安斉 基之
MOTOYUKI ANZAI
安斉 基之
MOTOYUKI ANZAI
医師 / 泌尿器科医専門医 / ボトックスビスタ認定医 / オンライン診療研修終了 / 緩和ケア研修終了
2015年 東邦大学医学部卒業 クリニックTENでは美容皮膚科、泌尿器科、内科、皮膚科など全般を担当。
「おしっこをすると痛みが走る…」「尿道から膿(うみ)が出ている…」
こうしたショックな症状は、淋菌(りんきん)感染症のサインかもしれません。
淋菌は放置すると不妊などの原因にもなるため、すぐに治療が必要ですが、いざ治療法を調べると「注射が必要」「飲み薬は効かない」といった情報が出てきます。
「市販薬や、以前もらった抗生物質の飲み薬(ジスロマックなど)では治せないの?」「なぜ注射でなければいけないのか?」
この記事では、淋菌治療の「なぜ?」に答え、現在推奨される正しい治療方法について専門医が詳しく解説します。
淋菌治療の原則は「注射」です
まず結論から言うと、現在の淋菌感染症の治療は、原則として「抗菌薬(抗生物質)の注射(点滴または筋肉注射)」で行います。
どんな注射?(痛み・所要時間)
現在、淋菌感染症には原則として「セフトリアキソン」という抗菌薬の「点滴」治療が第一選択となっています。
点滴注射はおおよそ30分程度で終わり、最初の針を刺す時以外は強い痛みがないことがほとんどです。
過去には「スペクチノマイシン」という抗菌薬の「筋肉注射」での治療も行われていましたが、現在は菌の耐性化 (菌に抗菌薬が効かなくなってしまうこと) により効果が下がってしまっており、ほとんどの場合でセフトリアキソンが用いられるようになっています。
なぜ飲み薬(経口薬)は推奨されないのか?
最大の理由は、淋菌が「薬剤耐性」を獲得しやすいからです。
薬剤耐性とは、菌が抗生物質に慣れてしまい、薬が効かなくなることを指します。淋菌は特にこの耐性化が世界的に進んでおり、ニューキノロン系やテトラサイクリン系といった多くの飲み薬が、すでに効かなくなっています。
現在、日本で淋菌への効果が確実に期待できるのは、セフトリアキソン(注射薬)のみに限られています。
中途半端な治療は、治らないばかりか耐性菌を広める原因にもなるため、飲み薬だけでの治療は推奨されません。
飲み薬「アジスロマイシン(ジスロマック)」が処方される理由
「でも、飲み薬(ジスロマック)も処方された」という場合、それは淋菌と一緒に感染する可能性がある「クラミジア」という別の感染症も治療をしようとして処方された場合があるかもしれません。
淋菌感染者の約20〜30%、一部の研究では半分以上の方がクラミジアにも同時に感染していると報告されています。
過去にはアジスロマイシン (ジスロマック) は淋菌にもクラミジアにも極めて効果が高い薬剤でしたが、抗菌薬の乱用により淋菌には 50% 以上で耐性 (効果がないこと) を獲得してしまい、クラミジアでも 20-30% 程度の割合で耐性を獲得してしまったことから、現在第一選択薬とはなっていません。
上記から、現在では淋菌に対しては「注射 (セフトリアキソン)」での治療、クラミジアに対しては「内服薬 (ビブラマイシン)」での治療が推奨されています。
ただし、妊娠されている女性の感染の場合はアジスロマイシンはいまだ安全に使える有力な治療薬のひとつになっています。つまり、「淋菌の疑い」で受診した場合、
- 淋菌を殺すために「注射 (セフトリアキソン)」
- クラミジアも殺すために「飲み薬(ビブラマイシンなど)」
の両方を同時に行うことが、現在の標準的な治療として推奨されています。
治療後に必ず必要な「2つのこと」
淋菌感染を始めとする性感染症は薬で治療して終わり、ではありません。再発や合併症を防ぐために、以下の2点が非常に重要です。
1. 治癒確認検査
抗菌薬の投与後、一定期間(目安として3〜4週間後)をおいて「菌が本当にいなくなったか」を検査で確認します。
特に女性は、症状がなくても菌が残っていると不妊症や子宮外妊娠の原因になるため、全例で治癒確認検査を行うことが強く推奨されます。
2. パートナーの同時治療
淋菌は性感染症です。ご自身が治療しても、パートナーが感染したままでは、性行為によって再びうつし合う「ピンポン感染」になってしまいます。
パートナーに自覚症状がなくても(特に女性は無症状が多い)、必ず一緒に検査・治療を受けてください。
淋菌治療に関するFAQ(よくある質問)
Q. 市販薬では治りませんか?
A. 治りません。日本では市販されている抗菌薬がなく、解説の通り淋菌は薬剤耐性が強いため医師の処方による注射治療が必要です。
Q. 注射は1回で終わりますか?
A. はい、淋菌性尿道炎はほとんどの場合1回の注射治療で治癒します。
いずれの場合もその後に菌が消えたかを確認する「治癒確認検査」のための通院(再受診)が必要です。
Q.症状が消えたら、セックスを再開してもいいですか?
A. いいえ、性行為は必ず控えてください。症状が消えても菌が残っている可能性があります。「治癒確認検査」で陰性が確認され、かつパートナーの治療も完了するまでは、性行為(オーラルセックス、アナルセックス含む)は必ず避けましょう。
まとめ:淋菌は「注射」、クラミジアは「飲み薬」
淋菌感染症の治療は、薬剤耐性のため「注射 (セフトリアキソン)」が必須です。
そして、同時感染が多い「クラミジア」を「飲み薬」(ビブラマイシンなど)で同時に治療するのが、現在の標準的な治療法となっています。
特に女性の淋菌感染症は放置すると不妊などの深刻な合併症を引き起こします。「自覚症状がないから」と放置せず、パートナーと一緒に適切な治療を受けましょう。
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クリニックTENには、婦人科と泌尿器科の両方の専門医が所属していますので、男女どちらの診療も行うことができます。ご自身だけでなく、パートナーと一緒に同じ病院で治療を受けられます。
淋菌(注射)、そして同時感染の多いクラミジア(飲み薬)の両方を、その場で検査・結果を確認してその日に治療できますので、「もしかして…」という場合には、パートナーと一緒にクリニックTENを受診してください。(予約はおひとりずつ必要となります)
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参考文献
日本性感染症学会. 性感染症診断・治療ガイドライン2016. http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016.pdf
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