石黒 剛
GO ISHIGURO
石黒 剛
GO ISHIGURO
医師
大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。
セックスでクラミジアに!どんな症状が出るの?
クラミジアの感染経路
クラミジアは尿道・子宮頚管・咽頭・眼瞼結膜といった、様々な部分に感染する可能性がありますが、最も多いのが性器への感染です。クラミジアは日本で最も多い性感染症、つまり性行為・セックスによって感染する感染症です。
男性が感染した場合の症状
男性尿道炎
尿道、すなわちおしっこの通り道にクラミジアが感染して炎症が起きた状態です。尿道のかゆみ・不快感、あるいは排尿時痛(おしっこをする時の痛み)が見られます。ほかにも、さらさらとした分泌物が尿道から出てくることがあります。患者さんによっては、「パンツにしみができたので気になって来た」という方もいらっしゃいます。しかし、症状がまったくなかったり、自覚できないほど軽かったりすることも多いのが、男性クラミジア性尿道炎の特徴です。
男性クラミジア性尿道炎は、感染してから1~3週間程度で症状が出てくるとされています。実は、男性の尿道炎の原因として、同じくセックスにより感染が広がる淋菌というものもあるのですが、それに比べてクラミジアによる尿道炎は、症状が出るまでの期間が長い・症状が比較的緩やかに出てくる・症状自体が比較的穏やか、等の特徴があります。
精巣上体炎
精巣上体は、男性の睾丸にある臓器です。尿道と体内でつながっているため、尿道に入ったクラミジアが精巣上体に入り込んでしまい、炎症を引き起こすと、精巣上体炎という状態になります。症状としては、睾丸の腫れや痛みのほか、発熱があることもあります。
女性が感染した場合の症状
子宮頚管炎・骨盤内感染症
クラミジア性子宮頚管炎は、クラミジアに感染して1~3週間後に症状が出てきます。クラミジアは子宮頚管に感染すると、だんだんと「上行性」、すなわち身体の中の方に広がっていきます。子宮・卵管のみならず、それより内部の臓器にまで炎症を引き起こし、子宮付属器炎・骨盤腹膜炎といった状態を引き起こしているのが、骨盤内感染症と呼ばれるものです。最悪の場合は、なんと肝臓の周囲まで炎症が広がってしまうこともあります。
クラミジアの炎症が子宮頚管にとどまっている場合には、おりものが増える・不正出血・性交時痛などが起こることもありますが、自覚できる症状が男性よりも乏しいのが特徴です。炎症が骨盤内に広がると下腹部が痛くなることがあります。肝臓まで広がってしまえば、右下腹部が痛むこともあります。これらの腹痛は突然耐えがたい痛みとして女性を襲うこともあり、救急車で運ばれるケースまであります。
クラミジアが最も問題なのは、クラミジアによる炎症が原因で不妊を起こす場合があることです。炎症が一度起きてしまうとその臓器受けたダメージが残ってしまい、その後の妊娠に悪影響を及ぼすことがあります。また、妊娠中に感染すると、産道感染といって、出産の時に赤ちゃんにクラミジアが感染してしまい、新生児結膜炎という眼の病気になって失明したり、新生児肺炎と呼ばれる呼吸器系の病気になってしまったりすることもあります。
症状に気付いたら早めに受診しましょう
クラミジアは症状があまり出ない病気ですが、症状が出た時にはすでに深刻な状況になっており、不妊につながってしまうこともありえる病気です。何か少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
渋谷駅徒歩0分の立地のクリニックTENでは、平日21:30・土日祝17:30まで受付を行っています。事前にウェブ予約・問診を行っていただくため、クリニックでの待ち時間はほぼ0分です。
クリニックTENには、婦人科と泌尿器科の両方の専門医が所属していますので、男女どちらの診療も行うことができます。ご自身だけでなく、パートナーと一緒に同じ病院で治療を受けられます。クラミジア、そして同じく性感染症の原因となる淋菌の両方を、その場で検査・結果を確認してその日に治療できますので、「クラミジアに感染したかもしれない」という場合には、パートナーと一緒にクリニックTENを受診してください。
参考文献
- 日本性感染症学会. 性感染症診断・治療ガイドライン2016. http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016.pdf
- 国立感染症研究所. 「性器クラミジア感染症とは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/chlamydia-std/392-encyclopedia/423-chlamydia-std-intro.html