セックスが原因?クラミジアの症状と検査について医師が解説

セックスが原因?クラミジアの症状と検査について医師が解説

セックスが原因?クラミジアの症状と検査について医師が解説

この記事を書いた医師

山東 典晃

Noriaki L. Santo

山東 典晃

Noriaki L. Santo

医師

筑波大学医学群医学類卒業。国立病院機構機構東京医療センター泌尿器科に入局、埼玉医科大学国際医療センター泌尿器科助教を経て、現在、東京医療センター臨床研究センター研究員。ハーバード大学 ICRT Program 修了。

セックスでクラミジアに?

クラミジアに感染する原因は何?

「クラミジア」と言う時には、主に2つのことを指している場合があります。ひとつめは病原体のことです。インフルエンザがインフルエンザウイルスに感染することによって引き起こされるように、クラミジアもクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)という病原体が、人間の尿道・子宮頚管・咽頭・眼瞼結膜といった、様々な部分に感染することで起こります。もうひとつが、そのクラミジア・トラコマティスに感染した状態、すなわち病気のことを指している場合です。最も代表的なのは男性の尿道・女性の子宮頚管にクラミジア・トラコマティスが感染した状態である「性器クラミジア感染症」です。

 性器クラミジア感染症は、基本的にセックスを通じて感染が広がります。一方で、感染しても症状が出ない割合が高い病気でもあるため、知らないうちにうつす・うつされるリスクが高いのが特徴です。最近ではオーラルセックスが広まっていることもあり、咽頭(のど)から性器にうつるケースも見られています。

クラミジアに感染するとどんな症状が出るの?

■ 性器に症状が出る場合

  • 男性
    • 排尿時痛:尿道(おしっこの通り道)に炎症が生じるのが原因です
    • ペニス・尿道の不快感
    • ペニス・尿道のかゆみ
    • 尿道からさらさらしたものが出る、パンツにしみができる
    • 睾丸が腫れる・痛む:炎症が広がり、精巣上体炎という状態になっているために起こります
  • 女性
    • おりものが増える
    • 性交時痛
    • 排尿時痛
    • 不正出血
    • 発熱・下腹部痛・吐き気:子宮自体やその周りの臓器にまで炎症が広がってしまった場合に起こります

■ 性器以外に症状が出る場合

  • 咽頭(のど)
    • のどの違和感・かゆみ
    • 首周辺のリンパ節の腫れ
  • 直腸
    • 肛門のかゆみ・膿
    • 便に血がまじる
    • 眼のいたみ・膿
  • 関節
    • 関節痛

 クラミジアはセックスで感染する病気ですが、症状は全身に出る可能性があります。特に女性ではまったく症状が出ないこともありますが、何かおかしな症状がある・心当たりのあるセックスをした・パートナーが感染していたことが分かった、と言った場合には、検査が必要です。

クラミジアの検査方法

PCR法

 男性は尿、女性は膣ぬぐい液を用いるほか、のどであればのどを、肛門であれば肛門を綿棒でぬぐって取れたもので検査を行います。

 PCR法は、クラミジアの持っているDNAを検出する検査です。専用の装置等が必要なので、一般的に検査結果が出るまでに時間がかかりますが、精度が高く、結果が最も信頼できる検査です。また、検査の精度がよいため、症状がなくても検査可能です。

イムノクロマト法

 検査を行う場合にはPCR法と同じく、尿・膣ぬぐい液・のどぬぐい液・肛門ぬぐい液等を用います。

 イムノクロマト法は検査結果が出るのが速いのが特徴です。検査をしたその日に結果が出ることが多く、なるべく速く結果を知りたい場合には適します。ただし、PCR法に比べて精度は劣るため、感染を見逃す可能性もあることには注意が必要です。

抗体検査

 ある病原体に感染すると、その病原体をやっつけるための「抗体」というものが作られます。逆に、体内に抗体があることが分かれば、その抗体を作らせるもととなった病原体も体内にいたことが分かります。これが抗体検査です。

 抗体検査は、PCR法やイムノクロマト法とは異なり、採血を行います。膣に綿棒を入れることがないため、妊娠中の女性でも安心して行えるのがメリットですが、デメリットは「いま感染していないのに誤って検査結果が陽性となることがある」ということです。抗体は、一度病原体に感染すると作られ、しばらくの間体内に残るため、病原体がなくなって感染が治っても抗体が体内に残り続けることがあります。抗体検査でこの残っている抗体を検出してしまうと、本当は治っているのに検査で陽性となる、ということになります。

定期的に検査をしましょう

 クラミジアは、症状が出ないことも少なくない一方で、性感染症として最も多い病気です。症状がある時にはもちろん、そうでなくとも定期的に検査を受けることが大切です。

 渋谷駅徒歩0分の立地のクリニックTENでは、平日21:30・土日祝17:30まで受付を行っています。事前にウェブ予約・問診を行っていただくため、クリニックでの待ち時間はほぼ0分です。

クリニックTENには、婦人科と泌尿器科の両方の専門医が所属していますので、男女どちらの診療も行うことができます。ご自身だけでなく、パートナーと一緒に同じ病院で治療を受けられます。クラミジア、そして同じく性感染症の原因となる淋菌の両方を、その場で検査・結果を確認してその日に治療できますので、「クラミジアに感染したかもしれない」という場合には、パートナーと一緒にクリニックTENを受診してください。

参考文献

  1. 日本性感染症学会. 性感染症診断・治療ガイドライン2016. http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016.pdf
  2. 国立感染症研究所. 「性器クラミジア感染症とは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/chlamydia-std/392-encyclopedia/423-chlamydia-std-intro.html