薄毛治療薬【ザガーロ】とは?効果や副作用を医師が解説

ザガーロの効果

ザガーロとプロペシア

ザガーロは、プロペシアに続いてAGA治療薬として日本で認められたお薬です。ザガーロもプロペシアも、ジヒドロテストステロンという物質が作られるのを防ぐことで効果を発揮するというのは共通していますが、ザガーロの方がその効果が高く、プロペシアで思うような効果が得られなかった方にも有効な可能性があります。

なぜザガーロの効果は高いのか？

テストステロンという男性ホルモンが、5αリダクターゼという物質の影響を受けて変化してできるのがジヒドロテストステロンです。このジヒドロテストステロンが、髪の毛の正常なヘアサイクルを乱すことがAGAの原因のひとつになります。つまり、ジヒドロテストステロンができてしまうのを防げば、AGAを治療することができるというわけです。

ザガーロとプロペシアはどちらも、5αリダクターゼの働きを止めることでジヒドロテストステロンが作られるのを防ぎ、AGA治療効果を発揮します。実は、この5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があることが分かっているのです。Ⅱ型のみを邪魔するプロペシアに対し、ザガーロはⅠ型とⅡ型の両方に作用します。これが、ザガーロの方がより高い効果を発揮する理由だと考えられています。

ザガーロの効果が感じられないと思ったら

まず、ザガーロは服用を開始してからただちに効果が出るお薬ではありません。髪の毛のサイクルを正常にし、新たに元気な髪の毛が生えてくるまでには、だいたい半年ほどの時間がかかるとされています。飲み始めてからしばらくの間は諦めずに服用を続けてください。

それでも効果が感じられない場合には、そもそもザガーロでは治療できない病気が原因となっている可能性が考えられます。ザガーロはAGAに対する治療薬であり、脱毛・薄毛の原因がAGAでない場合には効果は出ません。他の病気が潜んでいないか、改めて医師の診察を受けてみることも考えましょう。

ザガーロの副作用

ザガーロの副作用ってそんなに多いの？

ザガーロの主成分であるデュタステリドは、もともと前立腺肥大症という男性の病気を治療するために使われてきた成分です。以前から医薬品として使われていたということは、それだけ安全性が認められている成分ということですから、基本的には安心して服用していただくことができます。

とはいえお薬ですので、副作用が出てしまうケースはどうしてもあります。副作用は全体の10%程度とされています。

ザガーロの副作用にはどんなものがあるの？

主なものとしては、勃起不全・射精障害・性欲減退・精液量減少など男性機能に関わるものが挙げられます。国際的な臨床試験では、勃起不全5.4%・射精障害3.3%・性欲減退3.3%との結果が出ているほか、日本国内で行われた臨床試験でも勃起不全を中心に10%前後に副作用が見られました¹⁾。また、これらより頻度は下がるものの、乳頭痛・乳房不快感・発疹・頭痛・肝機能障害・抑うつ症状・腹部不快感などが起きたという報告もあります。

ザガーロとプロペシア、どちらの方が副作用が多いの？

ザガーロはプロペシアより高い効果が期待できるのですが、その分副作用も出る可能性は高まります。

適切な医師の診察を受けましょう

お薬を飲む際には、効果と副作用について医師から説明を受け、正しい用法用量を守ることが大切です。当院では医師の問診と診断に基づいて適切な治療薬を処方しております。また、それぞれの副作用に対しては適切な治療法がありますので、何かおかしいなと感じることがあれば、服用を中止して早めに医師の診察を受けるようにしてください。

参考文献

1 眞鍋求・坪井良治・板見智・長田真一・天羽康之・伊藤泰介・乾重樹・植木理恵・大山学・倉田荘太郎・幸野健・齊藤典充・佐藤明男・下村裕・中村元信・成澤寛・山㟢正視. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf