常を感じていながら「何もしていない」と回答した人が4割以上にのぼり、最も多いという結果が出ています。

「体質だから」「いつものことだから」「これくらいで病院に行くのは大げさかも」と我慢してしまうその気持ちは、とてもよく分かります。しかし、その自己判断が、未来の健康に影響を及ぼす可能性があるのです。

放置することで高まる、将来の健康リスクとは？

生理周期の乱れを一時的なものと軽視し、放置してしまうと、気づかないうちにさまざまな健康リスクを高めてしまう可能性があります。

リスク1：将来の妊娠に影響することも

生理周期が乱れているということは、排卵がうまくいっていない「排卵障害」のサインである可能性があります。排卵がなければ、当然ながら妊娠は成立しません。

将来的に妊娠を望む方にとって、排卵が正常に行われているかどうかは非常に重要です。生理周期の乱れの背景にある原因を早期に特定し、適切に対処することが、将来の選択肢を守ることにつながります。

リスク2：子宮内膜症や子宮筋腫など、病気が隠れている可能性

生理周期の乱れだけでなく、月経時の痛みがひどい（月経困難症）場合や、出血量が多い（過多月経）場合には、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気が隠れていることがあります。

これらの病気は、放置すると症状が悪化したり、不妊の原因になったりするだけでなく、場合によっては手術が必要になるケースもあります。生理に関する複数の不調が重なっている場合は、特に注意が必要です。

リスク3：不正出血が続く場合、子宮頸がんや子宮体がんの恐れも

生理ではない時期に出血がある「不正出血」を、生理不順によるものだと自己判断してしまうのは非常に危険です。

不正出血は、子宮頸がんや子宮体がんといった悪性疾患の初期症状である可能性も否定できません。また、長期間生理が来ない状態が続くと、子宮内膜が厚くなり続け、子宮体がんのリスクが高まることも知られています。

リスク4：貧血や肌荒れ、気分の落ち込みなど心身の不調につながる

生理周期の乱れは、ホルモンバランスの乱れそのものです。このバランスの崩れは、自律神経にも影響を及ぼし、イライラや気分の落ち込み、不安感といった精神的な不調を引き起こします。

また、頻繁に出血したり、一度の出血量が多かったりすると、体内の鉄分が失われて貧血になります。貧血は、めまいや立ちくらみだけでなく、慢性的な疲労感や集中力の低下、肌荒れなどの原因にもなり、日々の生活の質（QOL）を大きく下げてしまうのです。

生理周期の乱れから考えられる婦人科系の病気

生理周期が乱れる原因は、ストレスや過度なダイエット、生活習慣の乱れなど多岐にわたりますが、背景に婦人科系の病気が隠れていることも少なくありません。

続発性無月経や稀発月経の原因となる「多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）」

多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）は、若い女性の生理不順で最も多い原因の一つです。卵巣の中でたくさんの小さな卵胞が育つものの、うまく排卵できなくなる病気で、生理が3ヶ月以上来ない「続発性無月経」や、周期が39日以上と長くなる「稀発月経」を引き起こします。

PCOSは、ニキビができやすくなったり、インスリン（血糖値を下げるホルモン）が効きにくくなる体質と関連があったりと、月経異常以外の症状を伴うこともあります。

月経困難症の背景にある子宮内膜症や子宮筋腫

先述の通り、子宮内膜症や子宮筋腫は、月経痛や過多月経の主な原因ですが、病状が進行することで子宮の形が変化したり、ホルモンバランスに影響を与えたりして、生理周期の乱れにつながることがあります。

これらの病気は良性ですが、生活の質を著しく低下させるため、早期の診断と治療が重要です。

甲状腺機能の異常や他のお薬の副作用が原因となるケースも

生理周期は、甲状腺ホルモンの影響も受けます。甲状腺の機能が亢進（活発になりすぎる）しても、低下（働きが悪くなる）しても、排卵に影響を与え、生理不順の原因となることがあります。

また、一部の胃薬や向精神薬など、服用しているお薬の副作用によって生理が止まってしまうこともあります。原因が婦人科系以外の病気やお薬にある場合も、まずは婦人科で相談することで、適切な診療科への橋渡しが可能になります。

なぜ早く気づくことが大切なの？早期受診のメリット

生理周期の乱れに対して早期に受診することには、計り知れないメリットがあります。

病気の早期発見・早期治療につながる

最大のメリットは、万が一病気が隠れていた場合に、早期に発見し、治療を開始できることです。どんな病気でも、早期であればあるほど治療の選択肢は多く、体への負担も少なく済みます。手遅れになる前に、原因を特定することが何よりも大切です。

つらい症状を我慢する生活から解放される

毎月の予測できない生理や、それに伴う心身の不調に悩まされる生活は、非常につらいものです。婦人科で適切な治療を受けることで、ホルモンバランスが整い、症状が緩和されれば、心身ともに健やかな毎日を取り戻すことができます。仕事や学業、プライベートを心から楽しむために、我慢をやめる一歩を踏み出しましょう。

少しでも「おかしいな」と感じたら、それは受診のタイミングです

「これくらいで病院に行っていいのかな？」とためらう必要は全くありません。
以下のような症状が一つでも当てはまれば、それは婦人科を受診すべきサインです。

• 3ヶ月以上、生理が来ていない
• 生理周期が24日以内と短い、または39日以上と長い
• 生理の期間がだらだらと8日以上続く
• 生理の出血量が異常に多い（昼でも夜用ナプキンが必要、など）
• 生理ではない時期に出血がある

クリニックTEN渋谷で受けられる検査と治療について

クリニックTEN渋谷では、生理周期の乱れに悩む患者様一人ひとりに寄り添い、安心してご相談いただける環境を整えています。

あなたの不安に寄り添い、原因をしっかり検査します

まずは、専門医が丁寧にお話を伺います。現在の生理周期はもちろん、体重の増減やストレスの状況といった生活背景、現在服用中のお薬などについて詳しく問診し、原因を探るヒントにします。

その上で、超音波（エコー）検査を行い、子宮や卵巣に筋腫や腫れなどの異常がないかを確認します。必要に応じて血液検査も実施し、女性ホルモンの値や甲状腺機能などを詳しく評価し、総合的に診断します。

専門医があなたに合った治療法をご提案します

検査で原因が明らかになったら、患者様一人ひとりのライフプランやご希望に合わせて、最適な治療法をご提案します。

• 生活指導 ：普段の食事習慣や運動習慣、睡眠など、生活習慣の見直しから始めることもあります。
• お薬による治療 ：ホルモンバランスを整えるために、低用量ピルや黄体ホルモン製剤などのお薬を使用します。これらのお薬は、規則的な生理周期を取り戻すだけでなく、月経痛や過多月経、PMS（月経前症候群）の改善にもつながります。
• 漢方薬による治療 ：ホルモン剤に抵抗がある方や、冷えや疲労感といった他の不調も併せて改善したい方には、体質からアプローチする漢方薬も良い選択肢となります。

あなたの未来の健康のために、今できる一歩を踏み出しませんか

生理周期の乱れは、単なる「不順」ではなく、あなたの体が送る健康状態のバロメーターであり、未来の自分を守るための重要なサインです。

「いつものこと」と見過ごさずに、ぜひ一度、婦人科に相談する時間を作ってみてください。その小さな一歩が、病気の早期発見につながり、あなたを長年の悩みから解放し、より快適で健やかな毎日へと導いてくれるはずです。

クリニックTEN渋谷は、あなたの勇気ある一歩を全力でサポートします。どうぞお気軽にご相談ください。