【医師監修】テストステロンを増やす食べ物とは？専門医が推奨する食材一覧

「最近、なんとなく体の調子が悪い」「若い頃のような活力がなくなってきた」。
年齢を重ねる中で、多くの男性がこうした悩みに直面します。その原因は一つではありませんが、実は毎日の「食事」が、心と体のエネルギーに大きく影響していることをご存知でしょうか。

この記事では、男性の心身の健康を支えるホルモン「テストステロン」に着目し、その分泌をサポートする食べ物や食習慣について、専門医が分かりやすく解説します。食生活を見直して、内側からエネルギーに満ちた毎日を取り戻しましょう。

「やる気がでない」「疲れやすい」はテストステロン低下のサインかも？

「なんだか最近、仕事へのやる気が起きない」「十分寝ているはずなのに、疲れが取れない」。

そのような不調を「歳のせい」と諦めていませんか？ もしかしたら、その原因は男性ホルモンの一種である「テストステロン」の減少にあるかもしれません。

テストステロンは、心身の活力を維持するために欠かせない重要なホルモンです。ここでは、その働きと、なぜ年齢とともに減少するのかについて見ていきましょう。

そもそもテストステロンとは？男性の心身の健康を支える重要なホルモン

テストステロンは、主に精巣で作られる男性ホルモンの代表格です。一般的に「男性らしさ」を形成するホルモンとして知られていますが、その働きは多岐にわたり、身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも深く関わっています。

テストステロンの主な働きとは？

テストステロンが私たちの心と体に与える影響は様々です。主な働きとして、以下のようなものが挙げられます。

• 筋肉や骨の形成を促す： たくましい筋肉や丈夫な骨格を維持します。
• 性機能の維持： 性欲（リビドー）を高め、正常な勃起機能をサポートします。
• 意欲や決断力を高める： やる気や競争心、チャレンジ精神といった前向きな気持ちを生み出します。
• 認知機能の維持： 記憶力や集中力など、脳の働きにも関与しています。
• 内臓脂肪の減少： 脂質代謝を促進し、メタボリックシンドロームの予防に繋がります。

このように、テストステロンは男性が若々しく、エネルギッシュに過ごすための源とも言えるホルモンなのです。

テストステロンはなぜ年齢とともに減少するのか

男性のテストステロン分泌量は、20代をピークに、その後は加齢とともに緩やかに減少していきます。これは自然な生理現象であり、誰にでも起こりうることです。

しかし、加齢だけでなく、過度なストレス、不規則な生活、栄養バランスの偏りなども、テストステロンの減少を加速させる要因となります。

テストステロンが基準値よりも低下すると、先述したような心身の不調（LOH症候群・加齢男性性腺機能低下症候群）に繋がる可能性があるため、日々の生活の中でテストステロン値を高く維持する工夫をすることが大切です。

テストステロンを増やすために積極的に摂りたい栄養素と食材一覧

テストステロンは、日々の食事から摂取する栄養素を材料として体内で作られます。特定の食材ばかりを食べるのではなく、これから紹介する栄養素をバランス良く食事に取り入れることが重要です。

【亜鉛】テストステロンの生成に不可欠なミネラル（牡蠣、赤身肉、レバーなど）

亜鉛は、テストステロンの合成に直接関わる非常に重要なミネラルです。不足するとテストステロン値が低下することが多くの研究で示されています[要事実確認]。

汗とともに体外へ排出されやすいため、運動習慣のある方は特に意識して摂取したい栄養素です。

多く含まれる食材： 牡蠣、豚レバー、牛や豚の赤身肉、うなぎ、カシューナッツなど

【ビタミンD】テストステロン値との関連性が高いビタミン（きのこ類、魚介類、卵黄など）

ビタミンDは、骨の健康に不可欠なビタミンとして知られていますが、近年、テストステロン値との関連性も注目されています。血中のビタミンD濃度が高い人ほど、テストステロン値も高い傾向にあるという報告があります。

日光を浴びることで体内でも生成されますが、日照時間の少ない冬場や、屋内での活動が多い方は食事からの摂取が特に重要です。

多く含まれる食材： きのこ類（特にきくらげ、まいたけ）、魚介類（あん肝、しらす、いわし、鮭）、卵黄など

【良質な脂質】ホルモンの材料となるコレステロールを補給（アボカド、ナッツ、青魚など）

テストステロンを含む性ホルモンは、コレステロールを材料として作られます。そのため、健康に良いとされる「良質な脂質」を適度に摂取することは、ホルモン生成の基盤を支える上で不可欠です。

特に、オメガ3脂肪酸（DHA、EPA）などは、血流改善効果も期待でき、心身の健康維持に役立ちます。

多く含まれる食材： アボカド、ナッツ類（アーモンド、くるみ）、青魚（サバ、イワシ、サンマ）、オリーブオイル、えごま油など

【アリシン】テストステロンの分解をサポートする働き（にんにく、玉ねぎ、ニラなど）

にんにくや玉ねぎの匂い成分である「アリシン」には、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制する働きがあると言われています。

コルチゾールは、テストステロンの働きを妨げる作用があるため、アリシンを摂取してコルチゾールのレベルを適正に保つことが、間接的にテストステロンの維持に繋がります。

多く含まれる食材： にんにく、玉ねぎ、ニラ、長ねぎ、らっきょうなど

【インドール-3-カルビノール】女性ホルモンの働きを抑制（ブロッコリー、キャベツなど）

男性の体内でも女性ホルモン（エストロゲン）は少量作られています。このエストロゲンの働きが過剰になると、テストステロンとのバランスが崩れ、その作用が弱まる可能性があります。

ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の野菜に含まれる「インドール-3-カルビノール」は、このエストロゲンの働きを穏やかにする作用が期待されています。

多く含まれる食材： ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ケール、白菜、大根など

要注意！テストステロンを減らす可能性のある食べ物・食習慣

テストステロンを高める食材を摂るのと同じくらい、その分泌を妨げる食習慣を避けることも大切です。

過度なアルコールの摂取

適度な飲酒はリラックス効果をもたらしますが、過度なアルコール摂取はテストステロンを生成する精巣の機能を低下させ、テストステロン値を下げる原因となります。休肝日を設け、飲み過ぎには注意しましょう。

トランス脂肪酸や質の悪い油を多く含む食品

マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸、あるいは古い揚げ物などに使われる酸化した油は、体内で炎症を引き起こし、ホルモンバランスを乱す原因となります。ファストフードやスナック菓子、加工食品の摂り過ぎは控えるのが賢明です。

極端なカロリー制限や栄養不足

過度なダイエットなどによる極端なカロリー制限は、体を飢餓状態にし、生命維持に直接関係のない機能（生殖機能など）を低下させます。ホルモン生成に必要なエネルギーや栄養素が不足し、テストステロン値も大幅に低下してしまうため、無理な減量は避けましょう。

食事だけじゃない！テストステロンを高めるための生活習慣

テストステロン値を高く維持するためには、食事だけでなく、運動や睡眠といった生活習慣全体を見直す、総合的なアプローチが非常に効果的です。どれか一つを完璧に行うのではなく、バランス良く取り組むことを目指しましょう。

筋力トレーニング（特にスクワットなど下半身の大きな筋肉を鍛える運動）

筋力トレーニング、特にスクワットのように下半身の大きな筋肉を鍛える運動は、テストステロンの分泌を促す効果が高いとされています。筋肉量が増えること自体が、テストステロン値を維持しやすい体質作りに繋がります。

7時間以上の質の良い睡眠を確保する

テストステロンは、主に睡眠中に分泌されます。そのため、睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、分泌量が大きく減少してしまいます。毎日7時間以上の質の良い睡眠を確保することを心がけましょう。

ストレスを上手に管理・発散する

慢性的なストレスは、ストレスホルモン「コルチゾール」を過剰に分泌させ、テストステロンの働きを阻害します。趣味に没頭する時間を作ったり、軽い運動をしたりするなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが重要です。

食生活を見直して、心身ともに活力ある毎日を目指しましょう

「やる気が出ない」「疲れやすい」といった不調は、テストステロンを高めるための食生活や生活習慣を見直す良い機会かもしれません。

今回ご紹介した食材を日々の食事にバランス良く取り入れ、適度な運動と十分な睡眠を心がけることで、心身の活力を取り戻す一助となるはずです。

しかし、セルフケアを続けてもなかなか改善が見られない場合や、症状が強く日常生活に支障が出ている場合は、一人で抱え込まずに専門のクリニックに相談することも大切です。

クリニックTENでは、簡単な血液検査であなたのテストステロン値やその他のホルモンバランスを正確に測定し、専門医が結果に基づいた具体的なアドバイスを行います。食事や生活習慣の指導から、必要に応じた補充療法まで、あなたに合った最適な解決策を一緒に見つけていきますので、ぜひお気軽にご相談ください。